『真夏日とセーラー服(仮)』遠雷02

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「あ、あの……」
「ここで流して貰おうか」
 差し出されたスポンジと瓶を両手で受け取ってしまった香澄の困惑を無視する様に男は露天風呂の縁に腰掛け、大きく脚を広げそして縁に置いてあった濡れて絞られていた薄いタオルを腰の上に掛けた。臍の辺りまでそそり立っている男性器にそれはテントの様に掛かり、隠しながらも勃起を見せつける様で少女は顔を上げられずにいる。香澄がいるのは男の前で、そのまま身体を洗うとなれば男の膝の間に身を割り込まらせるしかないが、それでは勃起に身を寄せる形になってしまう。
「お湯に石鹸が入ると問題だからそれで拭うだけでいいよ」
「でも……」
「賃金分は働かないといけないよお嬢ちゃん」
「そうそう」
 背中を軽く押され、よろける形で香澄は男の目の前に立った。まだ若いが社会人らしい落ち着きを感じさせる余裕のある物言いだが、目の前の引き締まった身体つきは否応無く生々しく性差を感じさせ少女は小刻みに震えながら更に頬を染めてしまう。洗い流すべき相手を直視出来ないまま、香澄は瓶の代わりに差し出された手桶で男の肩に湯を流し、それが絞ったタオルを重く濡らし赤黒い性器をはっきりと浮かび上がらせてしまったのに気付き、びくっと身を引きそうになる。
 日の陰った渓流沿いの露天風呂は暑いまでとはいかず心地良い気温だったが、それでも湯から上がれば湯冷めしてしまうかもしれないと思いながら、香澄は何度も男の身体に湯をかける。その間は触れずに済むという打算があったかもしれない、しかしいつまでも湯をかけるだけでは許されないであろうと判ってはいた。
「あ…あの……、お酌だけしか……聞いていなかったの…ですが……」
「お酌と洗うのとマッサージサービスのコンパニオンって聞いてるよ。四時間コースだからどんな按摩さんだと思ったらまさかこんなに可愛い子が来るとはね」
「四時間……」
 それが長いのか短いのか判らないまま香澄は項垂れる。按摩ならば適正な時間なのだろうか、だが香澄は酌の作法もマッサージの方法も知らない。これはもしかして男達の指示か案内に間違いがあったのだろうか?そう思いかけた香澄は途方に暮れながらスポンジを手桶に取った湯に浸ける。薄くて小さなスポンジは石鹸をつければまだ意味はありそうだが、湯に浸けただけではスポンジとしての意味はなさげに見える。だがあのホテルの交わりの様な男女の行為を前提とした妖しいものでなく正統な方法ならば自分の萎縮は失礼なものなのかもしれない。
「あの……わ、私はお酌も…お身体を流すのも…初めてなので…よ、よく判らないので……」
「へぇ…そうなんだ」
 微かに含む様に低くなった男の声に香澄の身体がびくりと強張る。もう各々グラスではなく缶を手にした男達が左右と後ろから少女を取り囲み、再び湯に浸かる者もいれば立ったままの者もおり、皆ぐびりと缶を傾けながら震える上気した身体を容赦なく眺めていた。目の前の男だけが腰にタオルを乗せているだけで他は誰も股間を隠しておらず、湯で剛毛を貼り付かせたその股間からは猛々しい性器が露出しきっている。視線を逸らせばどこかでそれが映ってしまう状況に少女の膝ががくがくと震え、万が一の事態にならない様に願いながら香澄はそっと目の前の男へとスポンジを持つ手を伸ばす。
 小さなスポンジを持つ指が触れない様に慎重に男の首筋を拭う香澄は、ただでさえ飲酒に慣れていない上に空腹の状態で飲まされた酒に身体がよろめいているのに気付いておらず、ゆらゆらと頼りなく動く身体は徐々に男の膝の間で中腰に近くなっていく。指とスポンジに意識を向けるのに精一杯の少女は、ちゃぷんと湯に浸かっては身を起こす腰では水着の縁の折り返しだけが辛うじて白い色を残しているだけで極薄の素材が透け、下腹部の無毛の生白い丘も溝から僅かに露出する艶やかな鴇色の襞も何もかもがはっきりと浮かび上がり、隠せているつもりでいるからこそより一層卑猥な光景なっていると気付けずに洗い続けていた。
 自ら成人男性の身体に指を滑らせる行為はただ拭っているだけで恥ずべき行為ではない筈だと考えても、眩暈がしそうな羞恥に香澄の吐息が震える。強く力を込めて拭うなど出来ず、そっとスポンジを滑らせる異性の身体は硬く筋肉質で、目の前の男が行ったのではないが、自分を組み敷き絡め取り猛々しい物で深々と貫き激しく犯した何人もの身体が身体中と脳裏で蘇り、ぞくぞくと火照る柔肌がざわめいてしまう。緊張と被虐に濡れた瞳と蕩けた鳴きそうな表情と震える甘い吐息だけでなく、湯気と薄い汗に貼り付く水着は腰程ではないが貼り付き透け、腕を動かす度にたわわに揺れる豊かな形良い乳房も、初々しい鴇色の乳輪と同じ色の硬く尖りきった乳首も露わにし、無心でいたいと願う心と裏腹に持て余す淫らな疼きの発散を求める媚態そのものだった。両の乳房と尻肉の谷間と下乳と細い胴の段差の隙間以外は全てに水着が貼り付き透けているにも関わらず、酔いの為にただ拭う事しか考えられない香澄に、背中の深過ぎる刳りが露出させる尻肉の上端の谷間に背後の男がゆっくりと何度も湯を垂らす。すらりと伸びる脚の間の湯による濡れとは明らかに異なる滑りを帯びた下腹部の丘から粘度を帯びた滴がとろりと滴り落ちていく。
 男の首筋から肩へ、胸板へと何とか拭う香澄は酔いにどくどくと唸る身体と滲んでいく意識にはぁっと熱く甘い息を漏らす。酔いは恐ろしいのにどこか甘く心地良く、大人が飲酒する意味が何となく判った気がした。だが今はとにかく流す事に専念しなければいけない、その意識だけが漂いスポンジを持つ指がゆらゆらと動く。細い指先が時折男の肌に当たり、びくりと香澄が男の顔を見上げかける度に優しげに許され、そして頭を撫でる手が何度か繰り返しの後、撫でる場所が肩に移る。
 漸く胸板を洗い終えた香澄の手が腹部へと移り、そして拭う場所を妨げる形で隆起するものにびくっと身を強張らせた。
「ごめんねみっともなくて」
「ぃ…いいえ……」
 勃起してしまっている事に罪悪感を覚えてしまったのか何気なさげな男に声に、香澄は顔を逸らせ瞳を閉じたまま小さく首を振る。ここで拭う事を免除されれば助かるのだが、男の続けた言葉は別だった。
「見慣れてるの?これ」
「ち、ちが……違いま…すっ、まだ、そんな…っ」
「『まだ』かぁ。安心して俺もあまり経験ないからさ、緊張してる」
 男の軽い口調に動揺した香澄は気付いていなかった。酒を飲み終わり新たに缶を取りに戻った男の一人が盆の上にある箱を開け、その中にあった数枚の写真を見つけにやりと嗤った後、他の男達にその写真を回し、空気が微妙に変わった事に。そして箱の他の中身が何であるかを。
 立ったままでは洗いにくい男の腹部を何とか拭う香澄の身体がよろめいては戻りまたよろめく間に、何度か指や手の甲に当たってしまうタオル越しの硬く大きなものに、拭う事に専念している少女の意識がじわりじわりと浸食されていく。腹部の後はどこを拭わなければいけないのか、そこは拭わなくても許されるのか。小さな、本当に小さなスポンジで。だが男も緊張しているのだから本来それを意識する事自体が不謹慎なのかもしれない。
「あ……っ」
 濡れて貼り付くタオルを避けて拭う香澄は、臍の下から広がる剛毛に触れてしまった瞬間小さな声を漏らす。それは零してはならない声だった。酔いに滲んだ意識の隅で、とろりと愛液が溢れる感覚に白い背が仰け反り、熱く震える息が鳴き声の形で露天風呂の湯気に溶ける。
「初めてなんだから徐々に慣れればいいんだよ」
「そうそう。もうちょっと飲んでリラックスしなよ」
「で、でも……」
 逃げ腰の香澄の口元に缶の飲み口が押し付けられ返事も待たずに傾き、男達の強引さに逆らえない少女の喉に炭酸系ではない甘く濃い酒が流し込まれた。ゆっくりと注ぎ込まれる甘い酒にこくんこくんと動く白い喉の上で、口の端から零れる酒がねっとりと筋を引いて垂れ、透ける水着の乳房の上に薄茶色の染みを作る。乳飲料や珈琲を連想させるがじんと甘く濃く沁みる酒気が鼻腔を満たし、口腔から胃まで広がる火照りが激しく脈打ち全身を巡り、よろめく香澄を男達が支えた。
「す…すみません……」
「よろよろして危ないなぁ」
「お前も座って楽しないで立ってやれよ」
「ぁ……」
 両肩や腰を男達に支えられる香澄は、立ち上がった目の前の男に思い出した様に手を動かす。立ち上がった男の股間でタオルはもう突き上げる性器に掛かっているだけで、香澄の手は下腹部近くの剛毛を掻き混ぜる形で頼りなく蠢き、急激な酔いにふらふらと揺れる身体に他の男が少女の下乳に手を絡める。拭わなければいけない使命感が頭の中で空回りする香澄は何気なく支えるふりの男達の指の力加減と微かな動きに気付けず、だが身体は酔いと共にその探る様な愛撫に微睡む様に任せていく。内腿に触れた男の指がぬるりと滑り、周囲の男に手にねっとりと絡み付き太い糸を垂らす愛液を指を何度も刷り合わせては開いて見せ付ける。
 熱くぼんやりと滲む様な感覚の中、香澄の指とスポンジは男の腰の上で弧を描き、はぁっと漏らす熱い吐息が目の前に立つ男の鎖骨の辺りにかかる。今まで一方的な凌辱をされる事はあってもこうしてまるで動かずにいる男性の身体を香澄自身が触れ続ける事はなく、逞しい胸板や腕を自ら確かめる様な動きを繰り返す疚しさが酒で潤みきった身体をぞくぞくと駆け巡っていく。自分にはない下腹部の茂みは野蛮な様でいて成人としての権利か何かの様に羞恥心を煽りながらもどこか羨ましく眩しいものに感じられるのは何故だろう。柔毛で下腹部を秘める事すら許されない自分がまるで奴隷か何かの様で、そして剛毛のある異性は皆隷属すべき主の様で頭の芯が甘く潤みきっていく。いやでも彼等は柔毛がない事は知らないのだから意識すべきではなく、堂々と拭えばいいのだとぼんやりと思う香澄の身体がかくんと前に崩れかけ、そして漸く男達に身体を支えられている事に少女は気付く。
「――ゃ……」
 羞恥に身を強張らせる香澄から手を離す事なく男達は赤く染まる顔を覗き込んでくる。
「お酒弱いんだね。ごめんね?甘ければいいかなって」
「だいじょう…です……支えて、いただかなくて…も……」
「お嬢様なのに仕事熱心だね。気にしないでいいよ?応援してる」
「おうえん……」
「掴まっていいよ。どうせだから背中側も拭って貰おうかな…いい?」
 どくりどくりと全身が脈打ち溶けてしまいそうな不思議な浮遊感の中、酔いが回り目の前の男の胸板に力無く頬を埋めてしまう香澄の手からスポンジが取り上げられ、生温かい濡れたタオルを握らされる。酔いで瞼が重い香澄は片手を他の男に取られ指を絡められ、他の男の支えから逃れられないままのろのろと男の背中に腕を回り込ませてタオルで拭う。少女の抵抗を招かないぎりぎりを狙う様に男達の手が白い身体を何気なく撫で回し、よろめく度に慎ましく閉じかけていた足は開かされていき、ゆっくりとゆっくりと香澄は男の胴にしがみつく形で腰を後ろに突き出す体勢へと変えられていく。ぼんやりと滲む意識の中、少女はまだ自分が手にするタオルが目に前の男の股間を覆い隠していた物だと、そして力無く項垂れるその顎のすぐ下にびくびくと脈打つ猛々しい傘からは先走りの粘液が滴り、少女のしなやかな黒髪が自ら穢れる様にそれに貼り付きねっとりと糸を垂らしながら絡み付いては解ける動きを繰り返している事に気付いていない。
 支えて貰えているだけなのだという認識の隅でちかちかと妖しい疼きが点滅し、気怠さに似た酩酊感に溺れる香澄の唇から小さな甘い鳴き声が零れる。男達の善意を疑ってしまった申し訳なさがぐるぐると頭を回り、堪らないもどかしさに身体がくねり、六人懸りの何気ない愛撫にやがて香澄は喘ぎ声を漏らす。
「拭って貰ってるのに悪いけどさ…香澄ちゃんがお風呂汚したら駄目だよ」
 暫しの朦朧とした時間の後、不意にかけられた声の直後、香澄の身体は引き起こされた。
「ぇ……」
「腰、べちょべちょだよ、ほら」
「は……あああああ!」
 唐突に堂々と水着の上から下腹部の溝をなぞられ、強烈な刺激に香澄は複数の男達に支えられたまま喘ぐ。一気に酔いを醒ます様な強い快感に大きく瞳を見開く少女の耳にぐちゅりとあからさまな粘液音が届き、それまでの何気ない少女の気付かない動きとは明らかに異なる大胆な動きで男の指が水着の上から溝に沈み込み、ぐちょぐちょと粘膜を擦り上げクリトリスを弾く。
「まぁ初めてなんだから仕方ないだろう。でも、拭っておかないと仕事が続けられないね」
 まさか男達が愛液も知らないとは思えないものの、だが余りにも悪意のない自然な口調に香澄は混乱する。これはコンパニオンならば普通の事なのかそれともあまりの落ち度に叱られているのか判断も出来ないまま、香澄は男達に押されるまま露天風呂の岩場の前に立たされた。
「拭ってあげるから、そこに横になって」
「え……でも、でも……」
「まだ一人も洗い終わってないんだから仕事になっていないし、お酌のお返しと同じで身構える話じゃないでしょ。まさか風呂汚す訳にもいかないし」
「そうそう。初めてのバイトだからって変に緊張しない」
 自然過ぎる声と男が見せつける様に指の間で伸ばす愛液の糸に、香澄は手に握っていたタオルで思わずその手を包み拭いながら俯く。まだ酔いから抜け出せていない思考は何か重要な事に気付けていない感覚があったが、性的な刺激の疼きを誤魔化したい少女は配慮に満ちた言葉に救いを求めてしまっていた。
「ぁの……自分で…ぬぐっていいですか……?」
「? いいよ。但し、ちゃんと拭っているか見てていいよね?」
「ぇ……」
「お返し禁止なんてルール違反したいんだからせめてきちんと出来てるか確認してもいいんじゃないかな?」
「そうだねまた汚さないか心配だし」
 どくんどくんと全身が脈打ち貧血の様に血の気が引いていくと同時に甘く妖しい酔いが頭の芯から爪先までを巡っていく感覚に香澄は肩で息を付く。ぽんと肩を押され、少女は盆を隅に寄せられて空いた岩場によろめきながら腰を下ろした。
 ひんやりとした岩の感触に身体を縮込まらせながらタオルをそっと下腹部に滑らせた少女は、全裸の男達に囲まれたままべったりと広がっている愛液の感触に仰け反る。水着の上から拭えばいいと思いながらも、男達に見られながら愛液を拭う恥ずかしさが妖しく身体を煽り、縮込まりながらもぞもぞと身体が揺れ動く。見ない様に心掛ける男達の腰はすぐ近くにある事が意識から離れない。出来るだけ早く済ませようと考えても震える指の動きは遅々として進まない。
「――全然駄目じゃないか香澄ちゃん」
 その声の後、膝の裏を掬い上げられた香澄の身体は岩の上にあっさりと転がされ、そして両膝が限界まで割り開かれて左右の男に押さえられ高く腰を上げた姿勢に固定された。
「ひ……っ」
「きちんと元から綺麗に出来なければいつまでも汚れたままだよ」
「ぃゃ……、や……やめ…やめてくださ……ひ……ぃっ!」
 まるで暖簾でも潜る様な動きで下腹部の溝に食い込んでいる水着の縁に指を潜り込ませた男に、慌てて香澄は両手でそれを押さえた。自分のその大胆な動きに驚きながら涙を零す香澄に、直前まで拭っていた男が優しげに頬を撫でる。
「香澄ちゃんが怒られたら可哀想だからね。きちんと仕事出来ないと、俺達も気の毒で堪らないから変に怖がらないで、ね」
「……」
「香澄ちゃんに拭って貰って気持ちよかったなー。こんなの自然な反応だよ…気付いてたよね、勃起しているの。上手に拭うからこんなになったんだし、香澄ちゃんが濡れているのも仕方ないんだよ。『まだ』恥ずかしいだろうけど、当たり前なんだから」
「あたりまえ……」
「そう、当たり前」
 頬を撫でる手が動き、下腹部を隠す香澄の手をそっと外していく。全員に見える様に大きく開かされた脚の中央で、水着の端に潜り込ませている指が焦らしているのではないかと思う程ゆっくりと、香澄の下腹部の布を宙に浮かせて下腹部の丘の端へと寄せる。ぺちゃりと音を立てて薄い腿の付け根に貼り付いた水着はそのまま留まり、下腹部全体に広がる夥しい愛液を溝の底から先端のクリトリスまでを中指全体を使いなぞって掬う指に、香澄の唇から甘く引き攣った鳴き声が溢れた。透明な太い粘液の糸が下腹部から引いた指までを執拗に伸び、不意に切れた後も指にぬらぬらと絡みつくそれを男が長い舌で見せ付ける様に舐め上げる。
「ほら、拭ったつもりでねっとねと」

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