応用分子生物学

問1
原核微生物の大腸菌では、たとえば乳糖の細胞内への取り込みと代謝にかかわる3つの遺伝子群の発現調節が、発現を抑制するリプレッサー、発現を活性化するアクチベーターと呼ばれるたんぱく質によって行われている。ここで、リプレッサーは乳糖の誘導物質と結合し、アクチベーターはcAMPと結合する。なお、cAMP濃度は細胞内のブドウ糖濃度と反比例関係にある。また、リプレッサーはRNAポリメラーゼの結合部位であるlacプロモーター中にあるオペレーター領域と、アクチベーターはプロモーター上流のアクチベーター結合領域にそれぞれ結合する。このような遺伝子発現系に関して以下の問に答えなさい。

1)ブドウ糖と乳糖を両方含む培地で大腸菌を培養したところ、ブドウ糖が培養液中に存在する間はブドウ糖のみが消費され、乳糖は消費されなかった。また、乳糖の消費は、ブドウ糖が消費し尽くされてから始まった。このような現象が見られる理由を遺伝子発現制御の観点から考察しなさい。

2)あるたんぱく質が変異した大腸菌をブドウ糖と乳糖を両方含む培地で培養したところ、ブドウ糖と乳糖が同時に消費された。この大腸菌ではどのたんぱく質がどのような性質を示す変異体になったかと考えられるかを考察しなさい。

3)lacプロモーターを持つ高コピー数のベクターを大腸菌に導入し、ベクターのlacプロモーターの下流にコードされた遺伝子の発現実験をブドウ糖を含む培地を用いて行った。その結果、IPTGを添加しなくても目的遺伝子のmRNAへの転写が起こり、組換えたんぱく質が定常的に合成されていた。遺伝子発現がIPTGの添加によって厳密に制御されたなかった理由を考察し、その改善策を示しなさい。

問2
次の反応についてコメントしなさい。(RNAワールドにおける重要性は?)

問3
以下の設問のうち、2問に回答せよ。
A)MPF(M phase promoting factor, M期促進因子)とは何か。
B)ガンが発生するのには、いかなる分子メカニズムが考えられるか説明せよ。
C)アポトーシスが生体内で果たす役割について述べよ。

問4
以下の問に答えなさい
1)動物細胞と比較して、植物細胞の特徴を説明せよ。
2)植物培養細胞(カルス)の誘導方法について説明せよ。
3)Agrobacterium tumefaciensの感染に伴うクラウンゴール形成の分子機構について説明せよ。
4)遺伝子組み替え植物の問題点を、(1)栽培上の問題、(2)遺伝子組み替え植物に由来する食品を摂取することに伴う問題点にわけで説明しなさい。


ほーむへ