Ira Stein & Russel Walder
Ira Stein & Russel Walder
Elements
(Windham Hill,1982) WD-1020
ピアノのアイラ・スタインとオーボエのラッセル・ウォルダーに
よるデュオ作品。全曲スタインのオリジナル。このピアニストの経
歴に関する情報不足がとても残念だが、独自の点描的な演奏が際立
つ人だ。旋律を「線の楽器」であるオーボエに任せることで一層、
縦に刻まれる硬質なピアニズムが生かされてくる。ウォルダーのオー
ボエも牧歌的だったり中近東風だったりと、全く自在に好き勝手で
聴いていて胸のすく思いだ。まさに相補的なデュオ。デュオの王道。
1曲目 "Elements"では11分を越える演奏時間と緩やかな音楽
の推移が、クラシカルに響きながらも「かっちり形式主義」からは
遠いところに彼らの音楽があることを示しているし、2曲目"Mino-
u's Waltz"では素早い動きと跳躍の多い旋律がスリリングなジャズ・
インプロヴィゼーションに聞えたりもする。しかしそこはそれウィン
ダム・ヒルである。この古典的楽器編成、ジャズ的即興性、それで
も音楽全体としてはどちらにも落ち着かないというジャンルフリー
な冒険は、初期WHの生き生きとした響きへの探究の結果である。こ
うした感触のアルバムは、WHがまた<アメリカ・ノンジャンル・ニ
ューエイジ>という徹底した根無し草性を持ったレーベルだからこ
そなのであり、その結晶である初期の傑作と言い切れるはずのこの
作品だが一体なぜ廃盤なのだろう!なお前述"Minou's Waltz"だけ
ならあちこちのWHコンピ盤に収録されているので聴けます。
・h o m e・
・WH t o p・