1993年法(注:第二次コアビタシオン時代)のベースとなった同報告書の、共和国の出生地主義の伝統からの逸脱は、フランスを出生地としない外国人のフランスを出生地とする子への国籍付与が成人時に行われる点ではなく、意思確認を求める点にある。意思の尊重という議論と並んで、戦前・戦後の欧州系移民よりも現代の非欧州系移民の方がフランスへの同化が難しいという議論があるが、国立人口動態調査院の研究はそれを否定しており、教育が有効な役割を果たしていると言える。また16歳から21歳の間に届け出る義務を課しているが、フランスを出生地とし、成人時にフランスに居住している条件の他に、追加の証明事項も要求している。
'97.8.21 | 閣僚会議で、ヴェイユ報告にもとづいて法案を作成する方針が決定された。国籍法改正案はギグー法相、移民法改正案はシュヴェーヌマン内相が担当。 |
'97.8.22 | 内務省より30条(うち25条はヴェイユ報告をそのまま反映)から成る移民法改正原案が提出され、同25日の閣僚会議で討議。 |
'97.9.3 | 閣僚会議で両法案についての首相の最終判断が下された。 |
'97.9.15 | コンセイユ・デタ(注:行政裁判所の最高審と法令の諮問機関を兼ねる。政府提出の法案は閣議採択の前にコンセイユ・デタに諮問することが憲法で規定されている)に送付。 |
'97.9.18 | 下院法制委員会がヴェイユ氏を聴聞。 |
'97.10.1 | 「人権問題全国審議会」による諮問終了、法案全体の書き直しを提言。 |
97.10.3 | 「(移民)同化高等院」による諮問終了、国籍法案には反対意見もあったが、両法案に賛同。 |
'97.10.9 | コンセイユ・デタによる諮問終了。強制送還に先立つ行政勾留期間の短縮を勧告。 |
'97.10.15 | 閣議で採択。 |
'97.11.13 | 下院法制委員会で国籍法修正案の採決。 |
'97.11.20 | 下院法制委員会で移民法修正案の採決。 |
'97.11.26-29 | 下院で国籍法案の審議。 |
'97.12.1 | 下院で国籍法案が通過(賛成267票、反対246票、白紙投票29、棄権25)。 |
'97.12.12-17 | 下院で移民法案の審議。 |
'97.12.17 | 下院で移民法案が通過(賛成276票、反対254票)。 |
'97.12.17 | 上院で国籍法案に国民投票請求動議、審議は延期に。 |
'98.1.14 | 上院で再修正した国籍法案を可決。 |
'98.1.21 | 上院で移民法案の審議開始。 |
'98.3.4 | 下院で元の国籍法案を可決。 |
'98.4.8 | 下院で移民法案を可決。 |
(文責:斎藤かぐみ、1997年9月〜12月、参考資料:1997年8月1日・23日・27日、9月5日・16日・20日・23日・25日、10月2日・5-6日・11日・16日、11月14日・15日・20日・21日・26日・28日・29日・30-12月1日・3日・4日・11日・12日・13日・14-15日・16日・17日・18日・19日・20日付、1998年1月16日・20日・3月?日・4月10日付「ル・モンド」紙)
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