2019余所自作42『朝早くに目を覚ましたら』

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「や、起きた?」
 いつもなら夜明けには目が覚めているのにもう日が昇りかけている。オークの大集団の襲撃を何とか撃退できた後、野営地で疲れ果てて眠ってしまった僕は朝日を浴びて全裸でにこっと微笑む彼女の姿を直視してしまった後、気恥ずかしさに顔を背ける。白い花の髪飾りが似合う蜂蜜色の髪の女騎士…僕の憧れの女性。この旅団の中の紅一点。そしてリーダーの愛する人。昨晩も僕が寝付いている間に激しく貪りあっているのを、垣間見てしまった。傷だらけの男臭いリーダーは『勇者』職である僕よりもレベルが遥かに高く、そして筋力も経験も判断力も何もかもが優れている。僕は成長すれば様々な恩恵のある勇者だけれどその分成長速度は遅い。でも、もし、あと十年早く生まれていれば、彼女に熱望される男は僕だったかもしれない、たまに、そう思う。
「昨日の雨で血が洗い流されてとっても清々しい朝だね」
 全裸なのに彼女は何の恥ずかしさも感じさせず笑っている。引き締まった身体つきをしているけれど全裸の彼女の肌はとても白く柔らかそうで、豊かな乳房がぷるんと突き出していて悩ましい。僕だってもう精通しているのに、男扱いをしてくれた事はなくて、いつもいつも、僕は彼女を抱く妄想で処理をしているのに。ずっと、好きなのに。
 男の上で、彼女は激しく腰を振る。綺麗な蜂蜜色の髪が宙を舞い、全身から汗が滴る。何度も男の名前を呼んで、大きな手が彼女の頭を引き寄せて、ぐちゅぐちゅと荒々しく唇を重ねて貪りあう。僕の腕より太くて大きなリーダーの巨大な剛直をそこに迎え入れて、彼女が喘ぐ。魔物を退治する時と違う、乱れているのに…堪らなく可愛らしい声。リーダーの射精までに何度もなんども彼女は絶頂を迎えてやがて腰の上で動けなくなると、今度は四つん這いにされて背後から突かれまくる様になる。激しく揺れる乳房。白銀の鎧の下はこんなに綺麗なものが隠れている…僕が一対一で堪能出来ない、綺麗な、とても綺麗な痴態。身動きすれば二人には見つかってしまう。旅団の中でも何人も、ほぼ全員が、彼女に、恋をしてる。亡国の姫騎士。姫扱いが嫌いだからと男ばかりの集団で平気そうな顔をしているけれど、たまに恥ずかしさに怒ったり、困ったりしている可愛い人。でもちょっと天然。
「早く服着て下さい。だらしないなぁ」
「生意気。まだ乾いてないんだもの、風邪ひいちゃう」
 きっとリーダーに言えばあの大きなマントでくるんでくれるのにこうも無防備なのは、やっぱり僕は男扱いされていないからなのだろうなとため息が漏れる。彼女はこの旅団一綺麗で、そして鈍感だ。
「はい。僕のマントじゃ小さいけどどうぞ」
「?ありがと。やっぱり君は他の連中と比べたらいい子だね」
 短い丈の僕のマントを受け取ってふわりと身を包む彼女に、微かな空気の流れが僕の鼻孔を擽った。
 リーダーの汗のにおいに溶け込んでいる、彼女の甘い匂い。男ばかりの旅団の中で唯一の甘いあまい蜜の匂い。
「比べたらいい子って、皆いい年齢した大人ばかりじゃないですか」
「皆子供よ、冒険者の男なんて」
 それなら、僕もいつか…なんて期待させないで欲しい。もし手に届きそうなら、僕は、何でもしてしまいそうだから。

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