ここではよく聞かれるウエイトリフティングとパワーリフティングの違いについて解説したいと思う。
ウエイトリフティングとパワーリフティングをまだ混同している方がすごく多いので、ここでしっかり理解
していただきたい。


ウエイトリフティング
 日本では『重量挙げ』と表記されることもある。古代オリンピックから正式種目であり、次回のシドニー
オリンピックから女子も正式種目となる。

 それに伴い、体重別の階級も1998年1月1日から変更になった。
  男子:56Kg、62Kg、69Kg、77Kg、85Kg、94Kg、105Kg、+105Kg

  女子:48Kg、58Kg、63Kg、69Kg、75Kg、+75Kg

 種目について・・・
   ウエイトリフティングでは、『スナッチ』と『クリーン&ジャーク』の二種目がある。各種目3回の試
   技が許され、各種目の最大成功重量をたした数値で順位を争う。尚、同記録の場合は体重が軽い選手が
   上位になる。記録も体重も同じの場合は先にトータル記録を成立させた選手が上位となる。
    4メートル四方の試技台(プラットフォームとも呼ばれる)の上で軽い重量から増量しながらそれぞ
   れ3回行う。尚、試技重量は下げることはできない。ただし、失敗した場合は同重量は選択できる。
    パワーリフティングと違い、スピードとバランスと柔軟性を必要される競技である。


 各種目共通の主な注意点・・・・

   1,種目が終了した時点でしっかり静止する。
     (よく勘違いされがちだが、現在は1秒静止するとかというルールはない)
   2,スナッチ動作及びクリーン動作、ジャーク動作とも一動作で行う。
     (二段モーションにならないこと。一度止まった動作を再開させたりしない)

   3,『ダウン』の合図後、バーベルを床におろす際に腰の高さまでは手を添えなければならない。
     (頭上から放り投げたりすると失敗となる)

   4,試技台の中で全ての試技動作をしなければならない。
     (試技台から足を踏み出したり、バーベルを下ろす際に試技台の外に下ろさないこと)

   5,炭酸マグネシウム以外の粉を使ってはならない。尚、足等につける場合は試技台の脇でつけること。
     (テクニカルコントローラーの指示でその場で拭き取る処置が取られる。その際の時間は進行する)
   6,各試技は1分以内に行う。ただし連続試技は2分以内で行う

   7,検量は通常、試合開始の2時間前から1時間にわたって行う。体重超過の場合は時間内に再検量ができる。

 などがあげられる。詳しくは日本ウエイトリフティング協会発行のルールブックを参照のこと。


 『スナッチ』
   バーベルを両手で持ち、一挙動で頭上に引き上げると同時に、確実に腕を伸ばして静止する。手幅を大きく
  持つことによって、より体のそばを高速で通過することによって、一気に頭上に引き上げることを可能にして
  いる。後述される『ダブル・ニーベンド方式』で行われる傾向である。

 『クリーン&ジャーク』
 スナッチとは違い2種目の動作から成り立っている。
『クリーン』・・・・手幅を肩幅程度にし、両手でバーベルを持ち、床から一気に肩まで引き上げる。最近は
          ダブル・ニーベンド方式と呼ばれる方法で行うことが多い。バーベルを床から真っ直ぐ
          引き上げ、鼠蹊部で跳ね上げる方法である。鼠蹊部で爆発的なエネルギーを生み出して
          スピードで一気に引き上げるのである。肩に引き上げた時、鎖骨で支持する。できれば
          三角筋と共に3点で支持することが望ましい。
『ジャーク』・・・・鎖骨上に支持しているバーベルを両足と腰の反動を利用して一気に頭上に差し挙げる動
          作を行う。そして、両足を一直線上に揃え静止する動作までを『ジャーク』という。普
          通は足を前後に開く『スプリットジャーク』を行うが、そのまま足を開かずに押し上げ
          る『プッシュジャーク』、真下に座り込んで立ち上がる『スクワットジャーク』を採用
          する選手も少なくない。
           尚、挙上した際に、肘が伸びきらず、押し上げた場合は反則動作となり、失敗試技と
          宣告される。




パワーリフティング
 昔は『オット・コンテスト』と呼ばれていたもので、3種目合計の挙上重量を競うものである。3種目
は『スクワット』・『ベンチプレス』・『デッドリフト』である。ウエイトリフティングと違い、絶対的な
パワーが要求されるスポーツである。1998年4月時点ではまだ、オリンピック種目には採用されていな
いが、IPF(国際パワーリフティング連盟)が中心となって正式種目に採用を訴え続けている。


 『スクワット』
 1.ラックに置かれたバーベルを肩にかつぎ、2〜3歩後退して両足を開く。
 2.主審の『スクワット』の合図とともに腿が膝より水平以下に下がるまでしゃがみ元の直立姿勢に戻る。
 3.主審の『ラック』の合図でラックに戻す。

 『ベンチプレス』
 1.フラットベンチに仰向けに寝て頭部及び胴体(肩及び臀部)を台上に付け、両足を床にしっかりつけ
   バーベルをラックからはずす。
 2.両肘を均等に曲げ、胸の上でバーベルを一旦静止し、再び押し上げる。
 3.『ラック』の合図でラックに戻す。

 『デッドリフト』
 1.床に置かれたバーベルを両手で握り、1回の連続動作で膝、腰が完全に伸びきる完全な直立姿勢まで伸び
   胸を張り、肩を返す。
 2.合図とともに床にゆっくり延ばす。


 各種目共通の主な注意点・・・・

   1,検量時にコスチュームチェックがある。
     (バンテージやベルトにも細かい規定がある)
   2,合図があるまでラックに戻さない。

   3,試技を開始したら足を動かしては行けない。

   4,各種目3回、そのうちの最大成功重量の3つを足した重量で順位が決まる。

   5,各種目とも1分間で行わなければならない。

   6,各種目とも増量は2.5キログラム単位で行う。

   7,同記録の場合は体重の軽い方が上位となる。
などがあげられる。パワーリフティングは毎年たいがいルールが変更になるので協会発行のルールブックで
各自調べて下さい。



ウエイト&パワーページに戻る