4墨絵と水墨画ってどうちがうの?
とってもよく質問される内容なので大まかな区別をお話したいと思います。
最近、巷では(みなとじゃなくて、ちまたって読んでね)水墨画や墨絵や墨彩画や絵手紙や・・と墨と筆と和紙を使ってはいてもそれぞれ呼び方がちがうものがあふれています。
まず、水墨画は基本的には墨一色で描きます。墨絵を墨一色で描くこともありますから、どこがどうちがうの?と良く聞かれますが、水墨画と墨絵の大きな違いをしいてあげるなら、水墨画は立体的な面を重視しながら描いていきます。その際「水」によるぼかしを多分に利用し質感を出していきます。
一方墨絵は線描を重視していて、鳥獣戯画などのようにどちらかというとイラストにちかいようなかんじです。あまり立体感を出すことはせず平面的です。
墨彩画はこの墨絵に「顔彩」という日本画で使用する絵の具を画面に施してカラフルに仕上げます。
絵手紙もこの流れであるとおもわれます。ただ、墨絵の「線」といっても線の中にじつは巧みに墨の濃淡が現わしたり、線の気韻生動を意識しなくてはいけないので、昔の日本画家達はこの線描をとても重要視してきました。しかし、最近では根気のいる線描を身につけるよりも「油絵」を描くように上から塗り重ねていくような描き方が水墨画の世界にも増えてきてしまいました。また絵手紙にあるように縁取りは線描なのですが、その線描がインクで描いたような真っ黒け・・・これはカルチャーの弊害でもあるとおもいます。
墨絵や水墨画の良いところはやはり禅宗や陰陽道に通じるようなバランス美にあります。白と黒が寸分の無駄もなく責めぎあい、ぎりぎりのところでバランスを保っている・・・という緊張感のある美がわたしは好きです。
質感のあるどーんと構えた山水画も好きですが、現代の日本にふえつつある、洋画を水墨画にしたようなべたべたと上から塗っていくような描き方はどうかと思います。
墨蹟(墨の跡)を大事にして、線の緊張感をこれからも追っていきたいとわたしは思います。