「生えたぁっ!」
「おぐっ…!何だいきなり貴様こら!」
「……。あで…?何で私が転がってるの?」
「……。俺がいる?」
「……。あれれー?おかしいぞー?」
「俺の顔と声で名探偵コナンの真似をするのはやめい!――そこで脱ぐな!まじまじと弄るな!乳首ームするな!とにかくその表情はするな俺の顔でゆるキャラをするな!」
「私がツンデレキャラになっておっさん言葉で命令口調してるー」
「大体何だここはお前の部屋で…何まだ六時前か……何故俺がお前の部屋に居る!?いやそれより先にパジャマ姿だがどこから来た」
「走ってきた」
「いやそういう意味ではない!貴様パジャマ姿で街中走って来たというのか」
「大丈夫だいじょぶ、ショッキングピンクのウェア着たジョギングのおじいちゃんとしか道中会ってないし走り抜けながらだけどちゃんとご挨拶したから」
「佐々木の爺さんは町内一の拡声器であって迂闊な姿を見せられないというに…貴様俺の町内人生を断つつもりか」
「だいじょぶ、高校男児なのに町内清掃や夜回りちゃんと出るおっさん臭い人なんて滅多にないからちょっと奇行の一つや二つスルーして貰えるもらえる」
「それより貴様の部屋にこうして突入してきてるのは何故だ俺は貴様の家の鍵など持っておらんぞ」
「ちゃんと玄関インターホン鳴らしてお母ーさん呼んだもん」
「六時前に余所様の家に突撃するんじゃない!」
「違うもん私の家だもん」
「俺の顔で頬膨らませるな!拗ねた口調するな!」
「私のせいじゃないもん」
「俺の姿で迷惑行為をするんじゃない」
「ちゃんと『お母ーさんおはよー』って言ったもんっ」
「……。さぞや仰天なさってただろ」
「うん。ねー?お母ーさん?」
「そうね」
「へ!? あ、はい?うわ!おはようございます、お邪魔しております、早朝御迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いえいいのよ?もう起きていたし。――最初は早朝から夜這いなのねー若いって素敵ねと思っていたけれどほらお父さんまだお家にいる間からだと血圧上がっちゃうから抑え目にしてね?って思ったのだけど何か事情が違いそうだからちょっとびっくりしているだけ」
「夜這い…あの断じて決して目立つ様にそういった行為はするつもりはないのでご安心いただきたく……」
「お父ーさんたまに真剣の手入れしてるからちょっぴり怖いかも」
「貴様とっとと服を整えんか!俺の身体をモロ出しにするな!」
「ふぇーいふぇーい」
「あのね?」
「はい何でしょうか」
「文化祭の劇の練習かエイプリルフールとかでないならもしかして中身入れ違ったりする古典的な何かなのかしら?」
「……。非科学的ですがどうやらその様子です」
「そうよねー…ウチの娘がいきなり知能指数上がったと浮かれるのは無理よねー…同じ造りなのに知的な中身だと随分顔の緩みが違ってて嬉しいのに…怒鳴ってるとお姉様?みたいな感じで素敵なのにウチの娘が進化や改心したワケじゃないのね…ちょっと残念だわ」
「あの、それは些か……」
「直したっ。パジャマ直したっ」
「――進化した方がいいですね」
「ね?」
「お父ーさんどしたの先刻から泣いてばっかり」
「どこがどうして……。箸遣いが…食事マナーが立派だとウチの娘が…ウチの娘が……」
「何と言いましょうか……」
「マトモに育ってくれた娘みたいで素敵よね」
「うにゃにゃーちゃんと育ってるもんっ」
「俺の身体で米粒付けまくって胸を張るな!」
「……。早く元戻るー!」
「どうした?」
「と…トイレとか、恥ずかしい!」
「ああ、なる程。だが所詮同じ人類なのだから排泄行為は大差無いぞ?諦めろ」
「ちょっと待って私の身体でトイレ行ったのー!?」
「先刻」
「う…うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!変態っ!変質者!ストーカー!セクハラ野郎!馬鹿!異常者!鬼畜!モラハラ!セクハラ!いやぁこのレイパー!」
「俺の身体で身を捩るな!」
「お父ーさんは出勤しました」
「そうだな」
「お母ーさんはカルチャー教室の先生ついでに気を利かせてくれて夕方まで戻りません」
「気を利かせてと直球に言うか」
「そんなワケで犯させて♪」
「……。まぁ…興味はあるわな」
「うにゅ……」
「どうした」
「何か変な感じがいやん」
「まぁ自分を、そのまぁ口悪く言えば自慰している様なものだからな」
「おなぬー違うっ何だか何かうにゃにゃーだぁ」
「お前はまだいいぞ?俺は男に組み伏されておる」
「セルフほもれいぷ」
「やめいっ」
「――く……っ」
「ふは……ぁっ」
「女も悪くないな……」
「ゃ……ぞくぞくしゅるのに……おわんにゃい……ぃっ、もっと……もっとぉっ……むぐっ!」
「俺の声で喘ぐな」
「んぐっ!んっ!んんぐーっ!んっ、んっ、んんっ、ん……ううううっ!」
「少しは、体力を、つけろ」
「ぷは……しゃせえ…きもちいぃ……♪」
「何だこの身体は筋力不足としか言いようがない」
「うにゃぁ…んっ、まったりでちー…ぬかずよんぱつでもーゆうがたでちー……でんちもおっとせーおにんにんもながもちさいこー♪」
「その間まったくもって協力せんというのはどういう事だこのマグロめ」
「だってレズきょーみないもーん、それにそっちがいつもどーりにやりたいよーにぶいぶいゆわせてたんだからもんだいなっしんぐのはずだもーん」
「お蔭で妙な逆レイプ気分なら味わわせて貰ったがな。知らんぞ明日筋肉痛になっても」
「あしたもがっこーないからへーきー」
「自堕落な奴め」
「――と言う事でこの中身は俺ではない。理解し難いと思うが今晩こいつが暴れても一切俺とは関係ない」
「……。つまり今夜お兄ちゃんの身体が誰かに陵辱されてもそれ問題ないのね?」
「真顔で何言っとるんだお前は」
「冗談よ冗談」
「目が本気だにゃ怖いこの妹さんこわいっ」
「それはさておき質問。1+2+3+4+5+6+7+8+9+10は?」
「へ?へにゃ?へ?ちょ、ちょっと待ってーまってー今すぐ判るから待ってー…えーっとねえーっとね?いちたすにーたすさんたすー……?」
「本物ね。お兄ちゃんがこんなレベルで指折り始めるワケがない」
「足し算くらい即答せんかこの馬鹿者」
「嫌だやだヤダーこのまんまだと犯されるー1日の間で兄妹両方に犯されるー」
「俺の姿でぴーぴー鳴くな!大体人様の妹に対して何を失礼な、俺はこいつに犯された事は一度もない、安心しろ」
「だからこそなんだけどね」
「今この人何か小さな声で言ってた!」
「何か暴れ出しそうなら縛って猿轡かませて転がしていいぞ」
「はぁいお兄ちゃん♪」
「な、な、何で一緒にお風呂入るのかなぁ?」
「お風呂の中で怪我したら私の責任だからですよ何バスタオル巻いてるんです?」
「一人で入れるから安心していいよおっわぁ剥かないのっ、妹がお兄ちゃん剥かないのっ」
「一々気にし過ぎです自意識過剰です」
「ってはあ!にゃにいきにゃりおにんにんつかむですかあ!」
「洗うだけです」
「うふにゃにゃにゃああああああああああああ」
「よくある事ですお背中流しますみたいなものです気にしないで楽にしてください」
「ふあ!むりにゃあきょうわもーよんはつぬいてるかりゃいもうとぎゃくれいぷなんかにおにんにんまけないんだもっ……ふはああ!らめらよらめっ、しょこせめらららめらのっ!」
「お兄ちゃんがそんなみっともない言い回ししないで下さい黙ってて」
「きょおらいれおにゃじぷれえしにゃいにぇよー、ふはあっ、んふあっ!」
「お兄ちゃんが私と一緒にお風呂入ってるって親に知られたいんですか?両親公認でOK?」
「らめっ」
「だったら黙っててください。お兄ちゃんの威厳が穢れます」
「ふひゃあああああ!」
「一日で戻れてよかったな」
「うにゅ……身も心も疲れたにゃー……」
「お前みたいなのはこういう奇妙な事は全身で楽しむと思っていたんだが意外だったな」
「筋肉痛くてでんでん動けにゃーい……」
2015エイプリルフールSpecial
Fin
FAF201504012110