Andy Partridge Harold Budd
Through the hill

(All Saints,1994) cover left

Harold Budd with Zeitgeist
she is a phantom

(New Albion,1994) cover right





ゲシュタルト


近作で聴かれるバッドの音楽は、「図と地」の世界により近づいて
きている。いや、音楽は何であれそういうものだけれど。どういう
ことかと言うと、長く、低くうねる持続音と、それと容易には区別
がつかない埋没する旋律の重なり合いの音楽、例えば"Abondoned
City" のような作品に比べて、ずっと見通しのよい音響になってき
ているのである。ほとんど変化を持たないシンプルなリフをバック
に立ち上がりの鋭いピアノが歌ったり、音場の前面にかっちりと定
位するギターソロ(!)であったりと、「舞台と表現者」とでもい
える演劇性さえ持つ感のある最近のバッドの音楽である。このとこ
ろ続く共同作業の結果現われる音楽を、こうした背景と前景(つま
り図と地)、音楽で言うところの伴奏と旋律の役割分担という関係
から考えてみると面白い。

共演者たち、たとえばこのページで登場するアンサンブル、ツァイ
トガイストやXTCのアンディ・パートリッジなど、それぞれの持
つトーンと融合しながらもそれを一層強調するコラボレイターとし
てのバッドは、イーノにやはりどこか似ているのかもしれない。結
局は自身の音楽として聴かせてしまうところが。




・h o m e・ ・ambient・ ・harold budd・