2)培養液中の基質濃度Sを2(kg/m3)に維持しつつ培養するために、基質供給速度Fをある時点(t=t0、X=1(kg/m3))から時間的に変化させた。このときの細胞濃度X、基質供給速度Fの経時変化を経過時間凾狽フみの関数として表しなさい。ただし、V=10(m3)、SF=12(kg/m3)とする。(20点)
3)連続培養操作(Chemostat Culture)、流加培養操作と比較して、ろ過培養操作の特徴を述べなさい。(10点)
2.乳酸菌と酵母菌について以下の事柄が知られている。
酵母はブドウ糖の消費と増殖に伴ってエタノールを生産する。乳酸菌はブドウ糖の消費と増殖に伴って乳酸を生産する。乳酸菌はエタノールによって増殖阻害をうけ死滅するが、酵母の増殖は乳酸あるいはpHの低下の影響を受けない。この時、以下の問に答えなさい。
1)酵母菌と乳酸菌を混合培養した時のこれらの菌の相互作用はどのような形式に分類されるか。基質が十分に存在する場合と、わずかしか存在しない場合についてそれぞれ答えなさい。(10点)
2)酵母菌の濃度をX1、比増殖速度をμ1、乳酸菌の濃度をX2、比増殖速度をμ2で表す。乳酸菌の死滅速度がエタノール濃度Eに比例し、また、エタノールの生成が酵母菌の増殖に比例するものとし、それぞれの比例係数をKd、YE/Xとする。このとき、混合培養系での酵母菌と乳酸菌に関する濃度基準の物質収支式を示しなさい。ただし、t=0においてX1=X1,0およびE=0とする。(10点)
3)酵母菌濃度X1、乳酸菌濃度X2をそれぞれ直交軸とする平面上に、酵母菌と乳酸菌を混合培養したときのそれぞれの濃度の変化を定性的に矢印つきの軌道として示しなさい。ただし、乳酸菌は最終的に完全に死滅するものとする。
3.遺伝子組み替え大腸菌の培養について以下の問に答えなさい。
1)アンピシリン耐性遺伝子と目的たんぱく質遺伝子を持つベクターを導入した遺伝子組み替え大腸菌を、所定量のアンピシリンを添加した新鮮培地に0.1%(V/V)の割合で植菌して回分培養した。対数増殖期の途中でIPTGを添加して組換えたんぱく質の発現を誘導したところ、組換えたんぱく質が生産されるとともに大腸菌の増殖速度が誘導前と比較して低下した。増殖速度が低下した理由について述べなさい(10点)
2)上記と同様な培養系において、組換え大腸菌の前培養を細胞濃度が最大濃度に達するまで行い、この前培養液を10%(V/V)の割合で所定量のアンピシリンを含む新鮮な倍地に植菌して回分培養を行った。このとき、対数増殖期の途中でIPTGを添加しても、大腸菌の増殖速度は誘導前と比較して顕著には低下せず、また、目的たんぱく質の生産もほとんど見られなかった。このような現象が見られた理由について述べなさい。(10点)
3)組換え大腸菌によるたんぱく質生産は主に回分培養操作で行われている。連続培養操作が用いられない理由について述べなさい。(10点)