289   めがちゅ!(Front Wing)
 
 エロゲーだけが趣味の川神幸介(変更不可)は初回特典付き新作を買いに行く途中で怪しい力を持った2人組の美女に命を狙われる。超常現象じみた攻撃をなぜか次々とかわせる幸介。
 2人は天界から魔王復活を阻止するために遣わされた女神。魔王の種をその身に宿す人間を抹殺するためにやってきたのだ。だが、女神の一人ファウナは疑念を抱いてしまう。幸介を殺せなくなった女神たちは他の方法を探して同じアパートで暮らし始める。
 
 フロントウイングの新作はどう見ても講談社の有名女神さま漫画をリスペクトしたアドベンチャー。この開き直り企画が通ることこそエロゲー業界の混沌という名の美点です。
 購入動機は原画(含むデザイン)に惹かれて。シナリオにはほとんど期待せず。
 初回特典はすぺしゃるファンブック。パッケージには入らずスリーブで合体させてあります。傷がつきやすそうで保管に苦労しそうです。
 
 ジャンルはごくありふれたアドベンチャー。
 足回りはほどほど。メッセージスキップは既読未読を判別してくれますが、速度は最速にしてもそれほど速くありません。共通部が長いのでよりそんな印象を持ちます。
 バックログは別画面で行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。戻れる量はあまり多くありませんが、ロード直後でも使えます。
 タイトル画面からコンフィグに入れないのは意外と不便です。
 本作はデフォルト状態ではディスクレス起動ができません。可能にするためにはユーザー登録のほかこまごまと入力してディスクレスパッチを手に入れる必要があります。これには回数制限があり、パソコンの構成を変えただけでも不可になる可能性があるそうです。さらにこのサービスにはロットアップ後1年という期間もあるとか。ディスクレス起動に対するメーカーの考えがよくわかる措置です。
 
 シナリオは及第点以下。ライター複数人制の短所がこれでもかというほど出ています。シナリオ毎に文体やノリが全く違っていて悪い意味で同じゲームのシナリオとは思えません。
 端的に言って5つのシナリオのうち2つは設定したキャラクターが別人というか、扱いきれていないように見えます。文章そのものを書き慣れていないように感じました。
 この手の企画で求められているのは平均的なキャラ立てとシチュエーション作りくらいのものなんですが、残念なことにそれができていません。キャラ立てがしっかりしていないのでプレイヤーが突飛もないと感じてしまうような行動をキャラクターがとったりします。シチュエーション作りも極めて強引。無理矢理感が強いです。そんなですから日常の掛け合いも地に足がついておらず盛り上がりません。笑いを期待するのもちょっとツライです。
 惹かれ合う過程は期待するだけ無駄。オープニングで確定しているか、どこにも見当たらないか。しかし、黒崎なつきシナリオだけは例外でそれなりに理由らしきものが書かれていました。
 Hシーンは各ヒロイン8回。ただ、黒崎なつきだけは変則的でカウントしづらく本来的な意味なら2回というところ。ハーレムはあると言えばありますが、期待しない方が無難というレベルです。バッドエンド扱いですので。
 シチュエーション的には賛否が分かれそうな内容。個人的にはヒロインが女神でありながら、その象徴たる女神服を活用したシーンが少なく、コスプレに走っているケースが多いのはどうかと思います。存在の意義が薄れるような。
 
 CGは出来の良いものがある一方でそうでないものも受けられます。単純に塗りが一定でないようにも。なぜこうなるのかよくわかりません。また、目を閉じた時のヒロインの表情が画一的で、テキストのフォローがないとそれの示す意味がわかりにくいです。
 立ちCGもイベントCGと同様で基本的に良いカットが目立つのですが、幾つか状況にそぐわないカットやあまりよろしくないカットが混じっています。
 
 音楽は主題歌が記憶に残りやすい反面、他の曲の存在感が薄いです。要所で主題歌のインスト曲を使っていたせいもあるかと思いますが。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。声優陣は固いキャスティングですが、新鮮味が薄いです。実力派だからこそ、はまり役と言えるくらいの演技が欲しいところ。
 
 まとめ。素材の良さをシナリオが活かせていない作品。わざわざリスペクトしただけの意味は感じられませんでした。Front Wingのゲームは久しぶりですがあまり進歩が感じられないような。
 お気に入り:特になし
 評点:50
 
 このような有り様なのでキャラ別感想はありません。


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