橘学生会館物語
第六話:MORINAGAで外食を。
寮の食事で当たりな物。「スパゲッティー」「カレー」「納豆」である。
これを聞くだけで、どんなもんか、ってのはおわかりだろう。
おばちゃんたちが作ってくれる訳だけども、そんなには美味しくなかった。
でも育ち盛り。食べるしかなかった。しくしくしく。
そんな食環境なもんだから、自炊の日はうれしかった。面倒くさいけど、自分の
好きな物が食べられた。ひもじいものではあったけれども。
そういう生活をしていてはいかん!と思い立ち、友達数人と考えた末、
「一ヶ月に一度は外食をしよう」ということになった。
これは結構リッチなことである。
特に私はバイトをしていなかった。親の仕送りだけで生きていたのである。
不自由はしてなかったけど、何か悪い気がして、節約しまくっていた。
だから、この決断はかなりの勇気だったのである。
さて、その一ヶ月に一度の贅沢はどこで、ということになり、
駅ビルにあるレストラン街にとりあえず向かった。中には、丼の専門店、
そば、ラーメンなどのお店があったが、女の子らしく洋食の「MORINAGA」に入った。
いつ行っても暇な店だった…。
そこで、おほほと笑いながら、アイスティーとチキンドリアを注文した。
東京に来て、初めての外食だった。皆でうふふ、えへへ、わくわく、わはわは、
じゅるじゅると料理を待った。そして食べたドリアは美味しかったように思う。
でも、何がいいって、アイスティー!これは絶品だった。皆で驚きあったくらいである。
今までで一番美味しかった。普通の喫茶店で、こんな美味しいアイスティーが飲めるなんて、と
多いに盛り上がった。その後も「MORINAGA」はご贔屓のお店となったが、そのうちつぶれてしまった。
あのアイスティーがもう飲めないなんて!と皆で泣いたほど。ショックだった…。
どっかにないかなあ。
「あたり」…があれば、当然「はずれ」もある。得にハンバーグは生焼けだったので、食べなかった。やばいでしょ〜。
「おばちゃん」…管理人のおじさんの奥さんも入っていた。恐いんだ!すんごい!イメージ的にはデビル雅美?
他に「そうじのおばちゃん」もいた。同一人物かどうかは不明。
「バイト」…私以外はやってたかな。私は学校で精一杯だった。卒業してようやく始めた。TDLは2年後から。
「そば」…期待しないで入ったら、意外に美味!ボリュームもあったりしたので、ラッキーだった。濃いけど。
「女の子らしく」…女の子は洋食がお好き。ってのは私の勝手なイメージなんだろうか…。私は定食がいいんだけどな。
「チキンドリア」…他に「ポテトドリア」があったけど、すんごお〜〜〜〜〜〜いまずかった。ショック〜。
「皆で泣いた」…嘘だけど、店の前で絶叫はした。(笑)ああ、本当に美味しかったなあ。