練馬区内の町道場の活動について

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練馬区内の町道場の活動について(明徳館柔道場の変遷から)

 

                          明徳館副館長 市 毛 雅 之

 

昭和38年6月1日に明徳館柔道場が開設されたと聞いています。始めは軒下道場で、創めたそうです。軒下道場と言いましてもイメージが湧かないと思いますが、自宅前に引田水があったそうですが、そこが埋め立てられ舗装され、そこにスノコを敷き、その上に畳を敷いて柔道をしていたそうです。1号生徒は練馬区柔道会副理事の浅木登美夫先生だったそうです。恵まれたもので、今では冷暖房完備の道場です。また、その頃は練馬区内にも数十件の町道場があったそうですが今では数件しかありません。

僕が小学生の頃は、野球、柔道ぐらいしか種目がありませんでしたが、今はサッカー、バレーボール、バスケットボールなど数多くの種目があり、しかも少子化も進み明徳館道場でも100人ぐらいいた道場生も今は50人程度と少なくなってしまいました。

しかし、最近格闘技ブームということもあり、子供を送り迎えしているうちに親の方が柔道に興味を持ち中高年の道場生が増えてきました。厚生労働省の健康日本21(健康増進策)の面からも良い傾向です。

 

また、世界的にみても柔道は変ってきていて、強ければよいと言う傾向が強くなってきたようです。また商業的にも青い柔道衣になり、だいぶイメージが変ってきています。

少年大会で数年前、身体が大きく六年生の部門で優勝した生徒がいました。力も強く、がむしゃらに技を掛け、ねじ倒し、押さえ込むと言った柔道とは言えない勝ち方でした。決勝戦でも本人は勢い余ったのでしょうが、押さえ込んだ相手の首を持ち上げたりグルグル廻したり力任せに相手を痛めつけるような柔道をしていました。ある先生に『私が審判だったら反則負けにしていたぞ』と言われたと親がわたしのところに抗議に来ました。『私達もその先生と同じ考えだよ』と言いました。勝てば良いのではないことを教えてきたつもりでいたのですが残念です。親は優勝したから誉められると思っていたらしく意外な顔をしていました。こんなところでは強くならないと、今は他の道場に通っています。

 

確かに勝つことも大事なことです。柔道の本来の目的「心身の力を有効に使用する道である。その修行は攻撃防御の練習によって身体、精神を鍛錬修養し柔道の神髄を体得することである、そうして是に由って己を完成し世を捕益することが柔道修行の究竟の目的である。」ことをしっかりと見据えて稽古を進めていくことではないかと思います。練馬区少年柔道大会で表彰している「さわやか選手賞」は、子どもにとっても柔道にとっても良い賞だと思います。柔道の目的と競技柔道を両立させながら町道場を続けて行けたらと思います。