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編集後記 平成11年7月

 以前手作りのパソコンについて触れたが,今度は手作りの卵と思い,名古屋コ−チンの雛を二羽購入した。

動きもとれぬ狭い小屋の中で抗生物質入りの餌を食べて居るより、陽の光の下で地面を走り廻る健康な鶏の産む卵は美味い筈である。

ネコと対等に戦える位に成長すると早朝から大きな時の声を上げる。雄の専売特許と思い込んでいたのは不覚だった。一声二声ならば許せるが延々とやられては御近所様に申し訳ない。小屋から出して庭に放つと静かになる。

斯くして私は毎日、日の出と共に起きるように成った。だから日が暮れると眠く成る。広報委員会も長引くと、眠そうな目付に成るのは其の為である。

彼女達の好物は地蜘蛛、蝿、蚯蚓、蛞蝓、蛙等々。胃腸でアミノ酸レベルに分解されるとは知りながら、卵の原料の一部が此れではA型の私の食欲は湧かない。

外に出さねばよいのだが、早朝の大騒ぎは止められない。O型の妻と子供は平気で食う。御近所にも迷惑料代りに配るが、A型の方のために、餌の素性は明かさないので、たいていは喜んで呉れる。

彼女達は日がな一日地面をつつく。餌をやると寄って来る。食べ終ると、三歩あるいて、後は忘れた様な顔をして、また地面をつつく。犬のようなベタベタとした主従関係は無いので疲れない。

神田で祖母が戦中に、練馬で父が戦後に、50年後に私が同じ事をして居る。美味しい卵の夢は消えたが、昔ながらの長閑な時を過ごせることを彼女達に感謝している。

だから手作りの鶏肉は作らない。


モデル嬢近影
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