生命物理化学試験問題 (小宮山)

1.DNAの二重らせんの安定性について答えよ。
(1)これを評価するのに、一般にどのような指標が用いられるか?
(2)(1)の指標を測定する方法を述べよ?また、その基本原理について簡潔に述べよ。
(3)二重らせんの安定性に影響を与える要因を二つ列挙せよ。また、安定性が変わる理由も簡単に述べよ。

2.次の設問に答えよ。
(1)DNA結合タンパク質の多くは、亜鉛フィンガーやロイシン・ジッパーなどの構造モジュールを持つ。これらがDNAと結合する際には、(DNAとタンパク質の両者の)どこで、どのような相互作用をするか?
(2)環状ホストを三種類あげ、それぞれが結合するゲスト、ならびに、結合するための相互作用について述べよ。
(3)安定な複合体を形成するためには、環状ホスト(の空洞)とゲストのサイズが一致することが重要である。それはなぜか?

3.ある分子間反応と、これに対応する分子内反応がある。
(1)両方の反応の活性化エンタルピーと活性化エントロピーを求めるには、どのような方法を使うか?
(2)これらの値の間には、どのような関係があるものと期待されるか、それはなぜか?

4.酵素Aにおいて、15番目のアミノ酸であるGlyをPheに変えたところ、特異的基質Sに対するKmが100倍に大きくなった。また、50番目のAspをGlyに変えると、Kmが10倍になった。さらに、90番目のAspをGlyに変えるとKmはほとんど変化しないが、Kcatが100分の1になった。このことから、この酵素の構造ならびに作用機構に関して推定されることを述べよ。

5.酵素Bは、タンパク質を加水分解する。このとき、His-45の側鎖が一般塩基触媒として水を活性化して求核攻撃させ、また、Tyr-200の側鎖が一般酸触媒として働いており、両者が協同的に触媒作用している。
(1)この記述から予想される反応機構を図示せよ。但し、官能基の構造は省略せずに示すこと。
(2)Kcatの対数をpHに対してプロットすると、どのような形になるか?ただし、それぞれの官能基のpKaは、水の中の値と同じであると仮定する。(導出過程を詳しく書く必要はない)