『真夏日とセーラー服(仮)』熱帯夜4

表TOP 裏TOP 裏NOV BBS / 熱帯夜3<熱帯夜4>朝曇り1

《お疲れ様香澄ちゃん。皆とっても楽しんでくれてたよ》
 インカムからの声に香澄の瞳がかすかに揺れ、そして黒い画面に流れていく文字列に気づく。その内容を読み取るだけの気力がなく椅子の上で力なくかすかな息を漏らす香澄の瞳から大粒の涙がぽろぽろとこぼれ、引き攣った嗚咽がちいさく続く。
《ずっと汗まみれで大変だったろうから、紙袋の中にあるお茶を飲むといい。疲れきった身体によく効くよ》
 もう指一本すら動かしたくない程のだるさは一気に精神的な疲れが押し寄せてきたからだろうか、焦点が定まらない虚ろな瞳のまま香澄は緩慢な動作で椅子の肘置きに乗せていた脚を降ろし、そして紙袋に手を伸ばす。机の上のカメラの本体のランプは消灯しており、ようやく与えられたであろう視覚的自由に少女は更に力が抜け崩れ落ちそうになる。香澄が動くたびにニップルリングは変わらず鳴り続けクリトリスと乳首を甘く鋭い疼きが責め続け、何度も身悶だえるその動きはゆるやかによがるものでありながら、可憐な唇から溢れる喘ぎは淫らそのものだった。絶頂直後の甘過ぎる恍惚感から抜け出せないまま、香澄はあまり考える事も出来ずに紙袋に手を伸ばす。
 大きな紙袋は動画視聴用のタブレット型コンピュータとカメラ以外にも様々な箱がまだ収められており、その中にむき出しの健康飲料系の小瓶が三本程あった。どれも同じものらしいとぼんやり感じ、特に男から選ぶ指示もないまま香澄はその蓋を捻る。クリームのチューブなどとは異なりしっかりとした金属蓋は一度開封すればそれと判ってしまうものであり、何か怪しいものを後で混入するのは不可能だろう…だがそこまで少女の思考は回らない。ただひたすら男の指示に従うだけしか思い浮かんでいなかった。
 大人向けの市販強壮剤などの存在は知っている香澄は、漢方薬に似た癖のあるにおいにわずかに表情を曇らせながら小瓶を煽る。とろみのある液体は美味とは言い難い上ににおいと同じく複雑な薬品的な味が強かったが、それでも多少は飲み易さに配慮しているのかわずかに甘みがついていた。
 乾きかけていた喉に泌みる液体を香澄は一気に飲み干し、小瓶を机の上に置いた香澄はとろんとした瞳で暗くなっている画面を見つめる。
 その内容は香澄の公開自慰調教の興奮覚めやらない視聴者達のチャット状態だったが、少女はその内容が頭に届かない。――次回は顔が映されるのか、バイブレータは出てくるのか、昼間の放送はまた駅か電車内での生中継なのか、そして香澄は誰なのか、どの路線とどの駅で陵辱されていたのか、残酷な希望と検証と憶測が嵐の様な勢いで書き込まれていく。
《声を抑えるのは大変だったね香澄ちゃん》
「はい……」
 壊れた人形の様に反射で返答した香澄はまだ男が会話を続ける事に対しての疑問を感じる事が出来なかった。もう今宵はこのまま眠れるのだと安心しきり緩んだ緊張の糸はなかなか元へは戻らない。
《紙袋は枕元に置いて、そして中身をぶちまけるんだ。まるでクリスマスプレゼントみたいにね。――パジャマは着たら駄目だ。バスローブを脱いで、広げて。香澄ちゃんおまんこ汁でドロドロだからベッドを汚しちゃうだろう?裸でバスローブの上に横になるんだ。そう。電気を消したらいけないよ》
 何故男はまるで自分の動きが見えている様な命令をするのだろうか、普通ならば浮かんでくる筈の疑問は、盗聴機とインカムのせいだと頭の隅で感じながらベッドの上で全身の力を抜いて疲れに身を委ねた香澄を抜けきらない疼きと圧倒的な睡魔が絡め取ろうとしていたその時。
 どくんと、全身が鳴った。
 熱湯が全身の内側で駆け抜けた様な刺激に、とろんと閉じかけていた香澄の瞳が大きく見開かれる。
 一瞬の熱さに続いたのは、耐え難い疼きだった。脈打つたびに全身を一気に舐め回され撫でられ抓られる様な刺激が怒涛の様に香澄を襲い、無防備に仰向けで横たわっていたその膣口からとぷんと愛液が溢れる。限界まで絞った膣が狂った様に弛緩と収縮の脈動を繰り返し、おこりがかかった様に全身が跳ね、ニップルリングが鳴り響く。
「ぁ……はああぁぅ……っ、あふぅっ……あっ!」
 堪える事など出来ようもない一気に襲う快楽に香澄の肢体がベッドの上で藻掻く。がくんと跳ね上がった腰が宙で前後にかくかくと揺れ、刺激を持て余し自分の身体に起きた変化が信じられず大きく見開いたままの瞳から大粒の涙が溢れる。眠りかけていた意識が完全に快楽の飢餓状態へと堕とされ、生身の男達に一斉に弄ばれて身悶えよがり狂った時に等しい疼きが襲う。――だが、抗う事も出来ず無慈悲に弄ぶ男達の手はこの部屋にない。
《堪らなそうだね香澄ちゃん。本当に淫乱な子だなぁ》
 インカムからの男の言葉に少女の唇から嗚咽が漏れる。もう生放送からも開放され盗聴だけで済む筈の時間に更に辱められる羞恥に、香澄はちいさく首を振りたくった。
「もぅ……もう…ゆるし…てくださ……ぃ…っ、おねが…い……します……」
 男は盗聴器とインカムで香澄の状態を知っているだけだろう、だがまるで先刻の生放送の時の様に大勢に観察されているかの様な衆人環視の感覚に白い裸体が小刻みに震える。びくんびくんと腰が跳ねた後、華奢な肢体が拡げられたバスローブの上に落ち、そして甘く掠れた高い声を漏らしながら己を抱きしめる様に縮こまる。カメラの前で命じられるがままに行った自慰をそのままなぞってしまいたい衝動に駆られる少女の瞳が揺れ、視線が部屋を彷徨うがその視界にはいつも通りの部屋しか映らない…誰かに見られている感覚は己の淫らな欲望なのだろうかと不安になるそのしなやかな脚の付け根では、まだ男を知らない膣口が卑猥に蠢き、愛液をとろとろと溢れさせていた。
 ちりんちりんとかすかに鈴が鳴るたびに香澄の肢体がバスローブの上で痙攣し、その動きが更に鈴を鳴らせる。涙をこぼす瞳にぼんやりとした靄がかかり、激しい疼きに怯える少女の自らを抱きしめている手が徐々に、汗にまみれる柔肌の上を移動していく。
『だめ……こんなことしたら…、だめ……』
 自分の手が進む先に何があるのか、何をしたくて動いているのかを判りながら、嫌悪しながら香澄はそれを止める事が出来ずに啜り泣いた。しっとりと汗で濡れた肌の内側でどくどくと脈打つ熱い滾ぎりは嫌でも処女地である膣の存在を、その存在意義を十七歳の少女に狂おしい程実感させる。擦られたい。無慈悲に指を挿入され卑猥な音をあからさまにたてさせて曲げた指先でわななく粘膜を掻き回されたい。膣口の曲線を無理矢理直線に直す様な指遣いでごりごりとこじ開けられたい。膣口のすぐ内側の一点を執拗に責められ堪えきれず泣き叫んでしまいそうな口を代わる代わる喉奥まで犯されて朦朧としてしまいたい。次々浮かぶ男達からの昼間の陵辱に、絶望と焦燥に泣き咽ぶ香澄の瞳だけがとろんとしたものに変わっていく。
 上品なアンティークの調度品で揃えられている部屋は夜更けにも関らず白熱灯が燈されたままで、そのベッドに仰向けに横たわる少女の薄桃色に上気した肢体が拙く、だが牝の淫らな動きを繰り返す。ちりちりと小刻みにニップルリングの鈴が鳴り、かすかな喘ぎ声が静かな部屋の一部に篭り、甘く濃密な淫臭が漂っていた。
 行き場のない疼きに何度も首を振りたくる香澄は自ら迷う事も出来ないままクリトリスを指先で抓り、そしてあっさりと絶頂を迎えどっと全身から汗を噴き出す。だが絶頂は引く事なく全身を煽り続け、香澄は甘く甲高い啜り泣きを漏らす。
 確かに身体は絶頂を迎えてしまうが、それは満足には程遠かった。複数の手で、複数の視線に晒され、強制的な絶頂で根こそぎ理性を奪われる様な荒々しく残酷で執拗な責めで初めての絶頂を刻み込まれた香澄の躯は、既に自慰だけでは満足出来なくなってしまっているのかもしれない。恋愛に疎い少女であってもそれなりに性的な幻想は少しはあった筈だった。結婚をし、一生を捧げる男性に初夜に優しく愛される…その程度の理想は香澄にもあった。だが、全身が疼ききってしまっている香澄には愛しい男性からの優しい愛撫が想像出来ない。それは特定の異性のみならず芸能人や小説の主人公などの空想ですら明確に恋心を抱いた対象がいない為なのかもしれなかった。そんな無防備な少女は、想像の異性を自慰に用いる事も出来ず、陵辱の記憶に引きずり込まれていく。
 誰かが見ている。
 拙く淫らに擦り合わせる脚をこじ開け、とろとろと愛液を溢れさせている膣口と柔毛をすべて剃られた幼女の様な白い下腹部を蔑む目で。乳房と顔に精液をかけられた後に命令されその残滓を舐め上げ吸いつく小さな唇と、絶望と絶頂の繰り返しに虚ろになった瞳を奴隷の主の様な尊大な表情で。前からは執拗にクリトリスを弄ばれながら、後ろから汗と精液が乾く間もない濡れた白い尻肉を掌で叩かれ、トイレの外に音が漏れる不安に震え許しを乞う香澄に……、
《脚を開いてごらん。香澄ちゃんは脚を開いて見られながら責められる方が大好きなのは皆知ってるよ》
 まるで自分が今でも見られて責められているかの様な命令に、香澄の全身がぶるっと震えた。そんな露出狂か何かの様な嗜好はないと胸の中で言葉の形を成さないままの反発が過る中、ベッドの上で少女の脚がわずかに開く。命令に従わなければならない…だが今は顔を映される可能性はもうない筈なのだし、そもそもカメラは作動していない筈なのだから男の命令に背いても判らない筈だった。だが、何故か香澄はそれに従ってしまう。
《もっとだよ、もっと。香澄ちゃんがおまんこ弄っている指の動きやうずうずしてるおまんこやお尻の穴が見える様にね》
 どうせ見られてはいないからと怠る事も出来ないのは生真面目過ぎる為だろうか。他に誰もいない自室で疼ききった身体がそう錯覚させるのか、大勢に視姦される肌の火照りと羞恥がより香澄の身体を狂わせていく。作動中のランプが消えたカメラに面した薄桃色に上気した内腿のその奥で、可憐な鴇色の粘膜を白い指が自ら擦りたて、挿入を待ちわびる膣口がひくひくと切なげな蠢きを繰り返しながら愛液を垂らし続けていた。男に命じられるままに自慰をエスカレートさせながら涙をこぼし続ける香澄の虚ろな瞳は、ベッドの足元側にある机を注視する事はない。
 ベッドと机の高低差で視界に入らないタブレット型コンピュータの画面は香澄の痴態の生放送部分は黒く変化したままで、チャット状態の文字列の勢いは生放送が終了からやや時間を経てもなお会話が繰り返されているが、当然今の少女は読む事は出来なかった。その会話は今の香澄の恥辱には連動していない。
 だが、椅子に向いていたカメラの角度は変化していた。
 作動中のランプは消灯したままだったが、机の手前端で椅子に向いていた筈のレンズはその方向を変え、ベッドの上で一人身悶だえる香澄の肢体へ向けられ、脚を無防備に開くその奥で白熱灯に柔らかに照らされる鴇色の粘膜を、三つのニップルリングを、乳房を、喘ぎ泣き咽ぶ美貌を今も撮影しているかの様にその高解像度のレンズに映している。柔らかな白熱灯は少女の裸身を淫らな陰影で照らし、そしてわずかな光の反射の中、部屋の数々の物が密かに動いていた。
 天井の白熱灯のガラスの傘を支える金属部分に空けられた小さな穴の奥で。ベッドから見上げる場所にと贈られた時に置き場まで決められたオルゴール付き置き時計のガラス部分の裏側で。香澄が困惑する中、一過性の熱病の様に繰り返したプレゼント交換の品々のその中で。夏休み直前に家族が不在だった日に訪れ、他の部屋でのピアノの演奏を何時間も楽しんでいた筈の親友だった少女は品々の位置を楽しげに決めて直し、そして庭での遊びにも執着していた。
 動くもの。それは、香澄の部屋を余す所なく監視するカメラだった。
 生放送では最後まで映されなかった顔を、命じられるまま自慰に耽りよがり身悶だえる肢体を、いくつものカメラが容赦なく撮影し、そしてタブレット型コンピュータの生放送と同じ様に送信し続けている事を少女は知る由もない。
 文字列のチャット状態が徐々に収まっていく中、文字列の様な勢いではなく、だが着実に画面の隅のオークションの数値は変化し続けていた。

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20110812

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