「えっびまよまよえびまよ〜♪」
「……」
「何?何なになに?見蕩れてる?惚れなおしたかぁ?判る、わかるわかってあげるーえへへへへぇ♪」
「いや…人生やり直した方がいいのかと思える程に似あってるな、それ」
「でっしょおでっしょお?エビマヨうきわに合わせて紅白の水着だぞー♪ボーダー柄でふりふりおリボンの水着ってかなり見つからなかったんだぞー?嬉しかろお♪今、私は可愛い人魚姫ならぬエビの国のお姫様だぁ♪しまったぁプールは塩素入ってる真水だからエビ死んじゃうじゃないかー!甘エビ気分だけどそれだと死んでまうまうーパワーアップせねばならないっ…えーとえーと車海老ならどうだ!」
「……。やはりどう考えても茨の道だなこれは」
「何を難しい顔してるんだかにゃープール来たんだから波に身を任せればいいのだよえいどぼーん!」
「げ……ほ!――何をするかこの馬鹿者!」
「あむろ、がんだむ行きまーす!どっぽーん!」
「警告鳴らされたではないか!」
「旅の恥はかき捨てっ♪わーいわーい流し素麺状態〜♪流れる流れるー…手!手!手ぇ放しちゃ駄目だぞー!」
「……。まったく……」
「あ!ねぇねぇねぇねぇ!あそこ見れみれっ!あそこっ!」
「俺の首を折るつもりか!」
「あしょこエッチしてるよねー?やってるよねー?ねー?あ、見えなくなったっ」
「結構絶妙な場所だな」
「あそこ行きたいっ」
「無理。あそこはホテルのエグゼクティブ以上用デッキだ」
「えぐ…?えぐ…えぐざくとりーでございます?エグザイル?えぐえぐあざらく?」
「だから勉強しろと常日頃言ってるだろうが愚か者!そこのホテルの上層階の高値い部屋だ!」
「連れてけー…あだだだだだだだだあだだだああああああ!エビちゃん状態のツーテールで自転車漕ぐなー!もげるもげるもげるぅー!」
「高校生は市営プールで十分だと言っておるのをここまで無理矢理引っ張ってきて更にプール代は市営プール代しか持ってきてなかった分際でよくもそんな言葉が言えるな?あー?」
「お昼代三百円も持ってきてるもんっ」
「相場がまるで異なっとるだろうが!」
「あのねーイカ焼きと焼きそばとブルーハワイのかき氷が食べたーい♪」
「イカ焼きの時点でバーストしておるわ!」
「でもでもやっぱり優雅なデッキチェアでごろごろしたいにゃあ、平民用のでいいからー。あ!先刻通ったプールで何やらやってたあれで一儲けしてくるのはどおだ!」
「あんなインターハイレベルの賭け水泳参加しても勝てるワケなかろう」
「ちぇー。……。でもねでもねー」
「ん?」
「二人で流し素麺になってるの、しあわせ、だよ?」
「……。馬鹿者」
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三日目
FAF201208162344