落款印の書体について

 

さて、皆さんは印影(紙の上に印が押して有る状態のもの)を見て、「うっ・・・なんて書いてあるんだか読めないなぁ・・・」と思われたことはありませんか?たとえば普段皆さんが「認め印」などに使用されている印ははっきり読めますよね。「杉崎」と活字とおなじ明朝体で彫ってあればすぐ読めます。しかし、落款等に使用される印をごらんになったらはじめてご覧になる方ははほとんど読めないのではないかとおもいます。(私も読めないものはたくさんあります。^^;)それは「篆書体」(てんしょたい)という篆刻(印を彫ること)独自の書体で彫られているからです。篆書体にも「小篆」(しょうてん)とか「金文」とか「甲骨文字」とかいろいろあるのですが、わたしは書の専門ではないので、ここでは細かい部分にはあえて触れない事にしようと思います。

ではここで皆様に何を言いたいかと言うと、もし皆様の中で「落款印がほしいな」と思われた方がいらしたら、是非書画専門店などでこの「篆書体」の彫れる専門家(篆刻家)を紹介してもらってください。小さなものでも1万円くらいはしてしまいますが、うっかりハンコ屋さんなどで頼んでしまうと、篆書体ではない普通の「三文判」のような書体の「落款印」をつくられてしまうことが多々あるのです。これは残念ながら「書画」には用いることはできません。また落款印のほとんどは材質は石です。以前「つげ」で姓名全部を明朝体で彫ってもらった・・と言う生徒さんがいて、どうして一言作る前に相談してくれなかったのかしら・・・と残念におもったことがありました。けして安いものではないのでこんな失敗をふせぐためにも書画専門店でお尋ねになってから作られることをお勧めします。

 

これは「泉」と言う文字の「篆書体」です。