アナウンスと発車メロディーの後ドアが閉まる中、香澄は呆然としていた。
環状線は思いの外空いており車両後部寄りのドアから乗り込んだ香澄が軽く見た限り同じ車両にはたった五〜六名しか乗車していない中、今先刻自分の喉奥にたっぷりと射精した男が正面に足を組んで座っている。箱型座席などでなく長いシートは車両の左右に伸びる形であり、男の位置は到底香澄を連れと考えられるものではない。
もしかして終わったのだろうか,
残酷な売春による処女喪失と集団による陵辱…これで一段落して悪夢はもう終わりなのかもしれない。もう十分過ぎる程辱められた香澄だが。まだ今自分が身に纏っている服が楽観的な期待をさせてはくれなかった。もしかしたら休息を与えられているだけかもしれない。
《香澄ちゃん》
不意に聞こえた男の声にびくっと少女は身を強張らせる。目の前からの指示の声は携帯電話の電車内通話の様に周囲に届くものではなく囁きかける様なものだった。恐らく他の乗客には気付かれる事はないであろう。率先したかの様なねっとりとした口腔奉仕から始発到着寸前までの陵辱染みた荒々しい抽挿と一滴も残さず嚥下させた口内射精まで、身体中が火照っている奇妙な充実感に少女は俯く。結局拭われる事のなかった下腹部に座席を汚さないかが心配だったものの、座席の位置まで指定する命令に逆らうには身体が甘く蕩けきっている。ホームの自動販売機の陰でいつ誰が訪れるか見られてしまうかが判らない状況で喉奥を突かれる激しい口腔陵辱だけで確かに香澄は絶頂を覚えてしまい、まだ余韻から抜け出せずにいた。
「はい……」
《今度はそこでオナニーして》
男の声に逆らえず小声で返した香澄はその指示に赤面する。やっぱり、と心のどこかで諦めつつ何度も昂ぶり乱れた呼吸を繰り返し、香澄は車内を盗み見る。やはり官庁街などの徹夜帰りなのか鞄を持ったサラリーマンばかりで誰も車両の隅で身を縮込まらせている香澄に興味を示している様子はない。電車内特有の緩やかな横揺れに時折ニップルリングの鈴がちりんと微かに鳴る中、剥き出しの腿の上で重ねていた手をきゅっと握りながら上目遣いに男を見て容赦を求める香澄に男はにやりと口の端を吊り上げる。
《早く始めないと次の駅に着くよ?》
環状線は郊外への路線と比べ駅の間隔は短く駅を発車して加速したかと思えばすぐに次の駅への減速が始まり、到着まで僅か二〜三分もかからない。そんな短い時間での自慰では夢中になる前に時間になってしまうだろう。つまり真似をするだけでいい筈だと心の中で言い訳をし、香澄は腿の上の手をそろそろと内腿の奥へと割り込ませる。
「ぁ……」
馴染みのない細い鎖に繋がれているクリトリスに触れた瞬間、シートの上でびくんと香澄の身体が震えた。気付けば犯され続けていて長い時間自慰に耽ってはおらず、指先に当たった膨れたクリトリスとニップルリングを確かめる様に香澄は指先で柔らかく撫で回し、指にねっとりと絡み付く濃い愛液に赤面する。膣口から溢れ粘膜の谷間全体に広がっている愛液はぬるぬると濃い葛湯の様に指とニップルリングにも絡み付きにちゃりと淫猥な音を立てた。
洗浄で膣奥まで綺麗に洗い流されてからはまだ誰にも触れられていない場所の淫らな反応に心の中で自分への言い訳を探しつつ、香澄は指先から逃げるニップルリングを探る。食い込んでいる、こんなに強く食い込んでいる…膨れたクリトリスを左右から挟む金属の球にぞくぞくと背筋がざわめき、肩で呼吸を繰り返しながら白い指は淫虐の道具とそれに責められ続けている敏感な突起を撫で、秘かに捏ね回す。
《次はー**。次はー**》
停車のアナウンスが聞こえる中、香澄の甘い吐息が通話機に拾われ、正面に座る男が雑誌で隠しながら撮影を続けるカメラは演技でなくもどかしい自慰にうっとりと耽る少女を捉えていた。電車に乗り込む前後で迎えた日の出の時間に、橙色に染まる東の空は見る見るうちに明るさを増し、ビル街の隙間から差し込む光がびくびくと震える華奢な肢体を容赦なく照らす。減速に車内ががくんと揺れる度に指先がクリトリスを軽く弾き、甘いもどかしさに名残惜しさを感じながら香澄は手を離そうとする。
《そのまま。次の駅で誰も乗ってこないかもしれないだろう?》
男の声に香澄は動揺し俯く。指示には逆らえないが、クリトリスに触れたまま停車駅に着く恥ずかしさや危機感を認識出来る上で香澄の頬は更に赤くなる…指を離せないのは命令だからであって、決してまだ自慰が名残惜しい為ではない。
《ほら俯いたままにならない。――オナニーも続けて》
かくんかくんとブレーキの振動に揺られながら瞳を閉じて寝たふりをしようとした香澄は男の指示にびくっと震える。クリトリスに触れたまま動かないでいる事ですら恥ずかしいと言うのに停車中も自慰を続けなければいけない、その淫らで破滅的な指示に息を詰まらせる少女の指の更に先で膣口から溢れる愛液がねっとりとシートに絡み付いていく。
怖い。
減速しながら駅のホームに滑り込む電車の車窓から人の姿を見つける度に少女の心臓がどくんと大きく鳴る。巨大ターミナル駅と違いめぼしい乗換もない駅はやはり人影も少なく、速度が落ちていく間に安堵と緊張が交互に繰り返し少女の瞳は落ち着きなく揺れ、その下腹部の指は意識をホームに奪われたまま密やかにいや無意識だからこそ快楽に従順にクリトリスを捏ね回した続けていた。
階段の位置から離れているのもあり車両の停車位置に新たな乗客の姿がないのを見た香澄は安堵の息を漏らす。
まだ夜間の涼しさが残る車内で僅かに汗で湿る白く細い腿のその付け根までしか服に隠されておらず、ぴったりと行儀良く揃えた膝のその奥で、薄い内腿の隙間に差し込んだ手が羞恥に染まる清楚な風貌を裏切る様な忙しない動きを繰り返す。
《どんなオナニーしてるの?》
「……。く……クリトリスを…触っています……」
《気持ちいい?》
「は……ぃ……」
男の質問を聞き答える度にどくんと膣内が脈打ち、肩を上下させ呼吸をする香澄の乳首がもどかしい疼きに固くしこる。抓られたい噛まれたい引っ張られたい、せめて自分で慰めたいがこんな場所では脚の間に手を挟んでいる状態はともかく胸を弄るのは目立ってしまう。いやそもそも自分にはこんなふしだらな性癖などなく、命令されて嫌々従うしかないのだと香澄は微かに首を振る。
《クリトリス弄りながらおまんこに指挿れて》
発車メロディに続き扉が閉まり安堵する香澄の耳に、男の指示が届いた。
まさか電車内で、視界を遮って貰える状況でもなく。男の指示に香澄の顎がわなわなと震える。出来る筈もない。だが、逆らえる筈もない。
加速していく電車内で何度も深呼吸を繰り返しながら少女の一方の指はまだクリトリスを指示通りに捏ね続けていた。
濃密な愛液は既に谷間から溢れ、洗浄の際に男達に丁寧に剃られ除毛クリームを更に念入りに刷り込まれた無毛の丘にまでぬるぬると絡み付いている。そもそもあまり生えていなかった柔毛だが除毛クリームは外国製の強力なものであり繰り返し使うともう生えてこない可能性もあるらしい。一生この惨めな姿にさせられてしまうのかと怯える香澄を代わるがわる犯しながら何枚もの画像が撮影された。
男達の赤黒い性器はそれぞれ思いの外色も形も異なっており、幼女の様な無毛の丘とその奥でずっぷりと膣口を犯す幹の拡大画像を突き付けられ、誰の物か当てられるかなど異常な遊びを思い出し香澄の全身がぶるぶると震えた。
二つの穴を同時に犯されている画像も、至近距離の物と全身像で撮影されてもうインターネットで配信されてしまっている。香澄が問いの答えを間違えたり命令に応えられずにいる度に画像や動画が即座に配信されていった。同級生達は自分の赤裸々な姿をもう見てしまっているだろう。気を失いそうな恐ろしい状況を見せつけられながら、前後から貫かれ揺さぶられ絶頂し失神し気が付いてもまだ最中で貫かれ続け何度膣内射精をされただろう。インターネット配信されている画像の中でもそれを見させられているベッドや床の上でも、両方とも香澄は犯されていた。
猛々しい牡に犯される感覚を思い出し熱く、更なる恥辱による破滅の予感に怯え、香澄の瞳が揺らぐ。
《早く挿れないと香澄ちゃんが困る事になるよ》
男の声にびくんと身体が強張り、何度か呼吸を繰り返した後に香澄はゆっくりともう一方の指をクリトリスのその先に進めた。
「ぁ……あぁ……っ」
指が沈んでいく粘膜の谷間を満たす愛液の濃厚さに、退出前に膣奥まで洗浄されているにも関わらずここまで濡れてしまう自分の身体を淫乱だと蔑まれている錯覚に香澄はぶるぶるっと身を震わせる。一昨日は水に近い粘度の低い液体だった物が、今は男と女の結合の滑りをよくさせる為のいやらしい媚態の象徴そのものになってしまっていた。たった二日でどれだけ自分が弄ばれ、そして快楽付けになっていたのか…やるせなく緩い吐息を漏らしつつ指を進めた香澄の指がぬるりと膣口に沈み込んだ。
「ん……ぅっ」
思わず甘い声を漏らしてしまい香澄は人気のない連結扉へと顔を逸らす。
一昨日の夜は自宅で延々慰めてしまった場所だと言うのに嘘の様な違いと堪らない疼きに思わず動きを止めてしまった香澄はしばし瞳を閉じ続けてから男を見る。
《まだ全部指挿れてないよね》
「はい……」
手の位置で判ってしまうのか疑問形でなく指摘する声に項垂れて香澄は指を膣口から奥へとぬぷりと進ませる。違う。まったく違う。自分の細い指では猛々しい性器はおろか男達の指とすら比較にならない。頼りない棒切れをか何かを挿入される焦らしの様な物足りなさに純粋に驚き、そして僅かな間の後その淫らな思考に全身がかっと熱くなり少女は縮込まる。
クリトリスと膣内を自ら慰める指に豊かな乳房は両脇から腕で寄せられむにゅっと搾り出される形に歪み、微かな動きですら卑猥に上下に揺れた。
《物足りなそうだね》
「そん……な、そんなこと…ありません……」
まるで自分の内心も身体の奥も見透かす様な男の言葉に弱く首を振る少女はそっと膣内の指を前後させてみるが、確かに異物感はあっても快楽には到底及ばない。その物足りなさはまるで自分が陵辱を待ちわびている証拠の様で香澄は全身を震わせる。
《じゃあいくまでオナって。――駅で止めるのもなしだよ、気持ちいいならすぐいけるからいいよね》
環状線は次は香澄でも知っている有名な電気街に停車する。確か乗換駅でもある筈で乗降の可能性は高く、香澄は細く啜り泣きながら指を動かし始めた。
ぬるんぬるんと膣内に指が沈み込む度にその細さの違和感に切ない呻きが漏れそうになり、早く絶頂を迎えようとクリトリスと膣内を探る動きは忙しないこものになる。シートの上で縮込まる華奢な肢体の中で目立つ豊かな乳房が更に寄せられ、たぷんたぷんと遠目にも判る程揺れている事に香澄は気付かない。
くちゃ。
はっきりと響いた愛液を掻き混ぜる音に香澄はびくんと跳ねる。今は電車の走行音もあって離れた座席までは届かないかもしれないが、だが静まれば聞かれてしまいそうな淫らな音に咄嗟に見た男が首を振る。
《止めたら顔が見える画像貼っちゃうよ?》
男の言葉に香澄は唇を噛みしめ、付け根まで膣内深くに挿入している中指に僅かな躊躇いの後、薬指を加える。既に一本挿入している膣内にぬろりと薬指を追加した香澄はその途中から甘い喘ぎを微かに漏らす。まだ足りない。指を二本も挿入しているのに男の性器には敵わない。いやらしい。常は何も迎え入れていない場所が、たった一日足らずでとても太くて猛々しいものが欲しくて堪らないいやらしい孔に変えられてしまった。誰もがしている事なのだから仕方ない。当たり前なのだ。いや恥ずかしい。恥ずかしい行為をあんなにあんなに繰り返して、玩具にされて、よがって、気絶するまで犯されて、気絶しても犯されて……あの太い物に。いやらしくてとても熱くて硬い逞しい物。おじ様のもの。あの人達のもの。ずぷずぷ犯される。代わるがわるずっとずっとずっとずっと……。
「ぁ……ぁぅ……ん…、ぃぃ……」
囁きの様な小さな声で甘く蕩けて香澄は喘ぐ。深く指を挿入させる為に密着する腕がワンピースの短い裾を巻き上げ、正面に座る男とそのカメラに両手の合間から白い無毛の下腹部を晒している中央で、細い手が小刻みに上下に揺れ続けていた。かくんと減速に揺れる電車に気付かず、物足りない二本の指の挿入に引き摺られて男達からの荒々しい陵辱の記憶に溺れる香澄は譫言の様に淫らな単語を繰り返す。
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