3.ぼかし方.にじませ方

さて…今回は水墨画の命ともいうべき「ぼかし」「にじみ」の技法を説明したいと思います。

このぼかしやにじみって…初心者にとっては怖くてなかなか思うようにできない最大の難関だったりします。

ぼかしやにじみは「水」の使い方とも深く関係しているので、「墨」よりも「水」をあやつる…と考えたほうかいいかもしれません。

まず「ぼかし」から説明したいとおもいます。

その前に「紙」を説明しておかなくちゃ行けませんね。

紙には大きく分けて「にじむ」紙と「にじまない」紙があります。

「にじむ」紙は画仙紙や奉書。「にじまない」紙は「鳥の子」や「ドーサびき」といって紙ににじまないようにドーサ液をあらかじめしみこませたものがあります。

麻紙(まし)やこうぞ紙などはにじみが少なく、また「にじみどめ」をほどこしてあるものがあります。作品によってこのあたりは使い分けます。日本画を描く場合はあらかじめ「ドーサびき」をした麻紙などがいいでしょう。

でもってとりあえず今回は「ぼかし」の練習なので麻紙を使います。

「なんで?画仙紙じゃだめなの?」という声が聞こえてきそうですね。水墨画をやったことがある方にはその辺がむしめ不思議かもしれません。

水墨画練習用紙は基本的に「画仙紙」です。中国画仙なんかもよく使いますね。得に中国画仙は筆の跡がとってもはっきりと出て、使い方次第ではとても効果的な出来上がりになります。

でもじつは画仙紙は「ぼかし」にはむきません。「水」に弱いのです。

「ぼかす」ためには画面にあらかじめ水をたっぷりと刷毛でひいておきます。(がめんに水をぬるようなかんじ)たっぷりと水をつかうと画仙紙は筆をはしらせたときにやぶけてしまうのです。また墨の跡が残りやすい紙なので墨が広がらず

霞か雲が漂うような「ぼんやり」としたぼかしができません。

ただ、中国画仙紙を用いて「雲」や「霞」を描くこともできます。その場合の技術はまた日本の水墨画の技術と異なります。

 

 

つぎに「にじみ」です。

ぼかしの場合はあらかじめぼかしたいところに水をひいておきました。

にじみの場合は水はひかず、にじむ紙をつかって、筆にたっぷり水をふくませます。

ぽたぽた水滴がおちるようではこまってしまうので、かるく余分な水はフキンでぬぐっておきます。

そこへ「墨」をつっかけます。つっかけるとは筆の先に墨をつけることをいいます。

筆の穂先にひょいと墨をつっかける・・わけです。

筆にはあらかじめ水がふくませてあります。

筆の先に墨をつっかけたことによって今、あなたの持っている筆は、「墨がついているところ」「水と墨がびみょうに混ざっているところ」「水のところ」の3層に下から別れていることになります。

これがとっても大事なのです。

3層に穂先がわかれていることで、薄い墨、濃い墨のグラデーションがうまれます。

墨だけではまっくろになってしまってただまっくろくにじむだけですよね。

こうして描くことでただ線を描く場合にも、最初は濃く…しだいに薄く・・と線そのものにも変化がつきます。それが美しいのです。ペンや筆ペンでは絶対に出せない美しさです。

 

 

 

 

 

 

 

 

4.コントラスト

5.落款

6.完成!!