2022余所自作111『喘ぎ声を録音して』セルフわんこそば

表TOP 裏TOP 裏NOV 110<111>112

「ぁ……んっ、ぁう…っ……ぁぁぁぁぁん…っ」
 連結部近くの一角に野乃花の微かな喘ぎ声が零れていた。ぐちょぐちょと指で膣内を掻き混ぜられる卑猥な粘液質な水音の方があからさまに鳴り、片足を車椅子スペースの横棒に乗せている少女の牝肉を掻き混ぜている男の手に手首の辺りまでが濃厚な愛液が絡み付き、淫らがましい糸が垂れて宙に揺れる。どれだけ妄想していただろう…見ず知らずの男に指でぐちょぐちょに掻き混ぜられてよがり狂う自分を。露出しきった乳房を背後から揉みしだく男の指が乳首を抓る。痛みと快楽が混ざり仰け反りながら必死に喘ぎ声を抑える野乃花の耳を男がしゃぶる。朝から丁寧にシャワーを浴びている綺麗な耳にねちょねちょと絡み付く煙草だろうか渋い臭いの唾液が染み付いてしまいそうなのが穢らわしいのに、野乃花の牝臭と男の唾液の臭いが鼻腔に籠りぞくんと全身を震わせた。穢らわしい。穢される。妄想の中では膣内射精も何度も繰り返されていたが、実際に男達に囲まれて嬲られるのは、その何倍も何十倍も悍ましく、そして強烈だった。
 偏光ガラス越しの朝日の中、制服のブラウスとモカブラウンの総レースのブラジャーは肘までだらしなく落ちて白い肩からウエストまでが露出し、片足を横棒に乗せている腰は元から短い制服のプリーツスカートが所々ウエストに捩じ込まれて隠されている場所の方が少ない状態だった。下ろされたパンティーは最初片足首に引っかかっていた筈だが、既に脱げ、そして野乃花の瞳に映る範囲にはもうない。
『おちんぽ好きぃ……っ!ののかおちんぽでぐちょぐちょされるのが好きぃ……っ』
 片方だけ残されているイヤフォンから聞こえてくる自慰の妄想の喘ぎ声は、他の男達に共有されている。
「ドスケベだなぁ…ののかは」
「嫌いや……っ、はずかしいこといわないでください……っ」
 膣内で二本の指が交互に前後左右に開かれて肉壁を割り開く感触に涙を浮かべながら首を振るものの、野乃花の全身には男達に逆らおうとする力は籠っていない。尻肉をぴしゃりと叩かれ、豊かな乳房の頂を抓り上げられながら引かれ、野乃花は背後の男に身体を預けて仰け反り、両の乳首に与えられる痛みに喘ぐ。Hカップの乳房がテントの様に吊り上げられうっすらと掻いた汗がその表面を輝かせる。逆立つ薄い産毛も薄い鴇色の乳輪も何もかもこうして露出するのは初めてで消えたくなる程に恥ずかしいのに、それ以上に快楽が興奮させていた。
「見ないで……みないでぇ……っ」
『みて、おじさまみてぇ……っ、いんらんののかのおまんこがじゅぽじゅぽかきまぜられているの、みてぇっ』
 妄想の自慰の自分はどこまでも貪婪だった。
「そんな事言ってもなぁ…これだよ?」
 野乃花の目の前に突き付けられたのは自身のスマホから男達に転送されて共有されてしまった自慰の録音データ一覧だった。220910電車内、220909公園、220908公衆トイレ、220907学校、220906ラブホテル…全て野乃花の自慰の日付と妄想の舞台である。一日も欠かさず、そしてその音声データは長い。どれだけ妄想の自慰に耽っているかは一目瞭然だった。妄想の中の野乃花は犯されて悦ぶ淫乱な女であり、男に命令されればどんな行為でも最後には従う被虐属性の女である。下着を剥ぎ取られるのも嫌がりながら濡れ、最初から下着をつけるなと言われればそれに従い、電車内で身を寄せ合い互いの性器を捏ね回し周囲に侮蔑の目で見られながら交尾に耽る色情狂、――だがあくまでもそれは妄想の中であり野乃花自身は友達と仲良く高校生活を楽しむ処女だった。
「オナニーまんこが指マン悦んでるの判るだろう?」
「……ぁ……ぁぁぁぁ……っ……」
 ぐちょぐちょぐちょぐちょとあからさまな音を立てて激しく出し入れされる指にすっかり背後の男に身体を委ね切って野乃花は仰け反る。自分では到底出来ない激しい指の出し入れは予想の出来ない他人の指と言うのもあるが、それ以上に女子の指でない節張った大きな指の齎す異物感は残酷に現実を野乃花に突き付けてきた…誰にも知られない妄想の中でなく、取り囲む男達全員が野乃花の内なる性癖と個人情報を知っている。まるで妄想の中の男達の様に野乃花に命令していつでも性欲の捌け口にする権利を手に入れてしまっている…ぞくりと全身が震え、その危険は確かに認識出来ている筈なのに処女肉が男の指を妖しく食い占め愛液が更にとろとろと溢れ出る。
 気持ちいい。凄く気持ちいい。快楽の余り首を振りたくる野乃花の瞳にいつも通学中にぼんやりと眺める路線沿いの斜面が映る。春には菜の花が咲き乱れる斜面には、今は彼岸花が咲いている…この斜面を過ぎれば通過駅がある、しかも、こちら側の窓がホームに面している状態で。
「ぁ、ぁ、ぁぁ……っ、ぁ…んんっ……!みないでぇ……っ、みないでぇぇぇぇ……っ」
 首を振りたくる野乃花の目の前で電車は僅かに速度を落としつつ駅へと滑り込む。通過電車など腹立たしいだけだと言わんばかりのサラリーマンと一瞬だけ視線が合い、その目が大きく見開かれたのを確かに野乃花は見てしまう。処女肉がぎっちりと男の指を食い絞め、白い尻肉がびくんびくんと激しく痙攣する。通過する列車を見てしまうのだろう、何人ものサラリーマンや学生と野乃花の視線が合う。あっあっあっと喘ぎながら、野乃花は反射的に背後の男の首へと腕を絡めてしがみ付く…露わな乳房を隠す仕草では決してなかった。Hカップの巨乳を上へと吊り上げられながら車外からは全裸に見えてしまうであろう上半身を晒し、少女は喘ぐ。他の男が吊り上げられている乳房を窓と逆側からその裾野側から鷲掴みして絞り上げ、激しく指を食い込ませる。思わず胸を見てしまった野乃花は自分の歪に吊り上げられた乳房が更に男に掴まれている様に、全身ががくんと跳ねた。まだ男を知らない牝肉がぎちぎちと指を食い絞め、白い腰がかくんかくんと動く。酸素を貪る様に半開きになった口が戦慄き、白い歯と赤い舌が覗く。明らかに感じて悦んでいる顔が取り囲む男達とホームの人々に晒される中、野乃花の唇が微かに動く。
 気持ちいい。
 もしかして自分を知っている人間がホームにいるかもしれない。そんな可能性を白熱した思考の隅で確かに考えながら、その想像が更に野乃花の肉欲を激しく煽り立てる。男の首に懸命に腕を絡ませて仰け反る白い身体は自ら劣情の目に柔肌を晒す体勢であり、腰を拙く前後に揺らす少女に男の指が応え根本まで捩じ込む様な激しい抽挿で突き上げられる。
「いく……ぅ……っ、いくいくいくいくぅぅぅぅ……っ!」
 かくんかくんと白い身体を激しく震わせて初めての他者からの手淫に貪られ野乃花は絶頂を迎えた。男の指を締め上げ波打つ牝肉に膣口からどぷりどぷりと愛液が溢れ、太い糸を引いて床へと滴り落ちていく中、漸く電車が駅を通過したのを見た少女の瞳がのろのろと指の主の男を見つめる。
「昨日のオナニーで、ののかちゃんはどこまでやられた?」
「……、さいごまで……しゅうてんまで…にげられなくて……みんなに…おかされました……」
 とろんと蕩けた夢の途中の様な細い声で昨夜の自慰の妄想を伝える自分の斜め前の男がスラックスのファスナーを下ろしていくのを、野乃花は口の端から唾液を零しながら眺めていた。

Next 112『耳掻きサービス』
FAF202209242327

■御意見御感想御指摘等いただけますと助かります。■
評価=物語的>よかった/悪かった
   エロかった/エロくなかった
メッセージ=

表TOP 裏TOP 裏NOV