2020余所自作76『耐える王女』

表TOP 裏TOP 裏NOV 75<76>77 BBS

 白い部屋に入ってきた男に、アウロラは身を強張らせた。
 郊外の別荘に向かう最中の車が襲われ、その場で従者達が銃殺されるのを見てしまった少女は小さな布切れの猿轡と金属の首輪を施された後、桜色のワンピースの胸を引き裂かれ後ろ手に縛られ、目隠しをされてその場から連れ去られてしまっていた。アウロラの国は本当に小さく、中央部にある王都から国境までが車で2時間もあれば辿り着けてしまう小さな、本当に小さな国だった。狭い国土の五分の一が湖で、観光と酪農しかない細やかな独立国…だった。地下資源が採掘されるまでは。小さな銀の鉱山のすぐ脇に発見されたそれは、小さな独立国の存在価値を塗り替えてしまった。だがそれでも国王一家の一人娘であるアウロラは国民に愛される優しい姫のままだった。数時間前までは。
「ん……ふ…ぅっ!」
 男は背後からアウロラの乳房を、揉みしだく。豊かな白い乳房を乱暴に扱われ涙ぐむ少女の瞳に、男の手にある鞭が映る。一度だけ、たった一度だけそれで尻肉を打たれている。激痛よりも音の激しさにアウロラは怯え、そして失禁してしまっていた。泣きじゃくる少女のワンピースの尻肉の辺りまでが切り裂かれ、失禁で濡れた部分は破り捨てられ、今アウロラの白い肉体を包んでいるのはウエストの辺りに溜まっているワンピースの残骸だけだった。パンティもガーターストッキングも奪われ、アウロラの薄茶色の髪と同じ下腹部の柔毛までもが露出してしまっている。
 そんな惨めな姿のアウロラと異なり、背後の男の身形は整えられている…隣国は軍事大国であり覇権国家だった。ここ数年で周辺国家の幾つかが征服されている。アウロラの国が侵攻されていないのは地理上の価値がない為だった…が、例の地下資源が影を落とした。
「――ん…くぅぅぅぅぅぅっ!」
 ずぶずぶと男の肉槍がアウロラの下腹部のその奥底へと沈み込んでいく。処女を奪われた痛みが引いていない場所を再び犯される痛みに身を強張らせる少女の上半身が味気ない机の上に沈み込み、腰の前だけを開けさせた男が白い腰を掴み荒々しく膣奥を突き上げる度に机が軋み、アウロラの首輪の鎖がじゃらじゃらと鳴り響く。
「痛みは取れたか?」
 足首まで一度目の凌辱の白濁液と破瓜の血を流し、その汚れを拭われてもいない少女を犯す男が冷めた口調で問いかける。まさかベッドの上以外で男女の睦事が行われるなどとは思いもしなかった上に、思いやりの欠片もない凌辱に怯え切っているアウロラの牝肉は、それでも健気に牡の凶器による負担を減らそうとしているのかじわりと愛液を滲ませその衝撃を受け入れようとしてしまう。んっんっんっんっと男の抽挿の度に詰まった声が漏れ、机の上で痛みを堪えるアウロラの乳房を掴み、男が上半身を起こさせる。美男子と呼べなくもない…もしも舞踏会などで紹介されたのならば胸がときめいたかもしれない顔立ちだが、男の目はとても冷たかった。
「早く婚姻に同意しろ。全てが平和的解決の為だ」
 従者達を銃殺しておいて平和も何もない、そう思いながらアウロラは男の抽挿の激痛を堪える。恐らく避妊はしては貰えていない…男は先刻アウロラの膣奥に射精している。男と女が結ばれれば子供が出来る…アウロラが産む子供は将来の国王か女王になる存在だった。そして、今、アウロラを犯しているのは隣国の皇子である。国母として遇する配慮を感じられない、拷問としか思えない抽挿が続く。王女誘拐拉致事件は直ぐに国の内外に広がるだろう、恐らく直ぐに犯人は判る。友好国からの支援もあるだろう。――だが、それはいつの事だろうか?

 んはあっ!ん…あ!あぁあああああ!
 白い部屋の中に声が響く。猿轡も首輪もなく、だが何一つ身に纏う物のない小国の王女が、男の下で堪え切れない嬌声をあげて全身を汗に塗れさせ身を捩る。ぱんっぱんっぱんっと腰を打ち付ける男を脚の間に受け入れる可憐な唇が貪られ、徐々にじょじょに交わりの延びていったが、毎朝毎晩生殖行為を繰り返す男に情欲が芽生えた様子は見受けられないまま、少女は本能的な牝の悦びに染められていく。
 自分が受け入れれば侵攻されずに済むのかもしれない。愛する細やかな国民はこれ以上殺されずに済むかもしれない。だが、せめて、人生を共に歩むと人は愛情を育みたかった。もう何十回何百回彼の精液を膣奥に浴びせられてきたか…もしかしたらもう子を身篭もっているのかもしれない。アウロラは宗教的に堕胎は出来ないし、そもそもそんな思考がない。せめて愛してくれるのならば。そう考えるアウロラの身体を床の上で男が貪る。女が歓喜すればする程男児が生まれやすいと、どこかで聞いた気がする。男は徐々に愛撫を増やしていった。だが、鞭も振るう。しかし回数は減った。男はアウロラを噛む。デコルテのドレスはもう着られないだろうと思う程に、身体に痕を残す。血が滲む程。冷淡な目で見下ろす男が。硝煙の臭いをいつも漂わせる男に今日は何をしたのかを聞けないまま、王女は男の子種を注がれ続ける。
 何をすればいいのか、平和の為には、どうすればいいのか。
 鳴き喘ぐアウロラは、男の腰に無意識に脚を絡めてしまいながら膣奥で猛々しい征服者の二度目の射精を受け止める。

Next 77『誰も助けてくれない悲壮の状況』
FAF202010132332

■御意見御感想御指摘等いただけますと助かります。■
評価=物語的>よかった/悪かった
   エロかった/エロくなかった
メッセージ=

表TOP 裏TOP 裏NOV BBS