2019余所自作21『勘違いされた少女』

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『留守、かな?』
 最近病欠の多い同級生へプリントを持ってきた撫子は何度か呼び鈴を押した後、踵を返した。あまり病気がちの印象のない同級生だったが最近とみに欠席が増え、このままでは留年の可能性もあるだろう…まさか入院で家族全員留守になったのではかろうか?と思いながら彼女の神社の境内を歩いていた少女は、不意に何か呼び声が聞こえた気がして振り向く。
「誰だろ?」
 神社なのだから参拝客かもしれず、自分が何か用を聞く訳にもいかないがもし誰かが困っているのだとしたら例えば持病の癪で動けないとかだとしたら……。そう考えながら祠の脇を通り抜けようとした時、不意に、祠の扉が勢いよく弾け、中の井戸の中から大きな腕が突き出てきた。いや、これは、何だろう?紫色の鱗と長い毛に覆われた獣とも昆虫ともとれない巨大な、撫子の身体より大きな巨大な腕が陽光を遮り、そして長い鍵爪を伸ばした手が、勢いよく少女の身体を掴んだ。手と指はまるで鳥の足の様な素材で、そして臭い。驚きに身動き出来ない撫子の身体を掴んだ巨大な手が、同じ様な勢いで井戸の中へと戻っていくのを少女は真っ白のなった頭で他人事の様に感じていた。
 溺死するのかもしれない。そんな考えがぽつりと浮かび、そして撫子は失神した。

 動物園の臭いがする。いや、牧場だろうか、でも衛生状態はよくない。獣の臭い。
 ふっと意識が戻った瞬間、撫子の身体は岩の上に投げ出されていた。痛みに呻く撫子の瞳に、洞窟らしい岩の壁と、そして無数の存在が映る。
 何、これ。
 大小の、昔絵本で見た妖怪の様な化け物がひしめく洞窟。先刻の紫色の巨大な腕は見えないが、それと同じ様な異形の存在ばかり…いやそれしかいない。獣だけでなく腐った様な異臭や生臭さで息が詰まりそうになり反射的に逃げようとした撫子の足首に、どろどろと滑った緑色の触手が絡み付き、引き倒す。
《巫女ダ》《ミコ》《欠片ハドコダ》《ミコダ》
 洞窟の中で金属を擦り合わせる様な不快な音が一気に鳴り、撫子は耳を両手で塞ぐがその音は頭の芯にまで届き少女の全身を震わせる。何の夢だろう?ここ最近はホラー映画も見ていないのに酷い夢を見ているらしい。そう考えながら硬直する撫子の身体に黄色い子鬼が群がった。ぎいぎいと奇声をあげるそれらは小学生程の大きさだったが顔面は百を越えた老人の様に皺だらけで、そして黄ばんだ歯が大きい。生理的嫌悪感に振り払おうとした撫子の手首を子鬼が掴み、他の子鬼がセーラー服に手をかけ、そして引き裂く。
「痛……っ!」
 服は、特に制服などと言う丈夫さ優先の素材はそう簡単には破けない。それが、あっさりと破かれた。まるでティッシュペーパーの様なあっけなさで制服が、下着が破かれ、撫子の白い身体が異形の犇く洞窟の中で顕わになる。このまま食べられる、そう感じた少女の顔が泣き笑いの形に引き攣り、下腹部から恐怖の余りの失禁が迸った。人間ならばここで呆れて嗤うかもしれない光景だが異形のものはそうはならず、子鬼達に服を毟り取られた少女の身体は四つん這いに組み伏され、そして目の前の子鬼の下腹部で漲り勢いよく反り返るモノに撫子の血の気が引く。そこに位置するのは動物の性器だとは判る。判るが、子鬼は小学生程度の大きさであるにも関わらず、それは撫子の、いや、成人男性の腕よりも大きく、そしてグロテスクだった。垢塗れらしい汚い汚れ、酷い悪臭、先端からどろどろと流れる粘液、醜悪過ぎて目を逸らす事すら出来ないおぞましさに鳥肌立つ少女は、不意に、下腹部を襲った違和感に悲鳴をあげた。
 反射的に見た自分の下腹部の辺りで蠢く無数の触手…蛸や烏賊でなく蚯蚓を思い浮かべる気味の悪い大小のモノが蠢き、そして、少女の孔を穿っていた。中で蠢く。膣と、窄まりと、そして尿道。まるで孔ならば何でもいい様に触手が我先に争う様に撫子の中へ入り込み、当然異性を知らなかった少女の中でぐねぐねとうねり、二本三本と絡み合い、ぼこりぼこりと脈動して中で粘液を吐き出していく。
「いやあああああああああ!」
 洞窟内で撫子の悲痛な叫びが反響し、そして開いた口を他の触手が塞いだ。呼吸が出来なくなる、そう思う間もなく喉を越えて異形の触手がごぽりと脈打ち、食道かその奥か、体液が何度もなんども吐き出される。このまま死ぬのだろうか、呼吸も出来ずに急速に暗くなっていく意識の外で、身体が気味の悪い熱を帯びていく。自慰の経験はある…それに似ている、でももっと強烈だった。まるで粘液が染みてそこから虫刺されの痒みが広がっていく様に、痛痒感が脈打つ度に全身を駆け巡って異形に囲まれた少女の柔肌がじわりじわりと桜色に上気し、異臭の中、思春期の少女の甘い汗と体液のにおいが籠もっていく。 ずちゅっずちゅっと少女の孔を犯す音が洞窟に鳴り響き、微かに、少女の小鼻から零れる辛そうな鳴き声が溶ける。子鬼達の抑える手も離れ、触手に四肢を絡め取られ、同級生の間では豊かな乳房を裾野から絞り上げられるその頂がぴんと張り詰め硬くしこった。まだ誰か異性に貫かれていない白い腰が前後にかくんかくんと踊り、三箇所の孔から触手が吐き出した粘液と少女の体液がどろりと大量に溢れ下半身を穢していく。
 このまま死ぬのかな……。
 朦朧とした意識の底でぼんやりと考える少女は、不意に孔から触手が抜き取られたのに気付く。呼吸がどうなっていたのかは判らない。
 魔物がいる。人間に近い形だろうか、絵本の妖怪よりも西洋の悪魔に近い気がする獣の頭の魔物が胡坐を掻いている、その股間にはやはり猛ったモノがあった。それに捧げられる様に運ばれながら、撫子は周囲の異形のモノも同じ様に猛っているのを横目で見る。多分犯されるのだろう、この、偉そうな魔物の後で、全部の化け物に。
 そう思いながら、巨大な性器に膣口を当てられたのを感じ、少女は堪えきれない妖しい疼きに、喘いだ。

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