『真夏日とセーラー服(仮)』遠雷08

表TOP 裏TOP 裏NOV BBS /遠雷07<遠雷08>遠雷09

 がくがくと膝が震え今にも貧血で倒れそうな感覚のまま、香澄はよろめきつつ歩く。まるで死刑台に向かう罪人の様な蒼白な顔色の少女は、乱れを整えもしないままの浴衣の上に雨合羽を羽織っただけの姿で俯き、合羽姿の警察官の後を歩いていた。この場にはもう足湯客はいない…その場で香澄が痴女でありおかしなプレイに巻き込まれたのだと断罪し、そして厳重注意の後に開放されている。実際に彼等は単なる観客だったのだと少女自身も思うが、だが男達もそれに近い事を言い出し、その上、足湯客も香澄が先に独りでいたのだと告げた為、警察官の心証は悪く、恐らくほぼ香澄の単独の犯行だと思われている様子だった。
 逮捕…いや補導だろうか。未成年の犯罪がどう裁かれるのか判らない少女にもたった一つだけ判る事がある。――親への連絡。学校への連絡があるかは判らないが、親へは確実に連絡をされる筈だった。
 どこか判らない温泉街で下着もない姿で男に跨がり淫行に耽っていた結果の補導。それはこの数日を考えれば極一部過ぎなかったが香澄の善良な両親を傷付け苦しめるには十分な出来事だった。いつか終わりがくると思っていたが、そう願っていたが、両親の苦悩を考えるだけで消えたい衝動が少女を襲う。
 犯罪者を連行するにも、手錠はかけないのか、表通りを避けるのか、細い裏道を歩く香澄は渡りかけていた交差点の歩行者用信号が点滅しているのに気付き、立ち止まる。警察官は香澄が遅れているのに気付かなかったのか途中まで進んでおり、振り向き引き返そうとしたが諦めて渡りきりこちらを見ていた。――尤も手錠は必要ないだろう、まだ香澄の両腕は背中で縛り上げられたままなのだから。
「今なら逃げられるよ香澄ちゃん」
 事情聴取を求められて同行している男が不意に囁き、そして背後から香澄の雨合羽の裾を捲り、濡れた浴衣の上から尻肉を強く揉みしだいた。
 唐突な刺激にびくりと身を震わせる香澄の耳に、交差点を通過する車のエンジン音と雨音以外にぐちゃりと濡れた音と、それと同時に慌ただしく直した浴衣の緩みを使い窄まりの辺りまで捩込まれた指の感触に凍り付く。
「頼まれて縛ったとしたら俺達どんな罪なんだろうね。――でも痴女の香澄ちゃんは絶対に捕まるよね。ねぇ知ってる?レイプ被害者が訴える時って病院でお股開いて精液採取されるんだよ?DNA判定とか聞いた事あるよね?でも香澄ちゃんのおまんこ一人分じゃない精液でどろどろだから調べる側も迷惑だろうねー何人咥え込んで何発中出しされたんだろうこの淫乱とか思っちゃうんだろうねーでも香澄ちゃんの、レイプじゃないんだけどね」
「ぃゃ……」
 交差点の向こう側に立つ警察官の存在を感じながら、少女は浴衣の布地ごと窄まりに捩込まれる指先にびくっと震える。
「どこまで話そうかなーねぇどこまで話されたい?同級生とも乱交した所?『おじさま』との援交で処女捧げちゃった所?おまんこだけじゃなくて尻の穴まで開発済みで二本差しでも楽勝で悦んじゃう所?それとも露出調教で全校男子のネットアイドルになってる所?ああこれは被害じゃなくって自己紹介だね」
「ぁ……ぅ…ぅっ、いゃ…ぁ……もう……ぃゃ…ぁ……やめて……」
 絶望的な状況だと言うのに窄まりに指を捩込まれ酷い言葉を立て続けに浴びせられた瞬間、ぞくりと妖しい被虐の快楽が全身を貫き、何故か縋る様に警察官を見ながら少女は喘ぐ。
「全部親にバレちゃうんだよー中出し三昧でいきまくったいやらしい香澄ちゃんの本性が警察の記録に残って、学校にも連絡いって、あの三人の坊やも警察に呼ばれて、香澄ちゃんがどんな具合でセックスしまくったのか大勢が知って…もしかしたらマスコミが食いつくかもね」
 警察官に捕まった驚きで冷めた身体が男の指一本で妖しく疼き出す絶望に香澄は懸命に平静を装うものの、とろりと愛液と精液を溢れさせる膣口は淫らに蠢き始めてしまう。いっそこのまま信号が変わらないでいて欲しいと願う少女の内腿が震え、男の指を窄まりがいやらしく喰い締める。警察官に補導されている最中の恥辱に少女の身体がぶるぶると震え、拒もうと力を込めようとしている筈の窄まりはもう疲れ切っているせいなのか、男の指を易々と受け入れようとしてしまう。浴衣一枚しかない姿でそれが汚れる可能性に香澄は青ざめ、少しでも逃れようと仰け反る少女の乳首が樹脂製の透明な雨合羽に潰され擦れる刺激に微かな嗚咽が漏れる。そもそも男性用の雨合羽であっても後ろ手を組まされ羽織り釦を一つ填めただけの姿では胸周りから背中の腕にかけてだけがやや窮屈になり、縄を打たれ張り詰めたままの乳房に汗などで湿った雨合羽はぴったりと貼り付いていた。乳房が剥き出しのままに近い上に、浴衣の裾も整えられていない為香澄の姿は正面の一番隠すべき場所だけが殆ど露出しており、胸の上の一カ所だけで止められたら透ける雨合羽の合わせが歩く度に微妙に肌蹴ては戦ぐだけだった。
 はぁはぁと少女の呼吸が乱れる。露出狂の犯罪者扱いだからの仕打ちだとしても、せめて縄だけでも解いて欲しかった…咄嗟に釈明出来なかった自分が悪かったのだろうが、これでは男達による辱めと大差がない気が……。
 目の前で大型ダンプカーが停車した。香澄の進行方向の信号はまだ青に変わっておらず、ダンプカー側の右折用信号だけが点っている。たった数メートルの位置にいるダンプカーの運転手が人気の少ない交差点に立つ少女達が珍しかったのか何気なく見た後、にやりと笑った気がした。
「は……ぁううっ!」
 浴衣を捩込みながら二本に増やされた指に、香澄の身体ががくんと跳ね上がる。浴衣と二本の指を喰い締める窄まりと膣がぐびぐびと波打ち卑猥な暗い悦びに少女の腰が本能的に男へと突き出され、上下に弾んだ。見ないで欲しい、気付かないで欲しいと望み涙を溢れさせ警察官と運転手を盗み見た少女は、両者の視線が自分に注がれているのを確認してしまった瞬間に、もどかしく狂おしい疼きに甲高く喘いでしまう。乳首だけでなく乳房全体がむず痒く、膣が物足りなさで激しく蠢き内腿が震える。雨の中、きっと相手には見えていない、見ていない…そう願っているが、交差点の向こう側の警察官や座席の運転手よりも近距離でダンプカーの照明の範囲に近い少女の方が照らされている可能性は高かった。がくがくと震える身体に、雨合羽の前が大きく揺れ、肌を雨風が撫でる。縄で縛られたままの浴衣は身体の左右に肌蹴たままであり、後ろ手に縛られている少女の白い肌は呆気なく剥き出しになってしまう。
「いやっ、ぃゃぁぁぁぁぁ……っ!」
 足湯であと少しで迎えられる筈だった絶頂の予兆が一気に絡め取り、背後の男に身を委ねる様に仰け反り腰を震わせる香澄の胸元で、ぱちりと硬い音が鳴った直後に、留め具の外れた雨合羽は胸を突き出す体勢の少女の左右へはらりと開いた。

 かちこちと時計が秒を刻む音と、背後の開け放ったままの引き戸から聞こえる強い雨音が交番の中に籠もっていた。
 雨合羽を回収された香澄と警察官だけが居る場だったが、だが安堵感の欠片もなく少女は項垂れたままだった。事情聴取の帳面を時折警察官がボールペンの尻で叩くのは苛立ちの為かもしれない。――男達から解放された後だと言うのに、だからこそ、香澄は口を開く事が出来なくなってしまっていた。『氏名と住所と電話番号』その最初の問いが重過ぎた為に。
 自宅の電話番号を伝えれば当然保護者に連絡が届くのだろう。そこで香澄に何があったかを親が知るのを、少女は恐れてしまった。
「いい加減話してくれないと困るんだよ」普通の善良そうな警察官の声に罪悪感を覚えながら項垂れる香澄に、溜め息をつき、そして既に冷め切ったお茶が差し出される。「――飲んで少し落ち着きな」
 そう言われても縄で縛られたままでは受け取る事も出来ないと気付いたのか、香澄の口元に湯呑みを当てた警察官に、少し顔を上げてそれをゆっくり少女は飲む。長時間放って置かれていたものなのか濃過ぎるお茶の苦味が今の香澄には有り難かった。普通の飲み物など久し振りな気がする…酒類以外の飲まされ続けた物を洗い流してくれる気がして、気付くと湯呑みのお茶を全て飲み干していた。
「ここで話聞いて釈放って訳にはいかないんだよ?通報されているし、少年課が来たら引き渡すんだし。普通のいい家のお嬢さんが何でこんな変な事してるんだか…取り敢えずその縄も邪魔だろうし、解く前に写真撮るからいいね?」
「え……」
「はい立って。名前も言わないんだからせめて少しでも仕事しとかないと駄目でしょ。ほら」
 お茶をいただいた為に僅かに気が弛んでしまった香澄をパイプ椅子から立ち上がらせ、警察官は備品らしいデジタルカメラを白い身体に向けた。
「ゃ……」
「ほら屈まないで正面見て」
 交番内に乾いた撮影音の度に閃光が瞬き、思わず身を隠そうとする少女を追い立てる様に業務的な冷静な注意が矢継ぎ早に浴びせられる。男達に撮影されるのとは異なる惨めな恥ずかしさに涙が滲み、だが警察官の職務だと考えれば妨害しようなどとは考えられない一般的市民である少女は徐々に指示に従い立とうとしてしまう。惨めな、全裸よりも酷い肌蹴きった浴衣と胸を絞る縄だけの少女に繰り返し全体像だけでなく舐める様に一つひとつの噛み痕や唇の痕も、後ろ向きにされて手の拘束もじっくりと撮影されていく。あまりの恥ずかしさに気を失ってしまいそうになりながら堪える少女の膝が小刻みに震え、涙が滲む。
「でもこれ自分では縛れないでしょ。誰にやって貰ったの?」
「先刻の…ここまでいらした男の方が……」
「何でそれを先に言わないの?名刺貰ったけど本物かな……」
 ぶつぶつと愚痴を言う警察官に、漸く少女は氏名など以外は少しだけ説明しなくてはいけないかもしれないと思い始めていた。そう、初日のあの集団痴漢から全て報告しなくてもいいかもしれない…絶対に香澄の氏名や連絡先と同級生の話は伏せて、自分が進んで行ったのではないと伝えられれば被害者なのだと判って貰えるのかもしれない。光明が差した気がした少女は、気恥ずかしさから逃れたいのもあり、ぽつりぽつりと頭の中で纏めようとした。だがどこから始まって拉致をされたのかが上手に説明出来る気がしない。
「じゃあ、外すよ」
「ぇ…? ――はあああああんっ!」
 不意に無造作にニップルリングを外され、乳首を挟んでいた球がごりっと力任せに剥がされる強烈な痛みに香澄の身体が大きく跳ね上がる。ちりんと大きく鳴る鈴ごとピンクゴールドのニップルリングを持つ警察官の手にはいつの間にか手袋が填められ、そして外された責め具はビニールの小分け袋にそのまま仕舞われる。
「ちょっと変な声あげないの。痛かっただろうけど外さない訳にはいかないからね」
 不本意そうな警察官がもう一方のニップルリングを摘まむのを見、少女は身を強張らせる。だが軽く触っただけで警察官は再びカメラを手にし、そしてニップルリングが外れたばかりの香澄の乳首を至近距離から撮影し始めた。責め具が押し潰していた濃い色に充血した半球状の窪みを確認し舐める様な撮影の後、不意に手袋の指が痛々しい痕の浮かぶ乳首を物差しの様な金具で挟んだ。
「ひ……っ」
「冷たくても我慢してね」
 球の痕の直径などを当てて測定しながら測り撮影する警察官に、香澄の身体がどくりと小さく蠢く。職務中の警察官に妖しいものを感じてはいけない筈なのだが、性的な悪戯ではなく異性に真面目に乳首を弄り回される異常な行為は少女の羞恥心を煽り、戸惑わせる。球の直径だけではなく香澄の乳輪や乳首の大きさから金具で絞り込まれ潰された状態や、指でぐいと引いた時の長さなどを執拗に記録する警察官に、香澄の呼吸が微かに乱れ始める。ただでさえ縄で搾られ敏感になっている乳首はニップルリングの圧迫から解放された強烈な痛みとそれに続く甘い痺れで更に敏感になっており、狭い交番の中央に立たされたまま膝ががくがくと震え始めてしまう。
 駄目。濡れては駄目。
 顔を逸らし香澄は高まる甘い疼きを懸命に堪えようとするが、撮影で焚かれる閃光は瞳を閉じていても瞼の裏へ刺激を伝え、見ようとしない分だけ身体は過敏に外部からの刺激を得ようとしてしまう。交番に到着してからがちがちに硬直していた身体が解れる様に…正しい行いへと向き直るのではなく感じてはならないものへと牝の身体が綻び、ほんの僅かに乾き始めてきた膣口が再び潤い、とろりと淫らな露が溢れていくのを感じ香澄の頬がほんのりと染まる。
 そして長い撮影の後、今度は片手にカメラを持ったまま器用にニップルリングの鈴を持ち上げながら片手で金具を当てた警察官に、香澄は潤みきった瞳を向けて微かに首を振る。
「今度は外す前から測るからね」
「はい……」
 びくびくと揺れる身体の震えが伝わりニップルリングの鈴がちりちりと鳴る中、少女は僅かに身をくねらせ視線を逃し堪えようとした。田舎の古い交番はこんなものなのか、まるで暫く放置されていた様な寂れた室内は埃っぽく、壁に貼られた指名手配写真も地図も変色し、事務机やパイプ椅子や棚は軽く錆が浮いており、どこか廃墟を連想させる。おかしな事を考えるまいと思う少女は、一本蛍光灯が切れている為か若干薄暗い交番の前を通過するダンプカーにびくりと身を震わせる。だがこの交番は裏道らしい寂れた場所にあり信号からも離れている為か車は皆速度を落とさず通過していくのと、雨が小さな交番を目立たせていないのが救いだった。そう、警察官がいるのだから、もうこれ以上何か悪い事は起きないのだから。
 今はおかしな感覚にも意識を向けず、事情聴取に何を話せばいいのかを考えるべき時間なのかもしれない。乳首を執拗に弄り回され撮影されている妖しいもどかしさから逃げる様に香澄はそちらに意識を向けようとする。警察官の操る金具が乳房を這い、食い込み、撫で回す事に刺激を感じるまいと、少女はこの数日間をどれだけ最小限だけ伝えればいいのか考える。そもそも財布も何も持たない状態では独りで旅行で来たと言えるのだろうか、どこで着替えたのか、そもそもの荷物はどこにあるのか…警察では調べようとすれば簡単に移動の足取りを調べられそうである上に、嘘をつく事に少女は躊躇いを憶えてしまう。
 計測用の金具が乳首を挟む鋭い感触は痛みではないが、乳首を挟まれ、引かれ、捻られる度にもどかしさがじわりと乳首から広がりむず痒い感覚に少女は密かに淫らな吐息を漏らす。証拠画像の撮影なのだから念入りなのは当然なのだと考えても、男達の与え続けてきた恥辱にそれは重なり、少女を疼かせる。
『駄目…、噛んで欲しいなんて、考えては駄目……』
 基本的には犯され続けていたが香澄は自慰も強いられており、自分の身体の慰め方は判っている…だが少女自身はそれを恥ずべき事と知っており、いや男達の嘲笑と侮蔑によって一般的な感覚よりも更に負のものとして、快楽への欲望は理性がある時には穢らわしいとすら思える疚しい印象を植え付けられていた…それに逆らえないだけの快楽と共に。
 はぁはぁと疼ききったいやらしい牝の吐息を零す少女の膣口から溢れた精液混じりの愛液が柔らかな谷間だけでなく漸く白濁液が乾きかけていた丘の外へ滲み出し、牝の性臭が交番に漂い始めていた。早く撮影を終えて欲しいと願いながら、閃光が瞬く度に白い身体はびくびくと妖しく震え、緊張と絶望に涙を浮かべていた瞳に甘く淫らな被虐の疼きが浮かび始める。
「じゃあ、次は性器調べるから机の上に座って、脚広げて」
 まるで児童に青信号の渡り方を教える様な物言いでかけられた言葉に、少女の身体がびくりと震えた。
「机の、上ですか……?」
 どくどくと胸が苦しくなる程脈が速まり、香澄は戸惑った視線を事務机と交番の入り口に彷徨わせる。そもそもの事情聴取は女性警察官が行うべきなのではないかと考えたが、何故か女性警察官にこそ見られたくはないと少女は気付いてしまう。異性ならば体力的にも敵わない立場なのだと憐れみもしてくれるかもしれない、だが同性は違う気がした…憐れみもするだろうが嫌悪と軽蔑が上回るのではなかろうか?自分ならば屈しない、屈したのは意志が弱いからだ淫乱な性分が悪いのだと断罪されると考えてしまうのは、香澄自身がそう考えていたのかもしれない。
 そう考えかけ、香澄は机の上にある鞄に気付く。それは当然香澄の荷物ではなく、男達の一人が置いていった物である。男女兼用らしい黒い小振りな鞄は少女にとっては浴衣姿で持ち歩くには違和感があるが、服装に拘らない男性の目には判らないかもしれない。
「ああ、所持品の確認が先でもいいか。――開けるよ?」
「え…? いえ、それは……」
 自分の物ではないと主張しかけた香澄は、開けた鞄から現れた物に凍り付く。
 肉色も生々しく男性器を模した大きくグロテスクな責め具は、早朝に香澄を苦しめたそれだった。

Next 遠雷09
201906112307

■御意見御感想御指摘等いただけますと助かります。■
評価=物語的>よかった/悪かった
   エロかった/エロくなかった
   もっとエスカレートしちゃえ /そろそろやめてあげて
メッセージ=

表TOP 裏TOP 裏NOV BBS