1997年 9月 5日
男の戦い
(「涙」改題)
ここ数ヶ月、HARIはポートレートギャラリーを更新していない。
美写者インターネット・マガジンには定期的に掲載しているのだが、こちらはすっかりご無沙汰している状態だ。
それには、訳がある。
スランプなのだ。
「スランプの予感」で「もしかしたら、これが「スランプ」の始まりなのだろうか?」などど書いていた時は多少余裕があった。
しかし、今は完全にどん底まで落ちている。
先日行われた撮影会は、お気に入りのモデルさんであったにも関らず悲惨な出来であった。
現状を打破すべく行った試み全てが、ものの見事に外しているのだからどうしようもない。
正直に言うなら、今回の撮影会での写真で一番良いと思った物はポートレートではなくスナップだった。
確かに、それは以前から撮りたかった色調の写真ではあった。
ここで「なら、いいじゃないか」などと思ってはいけない。
何故なら、それはHARIが撮影した作品では無いからだ。
これは、かなりつらい。
策士は策に溺れ、天は我を見放し、空から石は降ってこず、イデは発動し、サード・インパクトは起こり、人類は補完され、コロニーは地上に落ち、文化祭前日が永遠に繰り返され、箪笥の奥に外灯の明かりは見えず、ポリネシアは動物語を教えてくれず、時計を持った白兎は現れなかったのだ。
もがけばもがくほど、蜘蛛の糸にからまってしまう状態になっている。
こうなってくると、自分の作風どころか、何が撮りたいのかさえ分からなくなってくる。
数年前、写真がメインの趣味だった時代の末期に似ているのだから、これは恐い。
正直、泣きたい心境なのだが・・・。
でも・・・、でもこれで終わる訳にはいかないのだ。