* * *ドイツ太陽熱利用技術交流ツアー* * *

          2010年6月6日(日)〜12日(土)

  先進国へ行くのは初めての私は、交流先の方達にどんなお土産を持って行こうか悩んでしまった。ネパールやタンザニアなら、ソーラーパネルが付いた懐中電灯や鉛筆、チョーク、何でも喜んでくれる。ソーラーエネルギー先進国の人たちに日本を伝えるには・・・と、散々考えて、オーガニック先進国でもあるから、無農薬有機栽培農場で作られたお茶を持って行くことにした。インターネットでは日程が間に合わないので、横浜まで買いに行った。ツアーの参加者は殆どが太陽熱関連の企業人。NPOは2人。総勢16人。

 6日の10時に成田集合で、12時15分出発。時差7時間のフランクフルト空港に17時半ころ着いた。そこからフライブルグのホテルまで3時間半チャーターの大型バスで向かった

 7日フラウンフォーファー研究所太陽エネルギー研究部門を訪問。企業や国からの研究依頼や世界各国との共同研究、また、国内59の研究所とネットワークを持ち、総合開発が活発に行われている。930名のスタッフが働いている。依頼・委託で資金の90%を賄っている。2名の技術者による専門的な話を聞くことができた。特に断熱材の新製品のところでは質問が相次ぎ、のちのち、施設の見学時間がなくなってしまったという悲しい結果になった。

  
エントランスの天井はシースルーのPV    地中熱の冷暖房管         研究所正面

 14時、フライブルグサッカー場に移動し、サッカー場でははじめての自然エネルギー導入という施設を見学した。24000席あり、そのうち10000席が立見席。ついこの間の5月8日にオランダ×メキシコ戦があったそうだ。黒い森、小高い山のある街中にあるサッカー場で、サポーター達は路面電車や自転車でやってくる。環境意識の高い町でもある。ソーラーパネルは4回に渡り設置された。最初に南側、東側、西側(これはソーラー熱)、北側。太陽光パネルの設置資金は、分譲型で市民、企業などが購入した。スポーツクラブ会員に優先分譲。10年間で回収できる配当だそうだ。太陽光パネルは2,200u 民家88戸分の発電能力。太陽熱は選手のシャワーやサニタリーに使われる。2004年太陽エネルギー1メガワットプロジェクトを作る推進力となった、電力会社バーデノーバに敬意を表し、ドライザム(流れている川の名)からバーデノーバサッカー場と改名した。冬季の芝生の凍結防止にも温水が使われている。世界で初めてサッカー場での紙コップを、デポジットのコップに換えたことでも知られている。

  
サッカー場 山の上には風力発電が見えた  PVと太陽熱集熱器    案内役のECOSのBeckさん

 15時半、近くにある小川に設置した小水力発電を見学。大きなスクリューが緩やかに回り、魚が入り込んでもそのまま通過できるようになっている。それにしても、アチコチで川を見る。緑も豊かで、心が落ち着く。そばの公園では、テレビで見たような、上半身裸で寝そべっている人たちがいた。川の大きな石にうつ伏せになり、水着の紐をほどいて寝ている人もいた。ちょっとビックリ。

  
直径4mのスクリュー          取水口をのぞくみんな        約86kWの発電と書いてあった

 16時〜17時45分 環境共生型集合住宅ヴォーバン住宅の見学。フランス軍の居住地跡地だったところを1980年台の住宅難の解消に国から市が買い取った。兵舎3棟を学成達を主とした住宅スージーという共同体を作ったのが始まり。集合住宅をみんなで相談してデザインして住みやすくしていく。現在入居希望者は申請に条件があり、低エネルギーハウスである事・ 住まいと職場が連結している・エコロジーな考えの人・ 市民であること・ 家族が多いことなどを含んでいなくてはいけない。そして、どの家をみても、断熱を特に力を入れていて工事現場の断熱材を見たら、30cmくらいの発泡スチロール板を壁に取り付けていた。車は市の駐車場に停めなくてはいけない。居住地に車を乗り入れさせない。その後、ちょっと歩いたところにある、大型集合住宅の太陽光パネルを見学。ソーラータウンだ。

  
公民館の屋根のPV         断熱補修工事中、窓を見ると壁の厚さが30cmあることが分かる
                     写真右:ソーラータウン 大きな通りに面した住宅街はソーラータウン

 19時にホテルに着き、夕食へ町へ出た。ドイツの夜はなかなか来ない。9時過ぎても明るい。ビールが進む。

 8日9時半、国立大学病院の太陽熱利用を見学。ラボの温度管理のために冷房が必要。ソーラーの低温55度で稼動させている。バキューム集熱管使用。1998年に90u設置、その後80uを追加。設置費用は490,000ドイツマルク。補助金を得ている。食堂の屋上の太陽集熱パネル見学。 データ管理はモニターが食堂入り口に設置してある。そして19時半ミュンヘンのホテルに着き、夕食へと町に出た。白アスパラのスープをいただく。そこのレストランの天井は部屋ごとに違うデザインが施されていて美しい。

  
ラボの配管の説明を聞く       ラボの屋上:真空管式集熱器     食堂の屋上の集熱パネル
   
      街の朝の通勤は自転車で   教会の前の朝市風景
  
夜の食事をしたレストラン      部屋ごとに違う古い天井の模様   白アスパラと川マス 

 9日10時、INTER SOLAR会場へ。技術交流プログラム。
 フランク・ハーグビッツ氏の話。物理学者・経済学者。8年間中国で再生可能エネルギーに携わり、EUに戻り、INTER Solar Conferenceを纏めている。1991年から始まり、今年で20周年を迎える。今年は1880社が出展して、昨年比33%増となっている。国内の企業より国際的な企業数が伸びている。入場者は6万人を予想。ムンバイ・上海・サンフランシスコと世界的に開催地も広げてきた。確実に太陽熱利用の進歩が感じられる。展示を見ることも重要だが、会議に参加することも意義があると話した。
 ウェーマー・コイデホフ氏の講演。化学・薄ガラス光学の会社に勤務。2000年に独立し、コンサル・研修の会社を設立。ドイツソーラー経済連盟の役員。ドイツにおける太陽熱利用の話。市場・熱利用技術・各国での設置事例などを話した。
 その後、太陽熱企業の自社製品の紹介。ブルーテック社 ダーイン・パビッチ氏、シューコ社 トーマス・ビック氏、サンドック社 リンダ女史、13時半から休憩
 15時半からソーラーシステム研究所 蒲谷氏の講演「太陽熱関連製品の日本の産業−市場動向と技術」。ECOS代表ムーメケン氏による「日本市場参入に向けてのアドバイス」というテーマで話があった。
 17時半から、レセプション。展示企業や本ツアー参加者、ECOSメンバーとの交流を行った。私は持参したテルケス型クッカーとききょうを披露し、ECOSメームケン夫人にききょうを使って欲しいと、プレゼントした。夜、ビアガーデンへ行った。1000人はいるかと思うような物凄い人の中で、大ジョッキを空けた。ここのボーイさんたちは一つ一キロ以上有るジョッキを片手に5個、両手に10個持ってテーブルへ配っている。物凄い!

   
蒲谷氏の講演            ECOS代表メームケン氏の講演   持参したクッカーを披露

  
INTER SOLAR展示会場風景   変り種の集熱装置(半円筒型)   ソーラークッカーの展示

 1000人以上入るビアガーデンで

 10日終日INTER SOLAR見学の日だったが、ミュンヘンの町を見ていないので、午前中は自由行動にしてもらった。午後、会場に着き、見学したが、広大な会場で回りきれなかった。A〜E?まである会場の中にまた1〜4とか会場が分かれている。太陽熱関係はC会場。主は太陽熱温水器だがソーラークッカーを展示している企業が一社だけあった。EGソーラー社のSK-80のようだ。16時に出口に集合してインゴルシュタットへ向かう。
 今夜のディナーは、本場のドイツ料理のお店だ。ビールの醸造所をレストランにしている。たくさんの種類のビールがあった。どこの町もそれぞれのビールがあって、とても美味しい。ドイツの人は部屋の中ではビールを飲まないようだ。町でもみんな、道路に出したテーブル席で飲んでいる。外の方が気分いい。料理は食べきれないくらいの量だった。

  
ショッピングに出かけたミュンヘンの街は歴史的建造物だらけ    そんな街にも100円ショップがあった

  
イングルシュッタットの夜 古い酒蔵をレストランにしている       写真は夜10時頃 まだ薄明るい

 11日帰る日の午前中まで、見学がある。インゴルシュタット単科大学訪問と、そこが手がけた貨物センターの太陽熱暖冷房システムの見学だ。大学では温水器・冷房装置の説明、ここでも熱心な質問で、大学内の施設見学は中止となった。そしてアウディの物流センターの見学に向かった。インゴルシュタットはアウディの町。屋上に上がり、機器の説明を受けたが、撮影は禁止と言われてしまった。セメントを蓄熱層にして地中に保存して、熱を使うらしい。

  
単科大学の校舎            物流センターを望む         センター屋上の集熱器見学

 そして、空港へ向かう。その途中で、古びた村のケーキ屋さんで休憩。実は有名なとこらしい。高い城壁の傍のB&Bの一階がケーキ屋さん。石畳の坂を上って着いた静かな景色。あー、今日でお別れなんだなあと、しみじみとした気分になった。どの家も窓を花で飾り、見知らぬ人にも楽しみを与えている。

  
石畳の坂を上って行くと       カフェがあった             小さな町だが歴史を感じる

塀などで囲わない、緑の垣根。広い歩道。広い自転車道路。誰もが、肩身が狭くならない生活。自動車だって、こじんまりした、小型車。キャンプに行く時だけ後ろにキャンピングカーをつけて。また、来たいドイツ。新しい人との出会い。良かった。

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