坂上弘人（変更不可）は学園とバイトに隔日で通う日々を送っていたある日、謎の生物を拾う。それはひとことで言えば喋る羽の生えた猫。行き倒れていたそれを介抱した弘人はなぜか養うことに。ねねこと名付けたそれはお礼にと変身能力を弘人に授ける。能力をエロ方面に活用することしか思いつかない弘人であった。

 

　色々とゴタゴタがあったのか、それともなかったのか。しばらくノーチェックでいた内にメディア倫理協会に変わっているＭａｙ−Ｂｅ　ＳＯＦＴ。私が買っていた当時は望月望氏の専用ブランドという感じでしたが、今はそんなこともないようで。というか、このブランドはまるで〇〇時代という感じでスタッフが変わっていくのが面白いですな。ブランド自体はＤＯＳの頃から続いてますし。

　久しぶりに買う気になったのはモノに変身してのＨシーンという馬鹿ゲーっぽい要素とそれを描く原画が気に入ったので。

 

　システムは基本的にはごくオーソドックスなアドベンチャースタイル。肝である様々なモノへの変身はシナリオ的に自動であり、選択することはほぼできません。演出的にはちょっとしたアニメーションを採用。雰囲気はよく出ているように思います。

　Ｈシーンには局部ズームウインドウを用意。構図的に見づらい、不可能な視点をフォローしてエロ度を上げています。これが想像以上の効果を上げているように感じました。労力の節約にもなりますし、部分的であることが却ってエロさを引き立たせる巧い手かと。

　足回りはけして誉められたものでなく。メッセージスキップは既読未読の判別が甘い上に遅いです。加えてなぜかボイスも頭出しがされます。

　メッセージの巻き戻しは別画面で行います。ホイールマウスに非対応、リピート再生もなしと、とても２００４年のシステムとは思えません。もうちょっとユーザーフレンドリーという言葉を意識して欲しいような。

　メディア倫理協会になってからの機能、アナル・ヘアー表示のＯＮ／ＯＦＦは今作でも用意されています。

 

　シナリオは純愛方向と能力を使ったイタズラという二段構えの様相。序盤は主に名前のないキャラ相手の些細なイタズラ、中盤は各ヒロインのルート分岐も起きてイタズラも過激になっていきます。終盤は各ヒロインのシナリオに特化、名無しキャラ相手のＨシーンは鳴りを潜める、といった感じで進行。

　色物の印象がある今作においてメインヒロイン２人のシナリオは意外なほどしっかりと描かれています。さすがに尺や日常会話といった部分には不満が残りますが、エロ重視のゲームであることを考えれば充分かと。

　一方でモノに変身してのＨシーンは自転車のサドルや公園のシーソーになったりと思った以上に変化があって楽しめます。対象キャラが通りすがりであるからこそできるシーンが多く見られ好印象。また、ヒロインの場合はそのヒロインに対する主人公の心情が使い方に現れていて（どうでもいい相手には容赦がないとか）面白かったです。

　Ｈシーンは前述した局部ズームウインドウの効果もあってなかなかのエロ度。しかし、シナリオ、キャラ的に密度の薄い看護婦、似非魔女は名無しキャラと差別化があまりできておらず微妙。メインヒロインか名無しキャラのＨシーンを増やした方が効果的だったのではないでしょうか。

 

　ＣＧは全般的に明るい色使いの塗り。おかげで凌辱的なＨシーンにも陰惨さはあまりありません。イベントＣＧはとにかくエロが最優先といった感じの構図とシチュエーションが多く、どこか馬鹿っぽさが漂いながらも良い感じ。

　立ちＣＧというかバストアップは大きな表示であるせいか、表情変化は大きいものの、ポーズはほとんど変化しません。人数が３人以上である場合はフェイスウインドウにて対応しています。

　原画のあかざ氏は雑誌のラフなどを見るとＣＧよりも繊細な絵を描かれるようで、各ヒロインの表情などはそちらの方が魅力的でした。次作ではもっと原画に沿った、あるいは繊細な表情の原画が描かれることを密かに期待。

 

　音楽は思ったよりもオーソドックスな曲が用意されている印象を受けました。もうちょい馬鹿ゲーライクな曲が揃っていると思っていたので意外な感じ。

　ボイスは主人公とどうでもいいキャラを除けばフルボイス。演技の方は基本的には問題ありませんが、一部のキャラの演技がちと怪しいところです。わざとのようにも聞こえるのですが、あまり効果的とは思えないのが微妙です。

 

　まとめ。企画意図が充分に発揮されたお手軽ゲー。コンプリートするのにそれほど時間がかからないので時間がない人にもオススメ。モノに変身してのＨシーンが嫌いでなければ。

　お気に入り：中谷柊那

　評点：６９

 

　以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。

 

 

 

 

 

 

 

１、南瑚乃葉

　幼なじみであるせいかメインヒロインにも係わらず結構、容赦ないイタズラに遭ってます。つーか、枕とかのイベントはちとやり過ぎなのではないかと。碇さん家のシンジくんなら間違いなく鬱になっちゃいますよ。

　しかし、彼女の着る制服はどう見てもメイド服には見えんなぁ。だからこそ気に入ったのですけどＨシーンは少ないし、あっさり脱がすしで強く不満。制服なら似非魔女がいるでしょうに。それとあの構造はちと無防備すぎるのではないでしょうか。３秒で脱がされそうな感じなんですが。

 

２、中谷柊那

　車椅子に乗ってどこか儚いイメージでありながら巨乳というミスマッチが個人的にツボ。リハビリシーンとかで強調された胸が妙にエロいです。

　車椅子に乗っているせいかイタズラは控えめ。やはり弱みにつけこんでいるような、苛めているような印象を与えてしまうからでしょうか。個人的には瑚乃葉よりも特別扱いされているように感じました。

　柊那は私服はイマイチなんですが、制服が妙に可愛いです。十字をあしらったネクタイや袖、ソックスになぜか惹かれます。そんな訳でブランコに弄ばれた通りすがりの彼女はそのあたりがほとんど見えず悲しげ。

　ちなみに柊那の年齢は２０歳だそうです。瑚乃葉は２１歳（参考資料「ＰＵＳＨ！！」４月号）。なんかすごい世界だ、とか思っちゃうのは私だけですかね。

 

３、楠綾枝

　もろにエロ担当。最も直線的な能力の使い方をしています。普段の清楚な姿とのギャップを楽しむキャラなのかもしれませんけど、こういったエロ重視ゲームではあまり効果はないような気がします。

　彼女に限った話ではないのだけれど、結ばれた後のＨがどこかおざなりな感じがするのが残念。正直、各キャラともあと１回ずつくらいは欲しかったです。ねねこやメガネ、つかさといった２軍を削ってでも。

 

４、吉原美桜里

　名字からしてエロ担当。それも誘惑系という綾枝以上にストレートなキャラ。イタズラもリクエストですよ。しかし、触手という架空のものに変身できる主人公の能力は制限が少なそうですな。質量も変化できるようだし。鳥に変身して練習することなく飛べるあたりから考えて仮面ライダーとかウルトラマンにもなれるんじゃないでしょうか。

 

５、神野つかさ

　名前のない通りすがりの彼女たちの方が悉く魅力的というなんとも微妙なヒロイン。正直、エンディングなんてないと思ってましたよ。どう見たって落としどころに困る感じでしたし。実際、エンディングは突拍子もないというか脈絡のない苦しいものでした。というか、キャラ的にも他のキャラが全て誰とも重ならない衣装を持っているのにつかさは瑚乃葉と被っているんですよねぇ。ポジション的にも瑚乃葉とは比べ物にならないし。

 

６、ねねこ

　正直、本当に必要なのかなと。変身能力を授ける以外には存在に疑問を感じます。このキャラデザインで一人だけ貧乳というのも微妙なところ。別れと再会についても感動するゲームでもないでしょうし。