『真夏日とセーラー服(仮)』八駅目前編

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 くちゅくちゅとひっきりなしに沸く淫らな水音は控え目ではあるが香澄の耳にははっきりと伝わっていた。もしもこのまま駅につけば、すぐ近くのドアから乗車した誰かが気づいてしまうかもしれない、いやその前に今この車両の乗客が聞いてしまったら…その危惧に香澄は懸命に声を抑え、そして下腹部に力を込めようとする。愛液がこぼれてしまうのが音の原因なのだからこれ以上はこぼれない様にしなくてはいけないと込める力が膣内を弄ぶ男を愉しませてしまい、そして香澄自身の性的反応を目覚めさせてしまうだけなのを少女は判っていなかった。
「ぅ……ぅ…ん……っ、ぁ……っ…ぁぁぁぁ……ぅっ」
 無理矢理であってもキスで多少封じる事が出来た喘ぎを、指を含まされているだけで開いたままの口ではどうにも出来ず、香澄は何度も弱く首を振る。両乳房を揉まれ、乳首を捏ねられ、クリトリスを擦られ、膣に指を抽挿されるだけでなく、愛撫の手は更に増え背筋や耳や尻肉など香澄が気付いていなかった敏感な場所を男達の手が圧倒的にまさぐり暴きたてていく。
 喘がずにいる事が拷問と等しくなっていた。
 香澄の指を男がしゃぶり、まるで男の性器に見立てた様に生温かい口内に収め吸い付かれた時、背筋から膣奥へ弱い電流に似たぞくりとしたものが駆け抜け全身が震え、それを知った男は細い指を更に執拗に舐め回す。
 膣に挿入された指の本数は一本だと判ってしまう惨めさと一点を責めない安堵はあったが、香澄は逆に異物感の減少がもどかしさに変わる事実に啜り泣いた。疑似尿意の様な切迫した悪意のない愛撫は先刻の弛緩の快楽に近く…だがどこか異なっていると少女を不安にさせる。苦しい異物感から解放されたというのに、何かが足りない。一度開いた大きな傷口の喪失感が残る様な、まるで杭を打たれた状態が自然だったかの様な異常な空洞を感じ、そしてそこを指一本で擦られる常習性を感じるもどかしく甘いむず痒さに、香澄は怯えて泣いた。
「はぁ……っ…ゃ……ぃゃ……ぁ…っ、やめ……っふ…ぅぅぅ…ぁ……ぁぅぅぅ……ぅぷ…っぁ…ぅ…ふ……ぅ…んっ」
 意識を逸らそうと口内で遊ぶ指に少女は吸い付き、そしてそれに意識を集中させようとする。膣口の締め付けと口内の指に夢中になれば喘がずに済むのだと本気で思った香澄は、突然目の前に差し出された液晶画面に映った光景に驚く。恐らく窓を遮っている男が撮影しているであろう画像は速度を落としてホームに滑り込んでいく電車の外の光景で、何人もの姿が画面を右から左へと流れていく。すぐ近くのドアを待つ人がいてもおかしくない、今、たった一、二メートル先に無関係な人がいる、そう知り怯える香澄の膣に、不意に二本揃えた指がゆっくりと挿入された。
 くちょっと音をたてて捩じ込まれた指に、シミ一つない少女の尻がびくびくと大きく痙攣し、膣口から指の分だけ愛液が溢れ出し、そして指を引き抜く寸前から膣奥までの長い抽挿が螺子の様に捻りながら繰り返される。
 弄ばれる絶望感よりも深く、香澄の膣肉の奥からの淫蕩なうねりが全身に波打って襲いかかった。
 まだ本当の男も知らない膣がようやく与えられた当然の行為の様に指を咥え込み、香澄が意識して行うより確かに膣内をざわめかせ、指の抽挿に応じて締め付ける。小刻みに全身を震わせる香澄は心臓が脈打つたびに浸透していきそうな深いうねりに、電車が止まりドアが開くのも気づかずに、男の指に吸い付き、そしてキスの続きの様に指を舌で擦りたてた。少女に残った思考の全てで指を舐め、そして全身の感覚のほとんどが膣のうねりに引きずり込まれていく。
 くちゅっくちゅっと定期的に漏れる音の中、わずかに怯えを忘れかけた少女の苦悶に似た陶酔と疲労の混ざった呆けてなお清楚さを残す顔や、はっきりと痙攣する内腿や蠢く膣の周りから窄まりが無機質なレンズに晒された。出入口に近い為か、人垣の向うから流れ込む夏の熱い空気を肌に感じる香澄の虚ろな瞳に、幾人か降りていく男性客と、それと入れ替わり乗車する男性客の画像が映る。
「本当に処女か?」
 先刻の男性のものとは異なる声に、香澄の背筋がぞくりとざわめく。何人の男性が関わっているのか判らないのが恐ろしく泣いて蹲りたい筈だが、少女は緩い仕草で指を吸う事しか考える事が出来なかった。
「返事は?」
 囁く様な声だが不思議と香澄の耳にははっきりと男の命令が聞こえてくる。もう終わると少し前に考えたのは甘かったのかもしれないとぼんやりと考える少女の思考は、緩やかに引き戻されつつ暗い絶望が浸透していく。
「は…ぃ……」
 津波の様に襲った圧倒的なうねりが緩やかに引いていく中、香澄は習慣の様に男の指を舐めつつかすかな声で答える。いっそ何も考えない方が楽なのかもしれない…従ってこの惨い仕打ちをやりすごした方が早く終わるのかもしれない。その思考が逃避だと判っていても、男達に抗うだけの勇気がない香澄にはそう考えるのが正しい気がしてならない。電車の発車の揺れに身体が前後し、膣を貫く指に予想外な動きで突かれた肢体がびくびくと痙攣し、まだ抜けきらないうねりの余波に香澄は喘ぎかけ、また指に吸い付いた。
「美味そうに指しゃぶりやがってこのいやらしいガキめ…可愛い顔してマゾ臭がぷんぷんしやがる。――指、抜けよ」
 男の声にびくっと少女の肢体に震えがはしったが、引き抜かれたのは膣内の指でなく口内にあった指だった…そのまま後ずさり離れる男に、香澄の前に狭い空間が空き、前のめりになっていた上半身がわずかに起こされる。目の前にあった小型液晶画面が離され、いつからかすぐ近くで自分を見下ろしている三十代の会社員だろうか神経質な面持ちのスーツ姿の男の存在に香澄は気づいた。その口が動くのを怯えた瞳で見つめる香澄の膣では、動きを緩めながらも快楽の波から逃さない動きで抽挿がゆっくり繰り返され、そして次の責めまで様子をみる様な緩慢さで全身が弄ばれ続けている。
「逆らった場合は俺達は次の駅でお前をその格好より酷い状態で放り出すかもしれないし、危害を加えるかもしれない。判るな?」
 さらりと言われた恐ろしい言葉に香澄は凍りつきかけ、そしてようやく小さく頷いた。そして至近距離で弄ばれ続けている下腹部を撮影するビデオカメラに気づき小さな悲鳴をあげかけ慌てて口を閉ざすが、執拗な愛撫に小鼻から緩い喘ぎに似たものがこぼれてしまうのを抑えるのに必死な少女は男の目くばせの後、一気に襲ってきた愛撫に仰け反り歯を食い縛る。だがやり過ごす術のない香澄を再び快楽のうねりに溺れさせるのは男達にとってはいともたやすい事だった。
「っ……ぁあ、ぁ、ぁぅ…っ……ゃ…!だ…め……ゃ…こえ……でちゃ……ぅ…っ」
 甘くかすかに漏れてしまう浅ましい媚声に香澄は首を振り、俯きかけの体勢にある乳房は男達の手に捏ね回されながらぷるんぷるんと淫らに揺れる。男達に操られるままに開いた脚の間で自由に手は動き、膣口を執拗に弄ぶ男は少女の短いスカートの影で未熟な尻肉を舐り、そして軽く歯をたてた。軽い痛みにすらちいさく声を漏らしてしまい頬を涙が伝う香澄の顎を男の手が掴んだ。
「そのいやらしい喘ぎ声がもっと大声になるのと、口を塞いで貰うのとどっちがいい?」
「ぁ…ぁ……」
 酷薄な笑みを浮かべる男に見下ろされる少女の大きな濡れた瞳が悲しげに揺れ、翻弄され惚けかけた顔の純白の歯と小さな唇と舌がわななく。華奢なうなじも肩甲骨も露出し、背でガムテープに縛られた腕にセーラー服が絡みついただけの桜色に上気した上半身が男達の視線の中でくねる。くちゅくちゅと水音をたて続ける膣口から溢れる愛液は無理矢理昂ぶらされた初々しい牝のにおいを周囲に漂わせて、ほつれた黒髪が肌に貼りつく様が更に桜色に染まった肌を引き立て、淫らな陵辱を受ける少女の清楚さとその無残さを際立たせていた。
 脱げたローファーは床に転がったまま黒のニーソックスだけの足で電車の床に立たされ、巧みにカメラの視界を遮らない様に囲む男達の手で前後左右から弄ばれる香澄の腰が無意識のまま卑猥に揺れる。俯いてなお整った形を留める乳房に音を立てて吸いつかれ、指先で乳首を強く弾かれ、喘ぐ香澄の顔をペットの様に男の指が撫でた。
「俺達に従えば、もっと気持ちよくさせてやるよ」
「……、そ…んな……ゃ…、いや…で…す……ぁ…はぁ…ぁぅっ……ぁぁんっ…ぃゃ……っ」
 否定しながら、香澄は男の言葉に何故ぞくりと背中の震えてしまうのかが判らず弱く首を振る。男達の惨い仕打ちに耐えるのがやっとの自分が更なる続きなど求める筈がない…そう思う少女のスカートの中で、男の指の緩やかな抽挿を受け止める膣が淫猥に波打ち、首を振るその瞳は絶望に彩られていたが口元は溢れる喘ぎに緩み、その顔は男達の行為がエスカレートするのを怯えつつ待ち望んでいるそれだった。男の甚振る言葉にすら恍惚として悦んでいる様に見えつつ、だが羞恥と怯えが消えない顔を男の指が撫で回す。
「た…たすけ……を…たす……ぁぁぅ…っ……はぁ……ぁん…っ、やめてくださ…ら…ない……ぅぁ…んっ……!」
 なけなしの勇気で懸命に言葉を紡ごうとするその顎を男が掴み、無機質な目で覗き込まれ香澄の顔が恐怖に凍りつく。
「やめないと何だって?」
「た……、たすけを……よびます……」
 走行音に簡単に掻き消されてしまいそうなか細い震える声を何とか絞り出す少女は、自分が更なる勇気で周囲に助けを呼べる筈もない事が判っていた。だがそれでも非道な二者択一を迫る男に一言でも抵抗しなくてはいけないと思うのは、我が身可愛さではなく自分を育ててくれた親の愛情に報いようとしていたのかもしれない。
 香澄の言葉につまらなそうな表情を浮かべた男はその顎から手を離した。
 まさか許されるとは思えずにいた為に驚きと安堵に力が抜けそうになるものの、顎を掴んでいた男以外からの責めは相変わらず続いたままであり、解けた緊張に更に溢れそうになる喘ぎを堪えようと香澄は唇を硬く結ぶ。続いて男が他の男達を止めてくれる、そう思う目の前で、男はポケットから取り出した携帯を操作し、そして少女の前に突き出した。
「……、ぇ……? ――ぃ…ゃっ!」
 インターネットのサイトと思しき画面の中で、首から下の裸身を晒している女性の画像が映されている。見覚えのある車両と、そして体勢と、ウエストで巻き込まれている短いプリーツスカートと後ろ手に引っかかっただけのセーラー服に、群がる男達の手に弄ばれている白い裸体…加害者被害者の顔を器用に避けて映されたそれは考証するまでもなく香澄自身の惨めな姿だった。全身の血が音を立てて引いていく感覚が少女を襲い、意識しない引き攣った浅い呼吸と肉体がもたらす喘ぎだけが小さな唇から繰り返し漏れる。
「これ以上逆らえば…まずは大量投下だ。最初に顔と学生証をはっきり映したのもあるし、お前の顔もはっきり映り込んでいるのもある…一度流出した画像の回収が不可能なのは判るよな?」
 自分を撮影する複数のビデオカメラに香澄の怯え切った瞳が不安定に彷徨う。どれが撮影し、インターネットに画像を送ったのか、このビデオの中のどれかが静止画を撮影出来るのかもしれないと考える香澄は、更に工程を経て静止画だけでなく動画を送信する方法がある事まで考えが至らなかった。今まで撮影された画像は、動画は、一つ二つなどでなく恥辱の始まりから今までの数十分を様々な角度と距離から撮影され続けており、そして男達の身元は隠す様に配慮されていたが、香澄の顔を隠しての撮影はほとんど意識されず、逆に快楽を教えこまれ身悶え鳴き喘ぐ清楚な十七歳の顔と肢体を同時に画面内に収めて執拗に記録しているものが大半である事など知る由もない。
 携帯をポケットに仕舞った男は再び怯える香澄の顎を掴み、上げさせた。
「さぁて…生意気な態度にはお仕置きが必要だ」
 冷めた目のまま口を歪めた男を死刑宣告をする裁判長の様に見上げ、全身を弄ばれつつどこか違う世界の様に感じつつ翻弄される香澄の耳に、ファスナーが下ろされていく音が、遠く響き、届いていた。

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