エネルギー、仕事、熱量(基本単位:J=kg・m2/s2)(一般的に文字であらわす時:気体の内部エネルギーはU、他はE)

1.エネルギー=仕事=熱量

エネルギーと仕事と熱量は全て同じ単位であり、相互に自由に変換します。正確に言うと、注目しているものに仕事や熱量を加えると、もののエネルギーがその分増えます。逆にものが仕事をしたり熱を放出したりすると、その分エネルギーが減ります。エネルギーは財布の中身、仕事、熱量は財布に出たり入ったりするお金と考えると良いでしょう。一応式で書くと、ΔE=Q+W(ΔE:エネルギーの増加量、Q:加えられた熱量、W:加えられた仕事)です。

2.色々なエネルギーその1:重力による位置エネルギー

そしてエネルギーの色々な形を述べていきます。まずは重力の位置エネルギー。高いところにあるものはエネルギーが多いのです。式で表すと、E=m・g・h(m:ものの質量、g:重力加速度(定数)、h:基準面からの高さ)です。ここで注意するのは、hが基準面からの高さというところです。基準面はどこにとっても構いません。普通は地面にとりますが、富士山のてっぺんの高さを基準にしても構いません。この場合は地面にあるもののエネルギーはマイナスになります。ただ、一旦基準面を決めたら、その問題を解いている間基準面を変えてはいけません。

上で挙げたエネルギーの求め方は、実は地上近くでしか成立しません。地上からとても遠い場所、つまり宇宙空間では、E=−G・M・m/r(G:重力定数、M:地球の質量、m:物体の質量、r:地球の中心と物体の間の距離)となります。ここで注意することは、この場合は基準は無限に遠いところにあり、エネルギーは必ずマイナスになるということです。また、この式の形は、電気的な位置エネルギーと同じ形なのにも注意しておきましょう。

3.色々なエネルギーその2:ばねによる弾性エネルギー

ばねは伸びたり縮んだりするとエネルギーを持ちます。式はE=k・x2/2(k:ばね定数(ばねによる定数)、x:ばねに力がかかっていないときに比べてのばねの伸び、もしくは縮みの長さ)です。ばねが持っているエネルギーなので、ばねに吊るされている物の重さは関係ありません。ちなみに、□2/2の形は、たいてい積分の結果導かれるものです。

4.色々なエネルギーその3:運動エネルギー

物体が動いているときにはエネルギーをもちます。式はE=m・v2/2(m:物体の質量、v:物体の速さ)です。

5.色々なエネルギーその4:電気的な位置エネルギー

電荷をもつものがある電位に置かれると、それはエネルギーをもつことになります。式はE=q・V(q:電荷、V:電位)です。これと電荷による電位の式を組み合わせると、E=−q・Q/r2という式になります。これは重力による位置エネルギーと同じ形です。それに注目すると、電荷qは電気的な質量、電位Vは電気的な高さを意味すると考えられます。

6.色々なエネルギーその5:コンデンサーのエネルギー

コンデンサーに電荷がたまっているときにはエネルギーをもちます。エネルギーの求め方は、E=Q・V/2(Q:コンデンサーにたまる電荷、V:極板間の電位差)です。

7.色々なエネルギーその6:コイルにたまるエネルギー

コイルに電流が流れているときは、その作る磁界と電流との兼ね合いでエネルギーをもつことになります。E=L・I2/2(L:コイルのリアクタンス(コイルによる定数)、I:コイルに流れる電流)です。

8.色々なエネルギーその7:気体の内部エネルギー

気体は温度によってエネルギーをもちます。単原子分子、理想気体において、U=3・n・R・T/2(n:気体のモル数、R:気体定数、T:気体の温度)です。単原子気体にしか使えないことに注意。二原子気体(酸素とか窒素とか)は5・n・R・T/2になりますが、高校では習いません。

9.色々なエネルギーその8:熱エネルギー

物体は温度によってエネルギーをもちます。E=C・T(C:物体の熱容量、T:物体の温度)です。

10.色々なエネルギーその9:光子エネルギー

光子はエネルギーをもちます。光子には質量がないので、運動エネルギーとは異なるものです。E=h・c/λ(h:プランク定数、c:光の速度(定数となる)、λ:光の波長)です。

11.色々なエネルギーその10:質量エネルギー

最後に、物体が質量をもつ場合には、それだけでエネルギーをもちます。E=m・c2(m:物体の質量、c:光の速度(定数となる))です。これは運動エネルギーとは異なり、質量そのものが持つエネルギーです。