何と警察が犯人確定の武器として掌紋(しょうもん)識別システムを開発した。
いったい「掌紋」とは何だろう。警察庁に聞くのも変なので、てもとの広辞苑で引いてみると
掌紋=手のひら全体に見られる指紋様の皮膚隆起線。紋様は一生不変で遺伝性。とある。
皮膚隆起線とは、またむずかしい表現だがなんと言うことはない。要は「手相」のこと。
英国のM16・米国のFBIなど、世界有数の警察機構とならんで「犯罪捜査」に定評のある日本の警察がより高い犯人確定のために、古来からの「手相」を採用したしだい。
従来おなじみの「鑑識」が犯行現場で丹念にブラシで残留された指紋を採取してこれを確定要素にしてきたのだが、最近ではオウムのように指紋を潰す奴があらわれたため、より精度を高めるために「掌紋判断」を採用することとしたらしい。
これは、日本のみならず、世界の犯罪捜査史上画期的なシステムになるかもしれない。
以前手相見の知人に聞いた話だが「手のひらには個人情報のすべてが集約されていてその判断は1万数千にも及ぶ」そうである。まさに「東洋的」なるすばらしさといえよう。
ところで、この「手」とはなにを云うものだろうか・・・と思い、またまた辞書を引いてみると「て」とは、もともと「天」の草書体だそうで、つまり「天」を表す言葉である
広辞苑を数えてみれば「手を返す」などの「手」の動詞は96句あり、手のつく熟語・単語名詞は実に434語あった。いかに日本人が手を大切にしていたかと云うことであろう。
一方、「て」の親である「天」の方は動詞が34句、単語は502語あった。これも凄い。
そういえば子供が熱を出すと必ず母親が子供の額に手を充てて、熱の具合を診るし痛いところがあるとやっぱり、手を充てて「痛いの痛いの飛んでいけ!」などという。
これは、「手」のもつ原始的な、しかしもっとも本質的な力をしめす方法といえるだろう。また、この「手を充てる」という行為が変形して「お手当て」になったそうである。
漸く、こうした人間の持つ「本来」の、あるいは「不思議」な能力に科学とやらの研究領域が気づき、要は「西洋的」の行き詰まりに潜って、「東洋性」の台頭がはじまった気がします。
それにしても、こうなると街角の「手相鑑占」は俄然、元気をだしてもよさそうで、そのうち「警察庁ご用達」の看板をあげるものが出てきたり、警察内にも「手相捜査課」なる部署が新設されたり、いやいや、これはおもしろい時代になったものです。
=1997/08=