鼻歌が始まってしまいそうな絶好の混み具合に夏織は口の端を吊り上げた。
ウエストまでの漆黒の髪と抜ける様な白い肌に黒目がちな大きな瞳と言う清楚な要素が多い夏織だが、65のGカップの乳房はずしりと重そうでありながら円錐型にやや左右に開き気味に突き出て上半身の華奢さを際立たせ、そして細いウエストより下は上半身と比べむっちりと肉感的ですらある…何より生意気そうな表情が人目を引く。絶対に男の言う事を従順に聞く娘ではない。だが世間擦れしてもいない。自由気侭な子猫、それが夏織である。
十何人もの男達が電車に乗った途端に自分に視線を向けるのを感じながら、夏織は程々に混雑している電車内を連結部へと歩き、そして隣はグリーン車で滅多に開閉される事のない連結部の扉のノブに鞄を引っ掛けた後、車内を肩越しに一瞥した後、制服のスカートのウエストに手を掛ける。機嫌よさげな小さなハミングを零しながら、夏織は白い指でくるりとスカートのウエスト部分をくるりと巻き上げた。元から膝上十五センチ程の短いスカートであり、一度ウエストを折り返すと裾が四〜五センチは上がる。それを何度もなんども軽快に繰り返しながら夏織は何度かわざとらしく腰を振る。男達が自分の後姿を食い入る様に視姦しているのが判っていて、なお夏織は更にスカートの裾を上げさせていく。
「♪〜」
まるで気に入っているアイスクリームを食べている様な愉しげな表情で尻肉の裾の段差が露出したのを確認し、夏織はくいっと腰を軽く突き出す。尻肉の際まで上げられているセーラー服のスカートがふわりと舞い、黒子も染みも日焼け跡もない白い尻肉が数瞬だけ車内に露出する。ごくりと生唾を飲む音と毎日定例行事の様に繰り返される露出を収めようと撮影音を封じるアプリを探したのであろうスマホのカメラを不自然に向けている男達に、夏織は少し吊り上り気味の大きな瞳を少しだけ細めた。パンティは身に着けていない。ブラジャーもだ。豊か過ぎる乳房がセーラー服を突き上げ、桜桃を連想させる艶やかな乳輪と乳首は夏の薄い白い布にはっきりと浮かび上がっている。
常識人が見ていれば叱咤されるのは確実だが、少しずつエスカレートさせていった露出に、この車両のこの辺りは既に夏織の痴態を見て悦ぶ男達ばかりになっていた。痴漢行為に及ぼうものなら悲鳴をあげて助けを呼ぶのに躊躇しないであろう、気弱さの欠片もない挑発的な視線で一瞥し、そしてほんの少しだけローファーの踵を浮かせた。
扉の前に立ってから夏織の脚はぴったりと合わせて閉じているだけだった。極薄で肌色を透かすオーバーニーソックスから上はパンティすらなく剥き出しにしているその脚の間はややむっちりと、女子高生らしい熟れかけの肉付きの曲線の所々に隙間が空いているが、足と足の間を開けば尻肉の影に隠れた場所が露になるのは確実である。
ふるっと尻肉を揺らしながらほんの少しだけ踵を動かし、夏織は口の端を吊り上げた。大きな瞳が見てと訴えている。暑いホームで電車を待っていた尻肉も太腿も汗ばんでいる。オーバーニーソックスもセーラー服も白い素材は汗に濡れて透けている。日焼けのない、まるで剥きたての白桃の様な濡れた柔肌の奥の丘はどうなっているのか、毎朝少しずつ露出度を上げていく夏織に、男達がその場所を見たがっているのが嫌と言う程判る視線に、ローファーの爪先で何かを躙る仕草を繰り返し……、
そしていきなりウエストの巻き込みを元に戻す。するすると裾が下がり男達の失意を感じながら夏織はハミングを続ける。
今日はここまででおしまい。
機嫌の良い子猫の様なしなやかな足取りで夏織は電車を後にした。
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53『ノーブラなのにゲリラ豪雨』
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