どこにでもいる平凡な大学生、恋塚英一(変更不可)。夏休みの始まったある日、田舎の祖父から理由を聞かされることなく呼び出される。
のどかな街並みは英一に幼い頃の記憶を呼び起こさせた。遠い日に交わしたあの約束も。果たして英一を待ち受けていたのは祖父の経営する銭湯のオーナー代理という仕事であった。
F&C系でCARNELIANN氏が原画を担当するということで色々と発売前に話題になったソフト。自分のブランドがあっても外注で仕事するということの意味を考えさせられた稀有なケース。その後(前?)にF&C所属の原画家がオービットに移籍することは単なる偶然なのかということも。
パッケージには「フェアリーテールが送る2002年のビックタイトル!!」とあります。発売月が2月ということを考えると、かなりの自信が窺えます。さて、その結果は?
私の環境下だけかもしれませんが、バグが出ています。音声、BGMの再生が時々、止まります。放っておけば治りますが、何度でも発生。場所は決まっておらず、再現性はありません。
他にもオープニングを立ち上げて、終了させると時折、ウインドウズがおかしくなります。その場合は再起動させることによって復旧。
今日現在(2月11日)、これらに対する修整ファイルは特にアップされていないようです。
初回版はバレンタインスペシャルパックということで、ポストカード(当たりくじ付き)、ピクチャーレーベル(全3種から1種)などが用意されています。
システムはオーソドックスな選択肢型アドベンチャー。全10話からなりますが、見た目上の区切りはありません。セーブファイルによってのみ確認可能になってます。
1話は他ゲームにおける、ほぼイベントひとつ分がそれに当たります。よってたいへん短いです。選択肢の数も少なめでその内容はほとんどが場所移動。イメージ的には移動先選択型のアドベンチャーに近いですが、行った先が誰のイベントであるかは事前にわかりません。つまり目当てのヒロインのイベントが現れるまでセーブ&ロードが必須となります。もちろんない場合もあります。
足回りはそこそこ。F&C系にしては珍しく、メッセージの巻き戻しがありません。
メッセージスキップの速度は今一歩。加えて途中で止めにくい仕様になっているため、使いにくいです。大手としてはあまり誉められた設計ではないかと。
シナリオは非常に大味。6人のヒロインのストーリーは共通項が多く、それでいて分量も少なめ。初回プレイでも3時間しかかかりません。2回目以降は1時間程度というフォローに困る短さ。
ヒロインごとの個別化を図るためのイベントも同一のフォーマットで書かれているために飽きやすく、また意外性も全く感じられません。その変化のなさは第一印象の気に入ったヒロインのシナリオをプレイすれば他は必要ないと言いたくなるほど。
銭湯兼下宿にヒロインと住んでいるという設定でありながら生活感が皆無。単純な生活の様子はもちろんのこと、キャラクターに躍動というものが全く感じられません。
キャラクターデザイン(内面)は悪くないのに、主人公サイドもヒロインサイドも心理描写がないに等しいので、互いの仲が近づく様子が表現されておらず、唐突に結ばれる印象があります。酷薄な言い方をすれば特定の日付にたまたま一緒にいたヒロインと自動的に結ばれるという感じ。
CGにも絡んだ話ですが、Hシーンはどういう訳か導入部をはしょるというスタイルを採っています。ただでさえ全キャラが告白→即Hという流れであるため、いきなり感がさらに加速されています。プレイヤーは完全に置いてきぼり。
他の大きすぎる欠点に比べて目立ちませんが、主人公が基本的に受動的で何もしないというのも気になります。というより主人公であるなら当然持っているであろう役割というものがありません(あえて言えばHのみ)。
シナリオという言葉が意味する様々な要素については総じて不足している、というのが正直な感想。
CGはさすがに素晴らしい出来。枚数が少ないことを除けばですが。やはり部分変化込みで90枚は少ないのではないでしょうか。
6人のヒロインの幼い頃のカットが同じというのはやはり不自然。せめて帽子のつばを上げたときのそれぞれのカットがあれば良かったと思うのですが。「ああ、そうだったんだ」と強く思わせるような。
シナリオ総量が少ない割に立ちCGはかなり豊富。ゲーム中、一度あるいは二度しか使われないものが多々あります。ポーズも可愛らしいものが多く、キャラに合っています。
別会社が担当している背景CGが人物CGにも負けないほどの美しさ。味のある街並みが見事に表現されています。それだけにシナリオに活かされていないのが残念でなりません。
オープニングデモはボーカル付き。映像はなんともコメントしにくい無難さ。個人的には何度も見たいとはとても思えませんでした。
音楽は全体的に地味な印象。どうにも記憶に残りません。定番の旋律という言葉がしっくりくるように思います。
ボイスは主人公以外フルボイス。新人さんなのか、聞き覚えのない方ばかりです。演技は皆、及第点以上だと思いますが、似たような声質の声優さんが揃っていて、聞き分けにくいように感じました。
まとめ。原画家の異なる「らぶらぶ☆ストレンジDays」。CGのみ(背景含む)に期待して買うならばまぁ、どうにか。これがビックタイトルなら発売するタイトルは九分九厘ビックタイトル扱いが必要だと考えます。
良く(?)も悪くも「ラ○ひな」なゲーム。ちなみにタイトル名にシナリオ的意味はありません。これなら「水夏」の方がよほど「ひまわりの咲くまち」ですよ。
お気に入り:花園さくら、葵夏流
評点:40
以下はキャラ別感想。ネタバレは特にないかと。
1、雛咲祭里
この服は果たして制服なのか私服なのか微妙なところ。なんともお約束な外見の持ち主。性格が似ていないのがせめてもの救いでしょうか。
さくらにも言えることですが、思い出の彼女の姿として、二人は相応しくなかったはず。なのに何の理由もなく納得する主人公。こういうのは手抜きとしか思えないのですがねぇ。
2、花園さくら
可愛らしい容姿と格好に反して、大酒飲みの下ネタ好きであるあたりがナイス。声まで外見とギャップがあるあたり、徹底されています。それだけに創意工夫ゼロのシナリオに泣けてきます。キャラデザとシナリオは別だという当たり前のことを改めて実感したかぎり。
個人的に水着姿の立ちCGはエロCGよりもすけべぃだと思います。あの胸はねぇ……。
3、三梨凉子
6人の中でただ一人のショートカット。思い出のときは長いのだからさり気なくその理由をいれるとか、短くてもあの時の女の子だと思わせるような演出が欲しかったです。まぁ、共通カットじゃ難しいですが。
気難しいタイプだけに最も恋仲に進展するのに首を傾げてしまう。あげくに気の迷いとか言われる。つーかそれは完全にシャレになっていませんが。
4、葵夏流
さくらと並んで実にいい性格をしています。あくまで基本設定では。シナリオ中には不自然にナイーブだったりしますが。
酒を抱えたものと安全ヘルメットを被った立ちCGは出色の出来。どういう人間かがひと目でわかります。
しかし、この人の職業にすんなり納得する人はあまりいないのではないでしょうか。主人公が来る前から宝探しをしていたとはとても思えないのですが。
このゲームは描写があまりにも淡白な(控えめな表現)だけでなく、処女でも血も出なければ痛がりもせず、すぐに感じてしまうので彼女が経験者であったかどうかわかりません。私はモザイクとかその他色々から経験者と判断しましたが本当のところは不明です。
5、エレナ・リリィベル
彼女の着替えには果たしてどんな意味があるのかわかりません。勝負服ってヤツなんでしょうか。
エレナに限った話ではありませんが、主人公が来てから変わった、とかいう表現はあまりにもうさん臭いです。そもそも変わったようにすら見えないのですが。
6、藤村由利
個人的苦手メガネランキングでもかなりの上位入賞を狙えそうなキャラ。よくもまぁ、とばかりに苦手な要素をかき集めています。
ワイヤーに絡まっただけでイッてしまうあたり、凌辱、痴漢系のゲームに出ていた方がいいような気がします。
|