Mini History


ヤマハ・ミニトレール、愛称ミニトレ。1970年8月にヤマハから発売されたFT-1に始まるミニ・レジャーモデルのバイクの愛称。FT-1はヤマハ初の本格トレールモデルDT-1(250cc)をそのままスケールダウンしたようなデザインで登場した。

1971年12月には車名をFT50に変更、さらに1972年12月にはFX系エンジン(当初は4PS)を搭載して、新たに車名を「ヤマハ ミニGT50/GT80」とした。一般的に「ミニトレ」はGTを指して言われる。

 FT-1はロータリーバルブエンジンを搭載していたが、GTからはピストンリードバルブエンジンに変更された。
このピストンリードバルブエンジン、最終のYSR50までジャンルを問わず多くの車種に採用されてきた。この間、車種ごとに微妙に味付けが変更されているが基本は変わることなく進化しつづけたので、GTにYSRのエンジンやYZのエンジンを換装といったスワップチューンを可能とした。ちなみに「元祖ミニトレ」FT-1のロータリーバルブエンジンも車種を変え採用され続け、現在もYB-1、YB50に採用されている。

 1型GT('72年〜)の4速ミッションエンジンは、ボトムニュートラルと呼ばれる独特のシフトパターンを持っていた。一番下がニュートラルで上に4速。ギヤを数えずにシフトダウンしてゆくと間違ってニュートラルに入ってしまうことも。
調子よく攻めている時にコーナーの突っ込みでこれをやってしまったらもう、冷や汗びっしょり。あせること間違いなし。当時のカタログには
「ニュートラル位置が最下段でさがしやすいリターン式4段ミッション。オンロード、オフロードいずれにもスムーズに発進、加速します。」
だって。確かにニュートラルは出しやすいけどね!?

 ミニトレは5速化('77年3月)、モノクロサスペンションの採用('79年3月)、CDI化('80年5月)、角パイプスイングアームの採用('80年5月)といった内容で年々進化を続けたが、水冷エンジン搭載モデルの台頭とミニ&レジャーモデル人気の下降により、1981年3月発売の最終型を最後に生産中止となった。最終型は約5,000台の生産とされている。

 ミニトレには角型タンクにゼッケンプレート付シートカウル、一文字ハンドルでカフェレーサースタイルにアレンジされた、GR50/GR80という兄弟も存在した。こちらもミニトレと並び現在でも根強い人気がある。



■推定生産台数
 1型(1972〜) 80,000台、 2型(1977〜) 33,700台、 最終型(1981〜) 5,000台




Catalog data

ヤマハミニ GT50・GT80 (1972年12月)

「めったにない万能選手(オールラウンド・プレーヤー)、
ヤマハミニ君」

エンジン:空冷2サイクル・リードバルブ単気筒  排気量:49(72)cc  ボア&ストローク:40.0×39.7(47.0×42.0)mm  圧縮比:6.8  最高出力:4.0ps/7,500rpm(4.9ps/6,500rpm)  最大トルク:0.45kg-m/5,000rpm(0.55kg-m/6,000rpm)  始動方式:プライマリーキック  点火方式:マグネトー  クラッチ:湿式多板  ミッション:リターン式4速  全長/全幅/全高:1,610/690/930  軸間距離:1,045mm  シート高/地上高:655/195mm  車両重量:62(64)kg  タンク容量:4.8L  潤滑方式:分離給油  タイヤ:F・2.50-15 R・2.75-14  登坂力:20°  最小回転半径:1500mm  燃費:80(75)km/L  価格:7万4千円(7万7千円)
※( )はGT80

YAMAHA MINI GT50 (1974年10月)


エンジン:空冷2サイクル・リードバルブ単気筒  排気量:49(72)cc  ボア&ストローク:40.0×39.7(47.0×42.0)mm  圧縮比:6.8  最高出力:4.0ps/7,500rpm(4.9ps/6,500rpm)  最大トルク:0.45kg-m/5,000rpm(0.55kg-m/6,000rpm)  始動方式:プライマリーキック  点火方式:マグネトー  クラッチ:湿式多板  ミッション:リターン式4速  全長/全幅/全高:1,610/690/930  軸間距離:1,045mm  シート高/地上高:655/195mm  車両重量:62(64)kg  タンク容量:4.8L  潤滑方式:分離給油  タイヤ:F・2.50-15 R・2.75-14  登坂力:20°  最小回転半径:1500mm  燃費:80(75)km/L  価格:8万9千円(9万4千円)

主な変更点●フラッシャスイッチ位置 ●タンクグラフィック

YAMAHA MINI GT50・GT80 (1975年8月)

「この小さなボディに秘められた逞しさを若者は見逃さない。」

エンジン:空冷2サイクル・リードバルブ単気筒  排気量:49(72)cc  ボア&ストローク:40.0×39.7(47.0×42.0)mm  圧縮比:6.8  最高出力:4.0ps/7,500rpm(4.9ps/6,500rpm)  最大トルク:0.45kg-m/5,000rpm(0.55kg-m/6,000rpm)  始動方式:プライマリーキック  点火方式:マグネトー  クラッチ:湿式多板  ミッション:リターン式4速  全長/全幅/全高:1,610/690/930  軸間距離:1,045mm  シート高/地上高:655/195mm  車両重量:62(64)kg  タンク容量:4.8L  潤滑方式:分離給油  タイヤ:F・2.50-15 R・2.75-14  登坂力:20°  最小回転半径:1500mm  燃費:80(75)km/L  価格:8万9千円(9万4千円)
※( )はGT80

主な変更点●テールパイプ延長 ●ヘッドランプステー色 ●タンクグラフィック





NEW YAMAHA MINI GT50II・GT80II (1977年3月)

「ミニトレの愛称で親しまれて、7年目。
5段ミッションも新登場」

エンジン:空冷2サイクル・リードバルブ単気筒  排気量:49(72)cc  ボア&ストローク:40.0×39.7(47.0×42.0)mm  圧縮比:6.8(7.1)  最高出力:4.0ps/7,000rpm(6.0ps/7,000rpm)  最大トルク:0.45kg-m/6,000rpm(0.65kg-m/6,500rpm)  始動方式:プライマリーキック  点火方式:マグネトー  クラッチ:湿式多板  ミッション:リターン式5速  全長/全幅/全高:1,565/710/930  軸間距離:1,045mm  シート高/地上高:655/170mm  車両重量:63(64)kg  タンク容量:4.8L  潤滑方式:分離給油  タイヤ:F・2.50-15 R・2.75-14  登坂力:20°  最小回転半径:1500mm  燃費:80(75)km/L  価格:10万9千円(11万4千円)
※( )はGT80

主な変更点●5速ミッション ●3枚弁リードバルブ採用 ●マフラー形状(2分割) ●角型テールランプ ●25Wヘッドライト ●オイル警告灯装備 ●チェーンカバー形状 ●メーターケース材質変更 ●ミラーケース材質変更 ●反射板材質変更

GT50III・GT80III (1978年3月)

「痛快 ミニ・トレール」

エンジン:空冷2サイクル・リードバルブ単気筒  排気量:49(72)cc  ボア&ストローク:40.0×39.7(47.0×42.0)mm  圧縮比:6.8(7.1)  最高出力:4.0ps/7,000rpm(6.0ps/7,000rpm)  最大トルク:0.45kg-m/6,000rpm(0.65kg-m/6,500rpm)  始動方式:プライマリーキック  点火方式:マグネトー  クラッチ:湿式多板  ミッション:リターン式5速  全長/全幅/全高:1,565/710/930  軸間距離:1,045mm  シート高/地上高:655/170mm  車両重量:63(64)kg  タンク容量:4.8L  潤滑方式:分離給油  タイヤ:F・2.50-15 R・2.75-14  登坂力:20°  最小回転半径:1500mm  燃費:80(75)km/L  価格:10万9千円(11万4千円)
※( )はGT80

主な変更点●タンクグラフィック

NEW GT50・GT80 (1979年3月)

「ヤマハの技術が、ミニバイクの世界を変えた。
画期的なモノクロス・サスペンションを装備して
ヤマハのミニ・トレ、ニューGT50/80新登場。」

エンジン:空冷2サイクル・リードバルブ単気筒  排気量:49(79)cc  ボア&ストローク:40.0×39.7(49.0×42.0)mm  圧縮比:6.9  最高出力:5.0ps/8,000rpm(6.3ps/7,000rpm)  最大トルク:0.47kg-m/7,000rpm(0.67kg-m/6,500rpm)  始動方式:プライマリーキック  点火方式:マグネトー  クラッチ:湿式多板  ミッション:リターン式5速  全長/全幅/全高:1,675/705/940  軸間距離:1,065mm  シート高/地上高:690/180mm  車両重量:63(65)kg  タンク容量:5.7L  潤滑方式:分離給油  タイヤ:F・2.50-15 R・2.75-14  登坂力:20°  最小回転半径:1700mm  燃費:80(65)km/L  価格:11万7千円(12万5千円)
※( )はGT80

主な変更点●モノクロスサスペンション ●新型フロントフォーク(ストローク100mm) ●補助掃気ポート追加 ●フィン面積拡大 ●排気量フルサイズ化(GT80) ●タコメータ標準装備(GT80)




GT50 (1980年5月)・GT80 (1980年4月)

「街へ、高原へ・・・小粋で気がきく僕のプレイ・マシン。
ヤマハのミニ・トレ」

エンジン:空冷2サイクル・リードバルブ単気筒  排気量:49(79)cc  ボア&ストローク:40.0×39.7(49.0×42.0)mm  圧縮比:6.9  最高出力:5.0ps/8,000rpm(6.3ps/7,000rpm)  最大トルク:0.47kg-m/7,000rpm(0.67kg-m/6,500rpm)  始動方式:プライマリーキック  点火方式:C.D.I.  クラッチ:湿式多板  ミッション:リターン式5速  全長/全幅/全高:1,675/705/940  軸間距離:1,065mm  シート高/地上高:690(685)/180mm  車両重量:64(66)kg  タンク容量:5.7L  潤滑方式:分離給油  タイヤ:F・2.50-15 R・2.75-14  最小回転半径:1700mm  燃費:80(65)km/L  価格:11万7千円(12万5千円)
※( )はGT80

主な変更点●CDI点火方式 ●角型スイングアーム ●タコメータ標準装備 ●パワーレバー標準装備



GT50・GT80 (1981年3月)

「街を走ることが日課になった。僕のジョギングシューズGT50・80」

エンジン:空冷2サイクル・リードバルブ単気筒  排気量:49(79)cc  ボア&ストローク:40.0×39.7(49.0×42.0)mm  圧縮比:6.9  最高出力:5.0ps/8,000rpm(6.3ps/7,000rpm)  最大トルク:0.47kg-m/7,000rpm(0.67kg-m/6,500rpm)  始動方式:プライマリーキック  点火方式:C.D.I.  クラッチ:湿式多板  ミッション:リターン式5速  全長/全幅/全高:1,675/705/940  軸間距離:1,065mm  シート高/地上高:690(685)/180mm  車両重量:64(66)kg  タンク容量:5.7L  潤滑方式:分離給油  タイヤ:F・2.50-15 R・2.75-14  最小回転半径:1700mm  燃費:80(65)km/L  価格:12万7千円(13万3千円)
※( )はGT80

主な変更点●タンクグラフィック






Collection

機種名称
機種コード
車体打刻番号
カラーリングコレクション
GT50
GT80
375/374
(1972)
FT1-200101〜
374-000101〜

ハイスパークルレッド(50のみ)

ハイスパークルライトグリーン

ハイスパークルブルー(80のみ)
GT50
GT80
375/374
(1974)
FT1-450101〜
374-110101〜

チャピイレッド(50のみ)

シルバーダスト

バルボアブルー(80のみ)
375
(1975)
FT1-468001〜
FT1-700101〜

コンペティションイエロー(50のみ)

シルバーダスト

ハイスパークルライトグリーン
GT50II
GT80II
2A3/2A4
(1977)
FT1-520101〜
374-400101〜

クリスタルシルバー

クリスタルシルバー

クリスタルシルバー
GT50III
GT80III
2A3/2A4
(1978)
FT1-550101〜
374-550101〜

スターブラック

クリスタルシルバー

ニードルリーフグリーン
GT50
GT80
3M7/3M8
(1979)
3M7-000101〜
3M8-000101〜

ブラックゴールド

ニューホワイト

リーブスグリーン
GT50
GT80
4M7/4M8
(1980)
3M7-100101〜
3M8-100101〜

ブラックゴールド

ホワイト
コンペテションイエロー
GT50
GT80
4M7/4M8
(1981)

ヤマハブラック
ホワイト






番外編
GT80 Mini Enduro from USA
(1973)