2019余所自作49『初めてのプールテント・1幕目』

表TOP 裏TOP 裏NOV 48<49>50 BBS

 陽気な音楽がプールサイドに流れている、が、大型スピーカーが近い区域は桃花にとっては耳を塞ぎたくなる程度には五月蝿かった。
 大きな声でならば会話は出来そうだが小声では相手に届きそうにない。広いプールなのだから仕方ないだろうが長居したくはなかった。しかも遊園地併設のプールで茂みの向こう側には急な高低差のレールがあり、見上げたと同時に轟音と喚声と共にジェットコースターが勢いよく通過していった。だがそんな場所でもプールサイドは人気があるのだろう、大小のカラフルなプールテントが所狭しと展開されている。
 浮き輪で何一つ身に纏っていない腰を隠しながら歩いている桃花は、人一人が通り抜けるのがせいぜいと言った様子のテントの間を通り抜けながらふうっとため息をつく。いや、ため息ではないかもしれない。焦りがある。――もしこのまま彼らについて行けば自分が何をされるかは想像がつく…こんな場所で、流れるプールやシャワースペースよりも淫らな行為に耽るのであろうと考えるとどうしても足が鈍る。助けを求めるべきなのかもしれない、いや、逃げ出すべきなのかもしれない。前後を青年達に挟まれて俯いて歩く桃花の視界に、プールテントで寛いでいる家族連れやカップル達の姿が入る度に身体がびくりと震える。まだ昼頃であり、このプールの閉園時間はナイトプールも合わせてまだ八時間以上はあるだろう。まさかそれまで青年達が桃花を留まらせるとは思えないが、だが一時間であっても女性としての一線を越えられてしまうには十分である。どくん、と身体中が震える。膝が震える。
 不意に、小振りなプールテントに寝そべっているカップルが軽くじゃれつく様なキスをしているのが視界に入り少女の頬が熱くなる。街中で同じ様な場面に遭遇する事があっても水着姿の男女は身体が露であり、それはどうしても性的な要素を強めてしまう気が桃花にはする。いや今の少女が過剰に反応してしまっているのかもしれない。男女が肌を重ねている姿はどうしても自分のこれからを想像してしまう…だがそれは心を許しあった恋人同士ではなく……、
 監視員のホイッスルの音に、びくっと桃花は立ち止まった。やはりこのままついて行くべきでない、そう思った瞬間、ぐいと腕を引かれて桃花はテントの一つに引き込まれた。小さな悲鳴をあげそうになった少女の手から浮き輪が離れて足元まで落ちていくと同時に日が翳り、テントの中で桃花は手と膝を突いた四つん這いの体勢になる。
「俺達のテントにようこそ、ももかちゃん」
 シャッと音を立ててプール側の出入り口のカーテンがかかり、先にテントに入っていた男の手が身体を仰向けに転がすと同時に少女の乳房からビキニのブラジャーが奪い取られた。

 シャワースペースからの道途中で見た他のテントより少し大きいだろうか。二メートル四方はありそうなテントはそれに見合うだけの天井高があった。大きな出入り口のカーテンと反対側の一面と左右の下三十センチ程が換気用なのか窓代わりのメッシュ地になっており風通しは悪くないのか屋外よりも涼しく思える…が、反対側の一面のメッシュの向こう側はプールに向かって展開している他のテントであり、運よくそこに人の姿はなかったがいつ戻ってくるかは判らない。陽光が降り注ぐ屋外からテント内部が丸見えになるかは判らないが、一メートル半はある天井高の大きなテントは目立つので通りすがりの人の視線を集めてしまってもおかしくはない。
「――ん……ぅ……っ!」
 素早く水着を脱いでしまい胡坐を掻いた青年の膝の上に乗せられたまま桃花は唇を奪われて舌を絡め取られてしまう。ぐちゅり捩じ込まれる舌に思わず声が漏れてしまうが、恐らくその声は大型スピーカーからの音楽に掻き消されて外の人の気を引く事はないであろう。だがだからと言って羞恥心が消える事はない、いや逆にこの五月蝿い空間にテントを構えた青年達の思惑に背筋がぞくりとざわめく。ビキニのブラジャーまで奪われた桃花はもう何一つ身に纏わぬ全裸であり、背後から両の乳房をまさぐり乳首を捏ね回す指に、プールやシャワーエリアで弄ばれ続けていた身体が反応して拙くくねる。
 プールサイド。そう、ここはプールサイドだった。出入り口の目の前はすぐにプールがあり、大勢の人々が楽しげに戯れている。プールテントとプールとの間は一応一メートル半程度の通路を隔てているが、水面から縁に掴まればメッシュのカーテンを隔てただけの近い距離からテントを見上げる形になり、そしてそのテントの中で、桃花の脚は青年の腿の左右に割って開かれプールへと秘めるべき場所を晒す体勢になっていた。
「ももかちゃん、オナった事ある?」
「ゃ……、お、おかしな事…きかないでください……」
 乳首を捏ねられる度に乳房の先端からもどかしいものがじわりじわりと全身に広がっていく感覚に桃花の身体がくねる。もう一人の青年は今はいない。スマートフォンと財布を手にどこかへ行ってしまい、今はテントの中には青年と桃花の二人きりだったが、逃げ出すつもりには少女はなれずにいた。――もし何かあった時には絶対に逆らえない体力的な無力感ではなく、全裸である事での羞恥心が強く…だが少女の白い腰は出入り口に向かって大きく開かれ、シャワースペースで洗い流されていた筈の膣口からはどろどろと愛液が溢れかえってしまっている。テントの外は眩しく、メッシュのカーテンの向こうからプールの照り返しが天井に揺らめき、そして愛液にべっとりと濡れている桃花の内腿を照らしていた。
「気持ちよくなっておかないと後がつらいよ?俺しかいないんだからオナってごらん」
 その言葉にぶるっと震え、自分を背後から抱えている青年の指示に速やかに従えずにいる少女の唇が奪われる。乳房を両手で揉みしだかれながら上半身を軽く捻って見ず知らずの青年にねちねちと口内を貪られ、恥ずかしさにテントの中で何度も震える少女の身体から少しずつ力が抜けていく。
『怖い……』
 最初は尻肉側にあった青年の性器が桃花の前方へとずらされ、不意にシャワースペースと同じ様に下腹部の谷間に密着した。まるで桃花の性器を出入り口から隠してくれている様な配置にほんの僅かに感謝してしまう少女の一瞬の視線に気付いた様に、青年の口元が歪む。
「チンポ気になる?」
「や……」
「今見てたよね。しゃぶりたい?それとももう突っ込んで欲しい?」
 青年の言葉に処女としての恐怖と妖しい感覚に突き動かされる様に桃花は首を振る。彼等について来たのはあくまでも水着がない為であって軽はずみに初体験をしたい訳ではない。だがその理由は少女側のものであって彼等には見返りがないのかもしれない…だがまさか有り得ないだろう、このテントと他の左右のテントの間は人一人が擦り抜けるのがやっとであり、悲鳴をあげれば流石に気付かれてしまうであろう。
「でもももかちゃんがこれ萎えさせたら俺としては庇ってあげる必要なくなるんだよね。嫌ならすぐに出ていっていいんだよ。ほら、目の前に大勢いるでしょ、もっと親切かは知らないけど」
 プールに面しているテントから追い出されてしまえばどれ程の人数が自分のあられもない姿を見てしまうのだろう、思わずプールを見てしまう桃花の瞳に楽しげに戯れている親子連れやグループの姿が映り、少女は反射的に首を振る。何故こんな目にあってしまっているのだろう…どこで道を間違ったのだろう、じわりと涙が滲む桃花の唇を再び青年が奪い、舌が捩じ込まれる。ぐちゅっぐちゅっと絡め取られる舌に微かに呻きながら、そっと、僅かに桃花は舌を自ら動かし返す。テントを追い出されない為の仕方のない行動だと思うのだが、不意に、急激に、何かが変わってしまった気がした。プール内でもシャワースペースでも密着している青年達の身体は上半身裸だったが、彼は全裸なのだと今更ながらに実感して全身がかあっと熱くなる。恥ずかしい。怖い。泣きそうな絶望感が込み上げてくるのに、それはどこか暗く妖しい火照りを伴っていた。
「ももかちゃん、チンポとクリトリス、一緒に弄ってごらん」
 唾液の糸を引きながら息継ぎの間に言われた言葉に、桃花は頷く事も出来ないまま、再び青年と唇を重ねながら両手を下腹部へと伸ばす。自分の下腹部の場所は判る…だが青年のそれは視線を向けなければ指をぶつけてしまいそうで怖い、だが、見てしまうのも怖い。――だが下腹部に密着している幹があるのだからどうせ位置は判るのだ。下腹部の粘膜の谷間に重なっている太く硬く熱い幹は意識を逸らそうとしても絶対に少女の意識を奪い続けている。
「ん…はあ……っ!」
 桃花自身の指がクリトリスに触れた瞬間、少女の唇から甘い声が漏れた。爪でなく指先で触れただけだと言うのにまるで針で突いた様な鋭い刺激がクリトリスから足の爪先や頭の芯にまで突き抜け、青年の腰の上で白い裸体が跳ね上がる。緩やかな心地良さではなく、強過ぎる刺激に頭の中が白くなる桃花の唇を青年が塞ぎ、跳ねる身体を抑え付ける様に両の乳房をねっとりと揉みしだく。頭の芯で弾ける白い光が徐々に小さくなっていくのを朦朧としながら感じる桃花の腰の奥でまだ処女地である膣肉がぐびりとうねり、腰に重なっている青年の幹に快楽を伝える様に忙しなく脈打ち吸い付いていく。
 はぁはぁと乱れた呼吸を繰り返し何とか落ち着こうとする桃花の耳に大音量の軽快な音楽とプールで戯れる人々の喧騒が届く。外の健全な空気と布一枚隔てたテントの中の淫靡な空気に奇妙な後ろめたさを覚える少女の頬を涙が伝い、シャワーの後で濡れている肌に滲む汗ととろりと溢れる愛液に淫らなにおいが空間に籠もる。ひくひくと下腹部が蠢く度に粘着質な水音が微かに鳴り、白い内腿から爪先にかけてが小刻みに痙攣する中、桃花は虚ろな瞳でプールを見つめていた。戻れない気がする。それは水着がない為ではなく、もしも水着が手元にありこの場から逃れて戻れたとしても自分は健全なプールを楽しめるだろうか?時折このテントの近くに来る度に視線を注いでしまうか、ずっと意識してしまう気がする…それは嫌悪でなく…それは…形容する言葉が思い浮かばずにいる少女の乳房を、青年の手が撫で回し、そしてたぷんと揺らす。
「ももかちゃん、続き」
「……。はぃ……」
 触れてはいけない。そう思いながら少女の華奢な指が動き、根元から袋までべっとりと愛液に塗れている青年の性器をそっと探る。揺れ動いていたせいか桃花のクリトリスや柔毛まで愛液が絡み付き、尻肉の重なっている青年の剛毛や腰も濡れてぬるぬると滑っていた。いやらしい。堪らない恥ずかしさに耳まで熱くなりながら彷徨わせる指に、不意に何かが重なった。自分の身体以外で触れるモノはそれしかなく、びくりと身を震わせる桃花の指がぬるりと滑る。これも愛液なのだろう、ぬちゃりと指を滑らせる粘液に恥じらいながらそっと滑らせる指の先で木の実を連想させる長く歪んだ半球状の物体を少女は確認してしまう。木の実よりキノコの方が近いだろうか。裾が反り返っている。そして先端が、裂けている気がする。指先で探るそれの奇妙な形状よりもその大きさに処女の少女の呼吸が詰まる。にちゃにちゃといやらしい粘液質な音を立てながらそれを擦る桃花の胸の中でどす黒いものが広がっていく。好奇心や期待と言う明るいものでなく、暗く逃げ出したくなる何かだったが、水着を持っていない少女はそれから逃れる事が出来ない。
 はぁっと桃花の唇から吐息が零れ、再び青年の唇が重ねられ舌が重なり、ぎこちなく動く少女の舌と絡み合う。
 少女の白い指が両手で動く。幹の先端と、クリトリスの二箇所で。
 プールに面したテントの薄いメッシュで出来ているカーテンの奥で、出入り口の向こう側に局部を見せ付ける様に大きく脚を開かされている少女の両手が長大なモノを愛でる様におずおずと傘を捏ね回し、その奥で自らのクリトリスを捏ねる動きは徐々に、ほんの僅かずつ、慣れた動きへと変わっていく。強い日差しが人混みの隙間の水面に弾け、テントの中の天井と少女の白い肌に揺らめく。陽気な音楽と歓声と水音に満ちているまだ日も高いプールサイドに、少女の微かな喘ぎ声と淫猥な粘液音が溶け込む。
 売店で購入した飲み物と通話が終了したばかりのスマートフォンを手に賑やかなビーチサイドの人混みを縫う様に桃花達のいるテントに戻っていく青年の口元は、善からぬ謀に歪んでいた。

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