有機工業化学

3問中2問を選んで回答のこと。ただし、答案用紙は各問一枚。

1.C1化学とその技術について以下の問いに答えよ。
 1)C1化学の主原料である合成ガス(CO+H)の工業的合成法についてその原料、反応、特徴などについて述べよ。
 2)C1化学により工業的に合成される製品を一つ挙げ、その製品の合成ガスとその他の原料からの合成ルート、触媒、反応条件、副生成物などについて述べよ。
 3)C1化学が日本の将来のエネルギー供給に対してどのような役割を果たしえるか、実例を挙げて説明せよ。

2.石油は各種炭化水素の混合物である。沸点領域70-160℃に含まれる成分を重質ナフサと呼ぶが、その中に含まれる成分は、平均してパラフィンが67.6%、ナフテン(脂肪族環状炭化水素)が20.0%、芳香族炭化水素が12.4%(いずれも重量%)である。しかし、芳香族化合物はプラスチックや化学繊維の原料となっているため、需要が非常に大きく、この12.4%ではまかないきれない。そのため、パラフィンやナフテンを芳香族炭化水素に転換する工業プロセスがひつようとなる。これらのことについて以下の問いに答えよ。
 1)芳香族炭化水素を原料として大量に生産されている化学品に、PETと6-ナイロンがある、それぞれの単量体を化学式で示せ。
 2)PETの単量体の一つは、重質ナフサより製造される芳香族炭化水素を原料としている。原料を化学式で示せ。また、それをさらに加工して最終的にPETにいたるまでの反応経路(反応式)、触媒などについて記せ。
 3)6-ナイロンの芳香族炭化水素原料から単量体への反応を以下を参考に、AからEについて名称と化学式を記せ。
原料A→(水素化)→B→(酸化)→C→(オキシム化(NH2OH))→D→(ベックマン転位反応)→E(単量体)

3.20世紀前半に、無機工業化学を中心に発展したわが国の化学工業にあって、石炭を原料に進展した有機化学は、20世紀後半になり、国内に浸透した石油資源によって、有機化学を中心にした石油化学を主力にした大産業に発展した。ここに化学工業のもつ次の二面性が伺われる。
 1)無機化学製品中心から有機化学製品中心への革新<プロダクト革新>
 2)石炭化学から石油化学への原料の転換<プロセス革新>
21世紀社会は、環境・資源エネルギー制約をこれまで以上に受けながらも、新たな情報通信技術や医療技術の進歩をもとに発展することの期待される社会である。21世紀社会の姿について思うところを述べるとともに、そこにおける化学工業の役割について、有機工業化学を中心に述べよ。


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