103   恋騎士PurelyKiss(エフォルダムソフト)
 
 幼い頃、事件に巻きこまれて騎士に助けられた藤守要(変更不可)はそれ以来、騎士を目指してきた。騎士養成学園に入学した要は試験騎士団エスクワイアに誘われる。そこは総勢5人中なんと4人が女という構成の騎士団であった。
 
 新ブランド、エフォルダムソフトのデビュー作は露出の高い騎士団アドベンチャー。
 購入動機は原画の憂姫はぐれ氏のデザインに惹かれて。
 初回特典はプレミアムビジュアルブック。予約キャンペーン特典は裸アーマーパッチROM。
 
 修正ファイルが出ています。必須というほどのものではないようですが気になる方はあてておきましょう。
 
 ジャンルはごく普通のアドベンチャー。
 足回りはデビュー作にしてはかなり優秀です。メッセージスキップは既読未読を判別して高速です。共通が長く、選択肢間もそれなりにありますが次の選択肢へジャンプする機能があるので気になりません。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。いつでも最初まで戻ることができますが、なぜかエピローグに入ってしまうと戻れなくなってしまいます。
 たいへん残念なことに本作はアクティベーションによるライセンス認証システムを搭載しています。いずれかの方法によるネット接続が必要です。
 
 シナリオは一見まともに見えますが実際にはかなりいい加減です。簡単に言うと警察の代わりに騎士がいる日本という世界観がきっちりと組上がっておらず随所で破綻しています。真面目な雰囲気が窺えるだけに違和感として感じやすくなっています。
 日常の掛け合いはテンポも良く、キャラも立っているのでそこそこ盛り上がりますが、全体の構成が最初に山をもってきて後は緩やかに下る感じなので徐々にだれやすくなってきます。また、笑いの要素はかなり少ないです。
 戦闘シーンは非常に大雑把。およそ殺陣と呼べるような表現はありません。どこを見ても尺は短く、けして期待してはいけない要素です。
 惹かれ合う過程はほとんどありません。日常の蓄積が感じられないので個別シナリオに入った途端に急展開して始まる恋愛描写についていけず置いてきぼりです。
 本作は共通シナリオに比べて個別シナリオがとても短くなっています。加えて共通から個別へシナリオが繋がっていると言えるのはエルシアシナリオのみで、それさえも転結として必要十分の質と量を備えていません。穿った見方をすれば時間がなくて急いで間に合わせたようにすら感じられます。
 一応はサブキャラ2人のシナリオも用意されていますが、素材含めてあくまでオマケ程度なので期待は禁物です。
 Hシーンは各キャラ平等に5回ずつ。鎧と言いながら胴体部に金属アーマーが一切ないミニスカ戦闘服、これをヒロインに着せるのが本作の大命題だと思われます。よってこれと対の関係にある学園制服でのHが基本線です。ただ、内容はバリエーションのためかヒロイン毎に変化が付いています。そのために主人公の性癖がシナリオごとに違うように見えます。尺は全体的に平均程度でエロさは純愛系にしてはとてもエロいです。
 Hシーン未満のハプニング的なシーンは普段のイメージから考えるとギャップを感じるような間抜けなものが多いです。昔のゲームを彷彿とさせるような。
 
 CGは本作随一のアピールポイントになっています。デザインからしてテーマが明確で好感を抱きやすいです。クオリティが高く原画買いの人間の期待に応える出来。しかし、差分抜きで66枚しかないのは痛恨と言うほかありません。
 全体的に必要なところにしか注力しないという感じで、立ちCGの人数は驚くほど少ないです。ヒロイン以外となると数えるほどしか用意されていません。
 SDカットは率直に言ってあまり可愛くないように感じます。イベントCGが通常のシーンに少ないことを補うのが目的だと思われますが物足りないように思います。
 予約キャンペーン特典の裸アーマーパッチはヒロインが学園の制服及び鎧姿の時に文字通り裸と鎧のみで表示されるというもの。私服などの時には適用されません。コンフィグでいつでもオンオフを切り替えることができます。お遊びとしては面白いですが、シリアスなシーンでやるととてもシュールです。
 
 音楽は騎士のイメージからすると勇猛さを感じるような勢いのある曲はなく、主張はおとなしめです。ただし、旋律は安定していて落ち着いて聞くことができます。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。エルシア役の一色ヒカルさんを筆頭に地に足のついたキャスティングが安心感を生んでいます。
 
 まとめ。結局はデビュー作らしい作品。あかべぇそふとつぅ系列というのがあまり強みになっていないのが残念なところ。アクティベーションを搭載してボリュームが乏しいのでは笑えません。
 お気に入り:エルシア=ハーヴェンス
 評点:60
 
 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
 
 
 
 
 
 
 
1、エルシア=ハーヴェンス
 個人的には久しぶりの一色ヒカルさん演じるメインヒロインを堪能しました。なかなか素直になれない姿が実に良く描けていました。シナリオは唯一、共通から繋がっていて、エロ的にも固い。本作では鉄板の存在です。
 どうしてか特訓が一番エロく感じられました。下手すれば通常のHシーンよりも。ひょっとしたら他の特訓シーンと違って主人公が何もしていないのにエルシアが自爆しているからかも。
 
2、獅堂真奈
 なんか不完全燃焼。設定がどうもよろしくない感じ。名門のひとり娘なので本格的な騎士になれるはずもないというあたりどうもねぇ。テーマ殺しの設定と言っても過言ではありません。
 Hシーンはひとりだけ奇妙な扱い。鎧姿を活かしているとは言い難く、誰が得をするのかという最終H。どうも本作内における彼女の役割というか立ち位置がよくわからないですね。
 
3、風間明莉
 本格的なシナリオゲーではないだけにそれでいいのかとシナリオ展開に疑問を抱きます。どんな騎士になるのか、みたいなところはどうでもいいんですかねぇ。どうしてもマイナスに見えてしまって売りが乏しく感じられてしまいます。
 
4、藤守由宇
 秒殺な感じのひとりHに驚愕。あっという間に終わってしまって思わずバックログを確認したほどでした。
 Hシーン直前に「お母さん」という単語を出す剛のヒト。主人公はよく萎えなかったものだと感心いたします。由宇って結局、自分のことしか考えていない自己中だからなぁ。失言とか迂闊な行動が多いのでどうしたって好きになれません。
 
5、ベルナデット=ヴィルブルグ
 まぁ、シナリオがあっただけましと言うべきなんでしょうか。なんともお粗末な内容でありました。そこそこ共通が良かっただけに却って落胆してしまいました。イベントCG1枚というのにもね。
 
6、国中佳織
 ベルナデットに比べればまだしも、ということで納得するしかないのでしょうか。普段がサービス精神満点なだけに実際との落差に泣けてきます。まぁ、ハッキリ言えば由宇あたりとヒロイン交代して欲しいです。一番、胸が大きな団長がサブってなぁ。
 最後だけ立ちCGが追加されるという謎のサービスがなんとも言えず切ない。


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