主人公、羽山浩一(変更不可)は養父母と共に暮らす大学生。しかし、養父母が突然に事故死したためにその状況は一変する。浩一は遺言により、遠縁である倉木の家へ向かう。その古い家柄でなぜか浩一は当主の座に据えられるのだった。
箱がデカイ。誰しもそう思うかも知れませんが、店頭での第一印象はそれでした。これまで私が所持しているゲームの中で、最も大きいものは「Piaキャロットへようこそ2」の初回版でした(20世紀アリスもありますがこれはまぁ、例外)。これも十分に大きいですが、顔のない月はそれをさらに上回っています。
しかも初回版ならともかく、私が買ったのは通常版です。初回版には原画集とか色々と入っているのでまだわかりますが、こちらはなにも入っていません。どうしてこんなに大きいんでしょうね? CARNELIAN氏のこだわりでしょうか。
致命的なものではないようですが不具合の修正ファイルが出ています。誤字も直しているようなのですが、それでもまだまだ誤字は満載されています。ていうか信頼感が揺らぐくらいの頻度です。
システムは1日2回の「誰に会うか」という選択方式。館モノですとマップから移動先を選ぶというものを連想しがちですが、このゲームでは直接キャラを選ぶ仕様になっています。
それにもかかわらずどうしてなのか、わざわざそのキャラを選択しているというのに当の本人になかなか会えません。それどころか違う用事で部屋を出て、偶然にその相手に会うこともしばしばです。なんだかどうでもいいことでストレスが溜まりました。
他の選択肢でも主人公の意志がどうも行動にあまり反映されていないように感じました。
シナリオはこのゲームの売りのようですが、難解の一言に尽きます。シナリオをクリアしていくことによって、少しづつ物語の全体像がわかってくるというタイプですが、1本のシナリオの情報量が少なく、全体像を把握しにくくなっています。
どうもシナリオライターは自分がわかっていることはプレイヤーもわかっていると考えている節があるようです。なんというか、シナリオを楽しませるための親切さが欠如している印象を受けました。
最終シナリオに進むために本筋とは直接関係ないキャラをクリアしないといけないというのもなにか納得がいきませんでした(しかも、フラグだけではなく、本人とは関係のない謎が明かされる)。
個人的にはシナリオそのものに「先を知りたい」という魅力を感じることが出来ないのが残念でした。
CGはこれが目当てで買ったくらいですから、さすがとしか言いようがない出来です。紛れもなく業界最高峰でしょう。
音楽は館モノを強く意識させるもの悲しいものが揃っています。気になるのは曲ではなく、SEです。
このゲームでは出来の良いSEが用意されているのですが、使い方がどうも今一つです。主人公はかなりのヘビースモーカーであり、ライターを使ってタバコに火をつけて一息吐く。この一連の動きがSEによって表現されています。さらに扉の開閉についても同様です。
それだけならなんの問題もありません。しかし、前述した1日2回の行動のはじめにこれをほぼ毎回繰り返すのです。出来の良さに感心して聞き入るのはせいぜい最初の4、5回です。そのあとはひたすら苦痛となります。もう少し考えて欲しかったですね。
ボイスはこのために延期しただけあってレベルの高い声優さんが声をあてています。ただ、収録後にテキストを変更したのか、同一のシーンで声があったりなかったりしてかなり違和感を感じました。さらに一部、シーン丸々使い回しがあったのはあまり良くない印象を受けました。
全体を見ても不思議に思う箇所は多々あります。物語の舞台は日本の由緒ある旧家です。にもかかわらず建物は洋館。その割には蔵や和風の離れがあったりします。
中で働いているのはメイドさんですが、前当主の娘は巫女。おまけに神社の関係者(宮司さんとか)が彼女以外に一人もいません。では儀式はどうしているかといえばただの村人が手伝っています。
なんというか、もっといいかげんな(あまり雰囲気づくりにこだわっていない)ゲームならわかりますが、このゲームはそういったものも大事だと思うのですが。
まとめ。期待があまりにも大きかったということでしょうか。ある程度の期待には応えてくれましたが、傑作とか呼ばれるためにはまだまだといったところです。ゲームを構成するほぼ全ての要素に向上しなければならない点があると思います。
お気に入り:倉木水菜
評点:69
以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
1、倉木鈴菜
声優さんは超有名なあの方。こういった性格にピッタリですね。正直、あの巫女姿はどうかなぁと思うのですが。雷をこわがるイベントがお気に入り。
結婚式エンドはルート的に何も起こらないというのがどうも肩すかしでしたね。
そういや、鈴菜に限らずブラジャーが描かれているカットが異常に少ないですね。どうしてでしょう?
2、春川知美
白状します。メガネを外した時はしばらく気づきませんでした。正直、裏で何を考えているのかわからない人、という印象。
3、栗原沙也加
この人のゲームでの存在価値がどうもわからない。巫女とかメガネとか記号キャラじゃないしねぇ。声は良いですがデザイン的にはもう一歩な感じ。エンディングも弱いなぁ。
4、沢口千賀子
なにかもったいつけすぎ。千賀子エンドが事実上ないのは痛い。まぁ、便利なキャラってやつですね。
5、東衣緒
全編通じて男性キャラにだけアナルプレイがあるのはなにかのこだわりですか?
6、本山教授
この人、野放しにしてていいんですか?今後も色々とやってくれそうなオヤジ。明らかに恩を仇で返すタイプ。
7、春川五平
殴られて気絶させられた上にロープでがんじがらめにされても、無条件(伏線無し)で復活。何者だ、おまえは。
8、倉木チヨ
沙也加を遥かに超えて存在意義の薄い人。エロゲーだけに年寄りは用がないということなのか。
9、倉木由利子
この人もなんだかなぁ、という感じ。さんざんもったいぶってほとんどなにもなし。納得いかない人多そう。
10、倉木水菜
1番納得いかない人。どうしてまともに水菜とのHシーンがないのでしょう。ぜひとも後日談希望。鈴菜はあんなにあるのに差がありすぎじゃないですか。ああ、でも水菜は本当に可愛いです。
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