負けたくはなかった。
清めの泉で禊をしてから漣は祠の奥の井戸の梯子を下りていく。夜中の三時。もう社の者は誰も起きてはいない…いや門番は起きているだろうが社の中を見張ってはいない。梯子を一段降りる度にぬちゃあっぬちゃあっといやらしく濡れた下腹部の襞が谷間の中で捲れて擦れるのを感じて漣の頬が染まる。退魔巫女は処女でなくてはならない。それなのに、自分は。
井戸の底には別世界が広がっている。地下世界と言っていいのだろうが夜明けの訪れない夜の世界。成長も枯れ果てもしない鬱蒼とした木々と天にない月が照らす鈍い色の世界。そこには悪鬼がいる。繁殖力が強過ぎて退魔しきれない雑魚の小鬼は無限に増殖する為に密かに退魔師を育てる為に使われている…だがそれは一流の退魔師の監督下での訓練の為であり、そして、退魔巫女はこの世界に降りてくる事は許されていなかった。
その理由は……。
木々の葉擦れの音を聞きながら漣はゆっくりと白衣の胸元を大きく広げ、豊かな乳房を露わにする。緋袴は滅茶苦茶な形に切り裂かれた物であり、最初から乙女の下腹部を隠せる丈ではなくなっていた。――漣が最初にこの世界に降りてきた時の装束だった…あの時の漣は今よりも無力で小鬼の群れに結局勝てはしなかった…何と弱いのだろうかと絶望しながら無数の小鬼に襲われ、犯され、身体中に生臭い精液をかけられ、そして口も膣も窄まりも、盃どころではない、瓶子を幾つも費やしても足りない程の精液で腹をたぽたぽに膨らませ呆然自失となり果てていた漣は密かに連れ出され、半廃人状態となり座敷牢に封じられてしまっていた。だが奇跡的に神力が増した、増してしまった。密かに牢を抜け出しこの世界に降りてこられる程に。
月のない夜の明るさが心地よい。風が微かに吹いている。乳房を露わにした漣はうっとりとした表情で自らの乳房をたぷんと掬いあげて揉みしだく。下腹部はもうぬるぬると愛液を滴らせ膝まで内腿を濡らしている。
小鬼の繁殖は、人の女を使って行われる。何十何百の小鬼が人の女を犯し孕ませ一度に何十何百の小鬼を産ませる。虫の様な大きさのものもいれば人には産むのは不可能としか思えない大鬼の仔まで孕まされ、そして短かな期間で産まされる。――その間、腹の中の鬼の妖力は腹の主のものになる。産んでも仔と繋がった妖力は漣に蓄積されていく。今は社の奥で哀れな元巫女の真似事をしているが、その気になれば皆殺しに出来てしまうだろう。ただの人の子の神力をそれは上回る。その事実に気付いたのは二度目の出産の後だった…二度目は死に場所を求めて地下世界へ降りたが、三度目からは妖力を求めて漣は降りる様になっていた。
今日はどの鬼に犯されるのだろうか、どの様な強い種を仕込まれるのだろうか。はぁっはぁっと欲情の喘ぎを漏らしながら乳房と膣を自ら揉み解して牡を受け入れる準備を整える漣は、つぷつぷと指で膣を掻き混ぜる…出来れば大鬼の仔が欲しい。腕より太い剛直で犯され一度で腹が膨れる強力な精を何度もなんども子宮にまで注がれ小鬼では三夜ほどで産む仔が一月は腹に留まり子宮の中で漣を蹴る…愛しいとは思わない。産む度に殺している。愛しもしない牡の仔なのだし退治するのは漣の役目なのだから当然である。面白い事に人の子と違ってすぐに孕めるから、漣は産んだ翌日にはまた地下世界で子種を仕込ませる。強くなる、それだけが目的。
「あ……はあっ!臭い……っ、くさい……!んはああっ、まだよ、まだ、もっと射精して!もっと……!」
ぐちょぐちょと膣を犯す小鬼の肉棒に四つん這いになりながら漣は腰を振る。今日ははずれかもしれない。だが小鬼であっても少しは漣を強くはするし、楽しませてはくれる。赤子の様に乳首にむしゃぶりつく小鬼に乳房を押しつけて振り、可愛らしい肉棒をしゃぶる。鬼の精が栄養になるかは知らない。どうでもいいが、漣にはそれはもう生臭く苦く粘り強く汚らしいが美味しいものとして認識されてしまっていた。肌にかけられている大量の鬼の精液を擦り込まれている漣の身体は青暗い森の中で白く照り輝いているが、そこから立ち昇る気配は既に大鬼よりも禍々しく、だが何故か温かなものだった。
何百匹もの小鬼と交わった後、ずしりと木々を揺らし、凶悪な姿の大鬼が姿を現した時、漣は精液の池の中で嫣然と微笑んだ。
「頂戴…お前の子種、私にちょうだい……」
大鬼に恐れをなしてきいきいと鳴きながら逃げ出した小鬼達の精液溜まりの中で、漣はどぷりと雑魚の精液を膣口から溢れさせる陰部を自らの白い指で左右に広げ、股を開いた。
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84『邪法・序』
FAF202010232351