元の発言 [ Re: 松本説はトンデモです ] お名前 [ ピクポポデミ ] 日付 [ 7月20日(土)07時54分10秒 ]
但し、バイリンガルと言っても、学校のないこの時代、読み書きは一世たるの父や祖父から朝鮮語で習うため、漢字音は朝鮮語モードの中にしかありません。(この時代に日本漢字音、要するに「音読み」が成立していたという証拠は何もなく、あったとしてもそれは日本人が朝鮮漢字音を真似ただけでしょう)だから、日本語を音写するときは、頭の中の日本語モードと朝鮮語モードを切り替えつつ、日本語に似た音の漢字を探して当てはめていったと思われます。
このバイリンガルの二世書記官達は、日本語も支障なく話せるのだから、純粋な日本人と結婚することに何の問題もなく、派遣先の豪族などに請われて婿入りすることもあったでしょう。日本人と結婚すれば家庭内では日本語を話すに決まっており、生まれた子供は帰化人の血を引くとは言っても日本語しか話せません。特に、当時の上流階級は通い婚だったと言われており、生まれた子供は母親(日本人)の家で育つのだからなおさらです。大きくなった子供に二世帰化人達がいくら朝鮮漢字音を教えても、子供達はもはや朝鮮語音韻体系を持たないのだから、円唇・非円唇の/O/の区別などできません。
当時書記官の職は世襲だったと思われますが、バイリンガルの二世書記官が死に絶え、日本語しか出来ない三世が主流になるのが八世紀後半と見られ、上代特殊仮名遣いが崩壊してゆく時期とぴったり一致します。
また、白村江敗戦により朝鮮権益を喪失した日本では、朝鮮語が出来る人材の必要性が低下します。更に、奈良時代に入る頃から日本は朝鮮(新羅)蔑視政策を採るようになり、日羅関係は悪化の一途をたどります。そして、朝鮮半島を経由せず、直接東シナ海を渡って遣唐使や留学生を唐に送るようになり、先進文明の担い手は朝鮮帰化人から入唐留学生に移ります。
このような政治状況下では、もはや朝鮮語を話す朝鮮帰化人であることはエリートどころかハンディにさえなってきたはずで、それが白村江帰化人三世以降の日本語同化を促進したでしょう。9世紀初めに作られた新撰姓氏録で、明らかに朝鮮帰化人であるはずの氏族が、自らの祖先を架空の天皇や中国皇帝に結びつけたりして来歴を詐称していることはよく知られていますが、それがこのことを物語っています。
このように、言語学・国語学・朝鮮語学・歴史学・社会学等の知見を総合すれば、「上代特殊仮名遣い」とは朝鮮帰化人の用字法であったことは明白なのですが、「専門(バ)家」の皆さんは、自分の守備範囲内の重箱の隅を突っつくばかりで、隣合った学問の領域さえ覗こうとはしません。「史」がほぼ100%帰化人であったことは隣の日本史の世界では動かしようのない定説なのに、国語学者の上代特殊仮名遣い研究はそのことを全く考慮に入れていないのですから・・・・
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