ここでは、「読み物」として書いた「ブロードバンド迄の長い道」編とは異なり、導入と設定に関する情報について説明しよう。
まだまだ導入事例が少ないと思われるBフレッツ(FTTH)の「マンションタイプ」の参考になれば幸いである。
なお、記載している数値(スペックや金額)は、あくまでもHARIの導入した際の物であり、HARIはこれを保証する物では無い。
また、記載内容に対しての責任は、一切負わない。
詳細は、NTTへお問い合わせ願いたい。
1.Bフレッツ マンションタイプ導入の前提
当然の事であるが、Bフレッツのサービス地域内である事。
そして所有者又は管理組合の承認が必須。
また、導入に当たっては原則8世帯以上の契約が必要となる。
共有スペース(管理人室等)にNTT提供のFTTH用通信機器を設置する必要がある。
HARIのマンションでは、19インチラックが新たに設置された。
19インチラックには、スイッチング・ハブ及び集合型HomePAN装置が収容されている。
なお、FTTH用通信機器及びFTTH用通信機器の設置費はNTT側にて負担。(実際は、費用の一部を契約者からの初期導入費用で賄っていると推測される。)
サービスは、マンション内のLAN配線(100Base-TX)を利用してのベストエフォート型100Mbps。
但し、マンション内にLAN配線が無い場合は各家庭にHomePNA装置(NTTからレンタル)を導入する事により既存電話回線を利用してのサービスが可能。
この場合、HomePNA装置の仕様により速度はベストエフォート型10Mbpsとなる。
もちろん、Bフレッツ導入に合わせてマンション内にLANを構築すれば100Mbpsのサービスを受けられるが、コストを考えた場合は現実的ではない。
マンション内設置のFTTH用通信機器からNTT収容局迄の回線はベストエフォート型100Mbps。
使用する回線数は、契約数により決定される。
HomePNA設置の場合だと、集合型HomePNA装置1台で16台HomePNA装置が接続できる事から十数世帯に1本が目安と思われるが、詳細は不明。
ISDNとの共存は可能であるが、2つの電話番号を利用していない限りISDN契約は解約し一般回線に戻す事ケースがほとんどであろう。
また、フレッツの契約自体も、フレッツISDNからBフレッツに切り替える事になる。
ADSLとの共存は不可。
これはマンション内にADSL利用者がいる場合、導入調整が容易ではない事を意味する。
(現時点では、ADSLの方が安価であるから、わざわざ月額利用料金を高くしてまでBフレッツに切り替えようとする人は少ないであろう。)
それがゆえに、各ISPはADSLを低価格で提供するサービス攻勢を(NTTに対して)仕掛けているのである。
なお、Bフレッツは他のフレッツサービス同様、NTTが提供する「地域IP網」までの接続サービスであり、地域IP網からインターネットへの接続は「Bフレッツ対応ISPとの契約」が別途必要。
最後に、当然の事ながらBフレッツ契約を望まない部屋に対しての費用負担は一切なし。
また、Bフレッツ開通後に、未契約世帯が新規に導入する事も可能。
2.1世帯当たりの初期導入費用
導入ケースによって変動するが、HomePNA利用の場合は20、000円前後。
3.月額金額
月額利用料金は3,500円。
16世帯以上の契約を管理組合から一括して申し込む場合は500円割引され、3,000円になる。
HomePNA装置をレンタルする場合は、さらに1台1,200円/月のレンタル料が必要。
この他に、ISPへの接続料金が必要。
従って、16世帯以上の契約であればISP料金を含めて月額6,000円位であろう。
ちなみに、近くHARIの居住エリアでサービスを開始する「BROAD-GATE 01」は光ファイバーの100Mbpsで6,100円。(ISP利用料、専用モデルのレンタル料含む。)
4.導入迄の期間
HARIの場合、年末年始の休みがあった為に「NTTによる説明会」から「Bフレッツ開通」までに約三ヶ月を要した。
実際には、マンシャン内やNTT側の手続、マンション共有スペースに設置する通信機器(回線終端装置等)の手配が必要である為、状況次第といった所であろう。
5.導入工事
まずは、光ファイバーの引き込みと共有スペースにFTTH用通信機器の設置を行う。
設置規模にもよるが、大体1日〜2日必要である。
19インチラックに収められた「スイッチング・ハブ」、ここから「集合型HomePNA装置」に接続される。
同じく19インチラックに収められた「集合型HomePNA装置」。
次に、契約を希望する世帯への導入工事。
(これは、原則平日作業になる。)
まずは、マンション構内の回線切り替えを行ったのち、契約者宅での接続作業となる。
マンション構内の回線切り替え時間は、その日に工事する世帯数によって異なる。
HARIの場合は、4世帯の工事を1時間位で完了した。
切り替え工事中は、電話が使用できなくなるので、注意が必要。
次に、各戸での接続確認を行う。
利用者側の接続準備次第であるが、PCに接続したLANカードが正常機能している状態であれば、40分程度か?。
まずは、既存のモジュラージャックからHomePNA装置迄を接続。
(ケーブルは通常の電話用の物で可。)
次に、HomePNA装置から電話及びPC(又はブロードバンドルータ)を接続して終わり。
HomePNA装置(上)と、ブロードバンドルータAR230(下)。
NTTによる接続確認は、NTT工事担当者が持ちこんだノートPCによってフレッツスクエアに接続する事により確認を行う。
(HARIの場合は、勢いあまっていきなりインターネットに接続してしまったが・・・。)
この時、同時にフレッツスクエアの速度計測コンテンツを利用して速度の確認を行う。
HARIの環境では、導入工事の為にPC設置部屋からリビング迄を20m(!)の電話ケーブルを引き、その先にHomePNA装置を接続した為か、計測値は4Mbps程度だった。
(同日に工事を行った他の家庭では、5〜6Mbps程度のスピードだった。)
ここで、NTT側の工事が完了となる。
あとは各戸でPCへの接続と接続ツールのインストール、各種設定を行うことになる。
ちなみに、2つの部屋にモジュラージャックが用意されている場合、一つのHomePNA装置を接続し、もう一つにフィルター経由で電話機を接続する事も可能。(HARIの接続形態がこれ。)
これにより、PCが設置している部屋と電話を設置している部屋を分ける事ができるので、リビングに電話機、自分の部屋にPCを設置したい場合に便利。
(ISDNの場合、PC設置場所に電話機を設置するか、PC設置場所からケーブルを延ばして電話を設置する必要があった。)
6.速度
FTTH導入で気になるのは、やはりスピード(スループット)。
導入工事時に、NTT側で「フレッツスクエア」の速度計測コンテンツによって速度を計測してくれるが、これはあくまでNTTの「地域IP網」迄の世界。
ここでは、「BROADBAND SPEED TEST」(v2.0.8)にて計測した値を掲載しよう。
(計測時刻、計測先ホスト、推定最大スループットのみ掲載、同一時間帯で複数回測定した最大値。)
使用マシンのCPUはPentiume!!!800EBMhz、OSはWindows98SE、ISPはIIJ4U。
ブラウザはIE6.0で、計測の都度キャッシュ等をクリアしている。
ISDN接続時の速度。
測定時刻 2002/01/24 22:21:44
ホスト1 WebArena(NTTPC) 69kbps(33kB,4.6秒)
ホスト2 at-link(C&W IDC) 72kbps(33kB,4.6秒)
推定最大スループット 72kbps(9kB/s)
FTTH導入直後。
測定時刻 2002/01/25 12:12:36
ホスト1 WebArena(NTTPC) 4.65Mbps(2244kB,4.0秒)
ホスト2 at-link(C&W IDC) 3.87Mbps(1764kB,3.8秒)
推定最大スループット 4.65Mbps(581kB/s)
思ったよりスピードが出ないのは、ナローバンド時代のOSであるWindows98SEの宿命。
当然、MTU及びRwinの調整を実施。
MTU及びRwinの調整後の速度。
測定時刻 2002/01/25 12:53:00
ホスト1 WebArena(NTTPC) 8.2Mbps(3063kB,3.5秒)
ホスト2 at-link(C&W IDC) 7.7Mbps(3063kB,3.5秒)
推定最大スループット 8.2Mbps(1027kB/s)
昼間の空いている時間帯とはいえ、このスピード。
では、混み始めてくる時間では・・・、
測定時刻 2002/01/25 21:13:05
キャリア/ISP NTT Bフレッツ マンション/iij4u
ホスト1 WebArena(NTTPC) 6.2Mbps(3063kB,3.9秒)
ホスト2 at-link(C&W IDC) 6.5Mbps(3063kB,3.8秒)
推定最大スループット 6.5Mbps(808kB/s)
ルータ接続とはいえ、ISDN時と比べて90倍!!!、まさに「ブロードバンド」である。
これで、画像が多いWEB Siteを見てもイライラする事は減るであろう。
あとは・・・、HomePNA装置が早く100Mbpsに対応してくれるのを待つばかりである。
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