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ひとくちメモ


気象サイエンス
特有の名前を持つ「からっ風」


11月も下旬になり、西高東低の冬型の気圧配置が、時々やってくる。この様な気圧配置になると、太平洋側を中心に乾燥した冷たいからっ風が吹き荒れる。この風は、日本各地に特有の名前を持っており、局地風といわれている。

局地風は、特定の限られた地域の固有の風向き、風速、頻度で吹く風、季節も限られた場合が多く、強風で風の息が強く、降水や風塵を伴ったり、急激な温度変化、湿度変化をもたらす特徴的な風をさす。

この風は、われわれの生活に大きな影響を与えるため、各地で名前が付けられ、“六甲おろし”、“赤城おろし”、“鈴鹿おろし”、“伊吹おろし”など数多くある。この、からっ風の多くの原因は「ポラ」という現象である。

フェーン現象は、風上側で暖かく湿った風が上昇して山超えをし、反対側の斜面ではさらに高温で乾燥した風が吹く現象である。

ポラはその逆で、風上側で寒気が上昇し、中腹から山頂付近で雨や雪を降らせ乾燥する。その乾燥した空気は頂上を超えて下がるときに気温が上がらず、乾燥した低温の強風となって、太平洋側の各地に吹き荒れる。

ポラという言葉は、もともとは旧ユーゴスラビアのアドリア海岸に吹き下ろす風だったが、現在では気象用語になっている。

この「おろし風」は、昼間強く、夜弱くなることが多く、夜間の放射冷却で明け方が冷え込む日が多いようである。

からっ風は冷たい風だが、この風を利用して、干し魚やてん草、干し柿や干瓢、などの良質な産物を作るのに大変役立っている風でもある。

=1997/12=



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