全日本プロレス FEATURING VIRTUA

販売元:(株)セガ・エンタープライゼス
発売:1997年
使用ハード:セガサターン

 『バーチャファイター』などの名作を世に送り出した、セガAM2研が全日本プロレスのゲームを作った。三沢や川田など全日所属のレスラーは勿論、『バーチャファイター』からウルフとジェフリーが参戦。このゲームの発売後、実際に全日マットにウルフが登場して話題になった。

 このゲームに関しては賛否両論。個人的には悪い印象は持っていないのだが、受け入れられないという人の気持ちも分かる。まず、技の出し方が既存のプロレスゲームとは大きく異なっているという事。例えば三沢でタイガードライバー'91を出すには、まず闘気ゲージを80まで溜めて、Aボタンで打撃技を出し、続けてBボタン入力で相手をつかむ、そして↓+Cで技が発生するといった具合。いわゆるコンボのような入力をして技を出すのである。慣れれば何てことはないのだが、やはりこれはかなりとっつきにくい。また、ロープに振ってドロップキックを出す場合などは、ハンマースローから技が発生するまですべて一つのモーションになっていて自由度も少ない。自由度がないと言えば、相手方向にしか走れないというのもツライ。結局このゲームは純粋なプロレスゲーではなく「プロレスゲームのような格闘ゲーム」、あるいは「格ゲーのようなプロレスゲー」と言える。CPU戦で相手を選ぶ事が出来ないというあたりなんかも格ゲーだよね。

 しかし既存のプロレスゲーが、このゲームから学ぶべき事も多い。まず第一に、キャラが「歩く」という事。『闘魂烈伝』にしても『バーチャルプロレスリング』にしても、マットをすべるように移動していて、非常に不自然なのである。その点このゲームは、極めて自然にキャラが歩いている。歩くスピードはスムーズだし、掴む時の失敗モーションも大きすぎず小さすぎず、そしてフォールにはいるモーションや相手を引き起こすモーションの素早さなど、実に操作感(操作性ではない)が良い。この辺はやはり『VF』の技術なのだろうか。以上の事は、他のプロレスゲームも、是非見習ってほしいところである。あと、組み付いた後に十字キーで相手を押したり引いたり出来るシステムにも注目。これで、ある程度技をかける位置を調節出来るのだ。『バーチャルプロレスリング』あたりでも、このシステムを採用してはどうか。
 他にも臨場感のある観客の歓声や、カウント2.9の熱い攻防など、このゲームには色々と見所はある。中でも、「技を受けるほど溜まる闘気ゲージ」の存在は大きい。胸を突き出して(Rボタン)打撃技を受けると、よりゲージが溜まりやすいというシステムなども、技を受ける事の重要性がしっかり出ていてなかなか良い。また、タイミング良くBボタンを押す事によって、あらゆる投げ技を返せるというのもGood。しかし、この投げ抜けにはまったくリスクがないため、「投げの抜け合い」になってしまうのは残念である。せっかく技を受ける事のメリットがあるのだから、技を返す事についてもリスク的な要素を入れて欲しかった(気力ゲージが減るとか)。
 フィーチャリングモード(育成モード)で、キン肉バ○ターや、キン○ドライバーなどが使えるのもイイね。しかも実況の平川アナが「屁のツッパリはいらん」とか「ヤツは超人か〜!?」とか言うし。

98.5.12(ダーク)