橘学生会館物語
第伍話:彼女の涙とワインと鼻血。
寮の部屋は二戸一?である。つまり、部屋が2つに、入り口は1つ。
公衆トイレみたいなもんか?(他に例えはないんかい!)
ドアの無い入り口を入ると、左に洗面台、右にロッカーがあった。
で、部屋のドアが並んでいた。…わかる?
ということで、それぞれ隣人がいるわけである。で、洗面台は共同になる。
仲がいいことにこしたことはないのであった。私の隣は同じ年の
ボーイッシュな女の子だった。例の娯楽室で初めて話した。
見かけによらず人見知りだったらしく、先輩に連れてこられた。
話し出すと面白くてすぐに仲良くなれた。この子が隣でよかったと思った。
これからよろしく、と部屋に帰った。しばらくして、歯を磨こうと
部屋を出た時、隣の部屋から泣き声が聞こえた。電話をかけていた。
「今、隣の人と一緒にお茶してきたの。ようやく友達ができそう…。
でも、不安でしょうがないよ。帰りたいよ…。」
びっくりした。そんな風には見えなかったから。明るい感じの印象だったから。
それに、「ホームシック」というものがこの世には本当にあるんだ!という
感動。私にはそういう感情があんまりにもなさすぎた。ごめん、父上、母上。
でも!この子はあっという間に強くなった。いや、強くなりすぎた。
半年もしないうちに寮内で酒盛りをしきっていた。彼女の部屋からものすごい
ワインの匂いがして、いつおじさんにばれるかと気が気でなかった。
彼女は匂い消しにコーヒーをいれて、歩き回った。…無駄だったけど。
あと、彼女はお風呂に入るとほとんど途中で鼻血を出し、皆に心配をかけ、
笑われていた…。でもいつも笑って早めにあがっていった。
馬鹿馬鹿しいことだけど、寮の友達と話すと必ず出てくる話である。
「洗面台」…結構広く、ここで食器を洗い、時には靴も洗った。(おいおい)
「ロッカー」…上下に分かれていた。私は上。中には洗面用具や、食器など、雑貨を入れていた。(鍵無しだったから)
「隣の人」…私はすでに彼女のことを下の名前で呼んでいたので、ちょっぴり寂しかった…。(笑)
「ホームシック」…後々聞いたところ、ほとんどの人はなったらしい。私は親元を離れてうっきうきだったのよね〜♪
「酒盛り」…未成年だっての。3、4人でやってたかなあ。隣だったからすんごい匂ってきた。まあ、
とりあえずおこぼれにあずかったのは言うまでも無いが。
「ワイン」…ウーロン茶やコーラで割って呑んでいた。ナゼに?こそこそ呑むのが美味しいんだろうな。
「コーヒー」…ワインの匂いと混ざって、なんともいえない匂いになり、かなり辛かった。すでに酔っていたらしく、
赤い顔で笑いながら寮内を歩き回っていた。おじさんも晩酌してたので、ばれなかった。
「鼻血」…ほとんど日常茶飯事だった。よっぽど血の気が多かったのかしら。それほど心配はしてなかったが、
それを理由にチョコレートは与えなかった。(笑)