厚生省の国民栄養調査では、日本人は1日平均550rのカルシウムを摂取している。
厚生省が定めた所要量が1日600rであるから、やや不足しているといえるが、米国では1日所要量が900rとしており、老人では1,500rにしようとしている。高齢社会では骨粗しょう症の問題でもある。
日本にはすでに500万人の患者がいるといわれ、予備軍も含めれば1千万人に達するという調査もある。骨粗しょう症は気がつかないうちに進んでいる。
一般には老人の病気と思われがちだが、実は若年のころより少しづつ進行しているものなのである。
我々日本人は心がけとして今の2倍のカルシウムを摂取しなければならないだろうが、カルシウムの吸収のされ方は食品によってまちまちである。小魚や小松菜ではカルシウムの吸収率は10〜20%と低い。
これに対してコップ一杯の牛乳には200mgのカルシュウムが含まれており、吸収率も60〜70%とかなり高い。牛乳を3杯飲めば厚生省の1日所要量はとれる。牛乳や乳製品などが効果の良いカルシウム食品といえる。
牛乳の中にはカルシウムの吸収を促進するカセインホスホペプチド(CCP)と呼ばれる物質が入っている。
このCCPはカルシウムや鉄ときわめて結合しやすく、今まで不溶性であったカルシウムや鉄分を水に溶けやすくし、小腸で吸収しやすくする。
カルシウムにはもう一つの問題がある。
吸収されたカルシウムは必ずしも骨組織に吸着されない。骨までやってくるものの安普請の家の壁のごとく、またたく間に崩れ落ち、体外に排泄されてしまう。
このカルシウムの骨への吸着を確固たるものにするのが、適度の運動である。
1日に1万歩の運動はまさに理にかなった絶対必要な運動なのである。
=1997/05=