Shonherz and Scott
Shonherz and Scott
One Night in Vienna
(Windham Hill,1987)WD-1060
これはイメージとしての「ヨーロッパ」が濃厚なインストゥルメン
タル。タイトルは「ウィーンの一夜」、そして『ディーヴァ』のテー
マ曲のカヴァーもあり、これはパリだ。「カイロ」というトラック
もあるが、北アフリカは西欧化とエキゾティシズムの狭間を、とい
うように、ウィンダム・ヒルのアメリカ、そして日本人などが抱く
欧州の印象にハマる。が安っぽい観光音楽では決してない。
シンセサイザーによる音楽が響きに強度を得ようとするなら、やは
りアコースティック楽器との融合が手段として有効かも、というあ
りきたりなことを思い出させてくれたりするこのアルバム。有機的
でエッチな夜の大気にとてもよく似合う。ギターソロの甘美さ、サッ
クスのエロス、フレットレス・ベースのうねり、リアリスティック
なピアノなど、ウィンダム・ヒル特有の空間的広がりを持ついつも
の楽器の捉え方に含まされた闇というか、鋭利さ甘さとの両面性が
素晴しい。
前述のジャン・ジャック・ベネクスの映画『ディーヴァ』のテーマ
"Sentimental Walk"は、原曲は主題をピアノソロで繰り返すシン
プルなものだが、ここでは主題をギターで(これほど甘美なギター
は他ではなかなか聴けない)弾いた後、オリジナルを離れたピアノ
ソロ、サックスと楽器が入れ換わるというかなり手の込んだアレン
ジで聴ける。伴奏はほぼ一貫して原曲通りのサティ『ジムノペディ』
風のピアノ。後半のメロディは別の曲のようでいて「あの」雰囲気
はそのままであることに驚かされる。
・h o m e・
・WH t o p・