tough guyは裕次郎、mite guyは小林 旭。miteはDynamiteを意味するのだそうだ。何が言いたいのかって? 英語力の乏しい私にとってguyとはそういう物なのだ。
1913年、Shanklin Manufacturing社はGuy's dropperの製造販売を開始した。多くの人に使用され、際立って評判が良く、どの時代に制作された物も優秀である。第一次大戦中1917-18年は需要が増えたが、次に来た世界大恐慌の影響をうけ、1930年に倒産した。そして1932年に、Universal Lamp社に吸収されたが、此の社でもGuy's dropperは生産され続けた。自社製のAutoLiteも同時に製造販売していたが、同社がカーバイドランプの総ての生産を終了した1960年まで、ベストセラーだった。
水滴量を正確に調整出来る、優れたバルブ(弁)機能、バルブは簡単に掃除が出来る。1916年の特許では、水タンクより水滴を供給するパイプの先にバルブが二カ所有り、それぞれのバルブから水が滴下出来る様に設計されていた(写真G02)。
構造は、私にはよく理解出来ぬが、一方が詰まっても、他方より滴下出来るのであろう。ホントかどうか、写真で確かめた(写真G03)。左は上下二カ所で水滴が膨らみ、中は下バルブより滴下、右は上バルブより滴下、それぞれ独立して水を放出している。製品の商品名にわざわざdropperを付けたのは、バルブ機能に対する対する社の「こだわり」を示したかったからなのであろう。
此だけ説明すれば Guy's dropperを、漢のしたたりとか、男の点滴器と訳す輩は居ないと思う。
「eBay」でGuy's dropper 2 Date V を(BUY IT NOW!)46ドルで購入した。入札開始する前の売値で、少しお値段は高いが確実に手に入る。到着までの3週間は長かった。嘗て親父が布哇(ハワイ)まで現像に送ったコダックの8mmフィルムも同様に長い日数を要した。国産品ではこの社の「絵葉書の様な色」は出せない時代の話である。 入手したランプは HEXAGONAL BASEと呼ばれる初期のタイプである(写真G01)。
下タンクはかなり拉げているが、本来の下タンクは側面を6面凹ませてある。道路工事などで地面を掘る時に使う様な、先端が尖った大きなシャベルを想像して欲しい。其のシャベルの裏を、平らな雪の上に、押し付けた様な凹み方をしている。 正しいHEXAGONAL BASEは(写真G04)のようなデザインだった。
このタイプの物はオークションにはなかなか出品されない。偶然にボロでも珍品を入手した様だ。購入した下タンクの裏の楕円形の枠内にShanklin Manufacturing社の刻印がプレスされている(写真G05)。上蓋には取得したパテントがプレスされていた(写真G06)。
バルブの調節は以外と難しく、時として大量の水が滴下する事もあった。一応ランプとして灯は点くのだから其れで善し、古いものだから仕方が無いと諦める。
上段は無影灯下、中段は蛍光灯のみ、下段は無灯火。
此のランプの下タンクは非道く傷んでいたが、幸い上部は全く傷んでいなかったので、普段は真鍮で作ったスカートを履かせて、拉げた馬脚が出ない様にしている
(写真G13)。
二個目のGuy's dropperは39ドルで落札した、と云うか前回同様に、買った。 Universal Lamp社に吸収された後の製品である。 同社にとっては不要と思ったのか、上蓋にプレスされていたShanklin 社のパテントは消されている(写真G15)。
下タンクの裏も同様に、当然の事だがShanklinの文字は消され、Universal Lamp社のプレスが残された(写真G16)。全体の破損や汚れは殆ど無いが、其の割には値段が安い。
Universal製は「まがいもの」で、オリジナルとは其の価値には格段の差があるのだろうか? 殆ど傷んでいなかったので、弱火、中火、強火の調節はちゃんと出来た。
上段は無影灯下、中段は蛍光灯のみ、下段は無灯火。ピカピカの反射鏡は光を周囲に均一に放散する様に設計されている。光を一点に集中する現代の懐中電灯とは違う。石炭を掘るのに遠くまで見る必要は無い。明るさは食卓に置けば、雑誌も新聞も無理なく読める。
扨てGuy's dropperを吸収したUniversal Lamp社の本来の商品、Auto-Liteとはどのような物かが知りたくなった。
箱、説明書付きを43ドルで購入(写真A00, A01)。
Universal Lamp社は1913年創業。 1933年に、前述の如くShanklin Manufacturing社 とスプリングフィールドIL plant社を吸収した。 多くの製品は1920年代に生産されて以来、ランプは頑強で、頼もしい光源として、その評判は良かった。値段も相対的に安価だった為、市場で最も良く出回った。そして其の評判の良さは最後まで維持された。1960年に生産を終了するまで通算9,000,000個以上のカーバイドランプを市場に出した。
此の社の製品は、現在でもGuy's dropper、JUSTRITEと同様にオークションに出品されない日は無い。 性能は Guy's dropperとあまり変わりは無いが、外観が異なる。下タンクの形状に特徴が有る。上下の真ん中1/3を、8枚の、上下に少し凸の弯曲を持たせた長方形の突起で飾っている(写真A02)。此の突起を見ただけで Auto-Liteと判別出来る。
光源はすべて曇りガラスを通った太陽光、オートモード。
水タンクの蓋に付いている水滴調節バルブに直結しているレバーは末端が球状になっていてそれが目盛りと目盛りのノッチの隙間に嵌る構造になっている(写真A04)。
Guy's droppeの棒状のレバーより少しお洒落になった。 下タンクの裏には商品名が大きく派手にプレスされている。
話は変わるが、前回述べたコンドームに豆を入れる方法。理に適ってはいるが、かなり面倒である。或る日豆の瓶をひっくり返した。診察室中に散らばった豆の回収をした。悪いのは自分であるが、実に無益な労働を強いられている様な気がした。
私は昔は分娩を取り扱っていた事を思い出した。数年前、産科医が、やたらと逮捕や任意同行させられた頃より少し前に、お産を止めた。其れ迄は、無事安産を願う産科医で、少しでも娩出時間を無理無く早めようと、固い子宮頚管を開くために色々な器具を使った。16F女性用バルーンカテーテルを主に使用した。此を子宮頚管内に挿入して、子宮腔内で風船を蒸留水で膨らませる。固く膨らませるから風船はアメーバの様に細い隙間から脱出したりはしない。一晩でゆっくりと子宮頚管は拡大し、翌朝には其の侭の形で腟内に脱出している。子宮頚管は手の指が3本入る位に拡る。
今回は、本来水を注入する注水口に血圧計のゴム球を接続した。30ml用だが、50mlの空気を入れても破れない(写真A06)。豆の場合はかなり空気が残る(写真A07)。
コンドームにバルーンカテを入れ、下タンクに挿入、風船を膨らます(写真A08)。下タンクの内壁とコンドームの間の空気を追い出して、コンドームを外側に反転させる。血圧計のバルブを解放し、風船をしぼませて管を抜く。
コンドームはタンクの内側にピタッとへばり付く。底と側壁の模様も透けて見える(写真A09)。バルーンカテの圧勝。より多くのカーバイドを入れる事が出来た。
嘗てコロナのランプは血圧計のゴム袋で再生させた。カーバイドランプと血圧計は相性が良いらしい。