2025年の日本の人口は確実に減るらしい。国立社会保障・人口問題研究所がこのような推計している。
予測は時として外れるものだが、こと人口に関してはほとんど誤差がないという。
一方で、そのころ地球上では、80億の人がひしめき合うとされている。
こちらの推計も信頼度は相当高いという。先進国が人口減少の歩調を速めても、途上国の爆発的な増加にはかなわないだろう。そうなると、食料需給や環境の議論の行方が気にかかる。
わが国の人口はどこまで減るのか。最近の同研究所の資料がある。予測を「中位値」で見積もってみても、2090年には7千万人を割り込む。太平洋戦争前の水準である。これが「低位値」では5千万人台になるという。
人口の変化は当然社会の流れを変えるだろう。青森大学の古田教授は、その「人口の変わり目が社会の変わり目」と指摘した。国家を構成してきた、既存の技術が限界にきたことを意味するものだともいう。
人間は技術や文明によって、新しい環境を作り上げる。人口増加をもたらしてきた原因だ。しかし豊かさを満喫すると、今度は自らを守りたくなるものらしい。その意味で人口は社会の成熟度を表している。
西欧先進国がそうである。わが国も江戸中期ごろの人口水準が妥当であると指摘していた。すべて、右肩上がり、の成長神話は消え去った。
今は昭和元禄に続く「平成の亨保」時代。文明の転換期にあるという。
=1997/10=