長年にわたる経験から生まれた人間の知恵で「毒には毒を持って制す」この諺から騒音を減らすためのハイテク新技術が実用化され注目されている。
この技術は、アクティブ・ノイズ・コントロールである。つまり「能動的」に音を処理するというこれまでとは一線を画した発想の転換にある。
従来「うるさい音」や「嫌な音」を防ぐには二重窓や周囲の壁を厚くしたり吸音材を使用する方法がとられている。いわゆる「受動的」な方法であった。
どの音もそれぞれ固有の波形によって構成されている。その波形とまったく逆の波形を人工的に瞬時に作り出し、それをぶつけることにより、騒音をプラス人工的に作り出した逆の音をマイナスとするとお互いに打ち消しあってゼロとなり騒音がなくなるという理由である
このように音に対して積極的に立ち向かう消音技術がアクティブ・ノイズ・コントロールであり実用化されている
例えば自動車のエンジン音など高級車に利用されている。騒音を検出する音圧マイクを配置して騒音をキャッチし高速演算装置(MPU)を備えたコントローラに自動的に伝える。
すると騒音の逆の波形音を瞬時に発生させて騒音と騒音を相殺するしくみである。
同技術は古くから原理的には知られていたが実用化されるようになったのはエレクトロニクス技術の急速な進歩によるものである。
波形の音を瞬時に作り出すことが可能になってその信号処理時間は1万分の1以下となっている。
すでに冷蔵庫や空調設備ダクトなどの騒音防止対策としても利用されている。今後いろいろな分野で騒音低減の技術革新と活用が期待されている。
=1997/11=