市場の端の憩いの場
毎日、日本や欧米など各国の観光客で賑わう上海の観光地「豫園」(浅草寺のような感じ)の外れにある、タイル張りの建物。一見すると公衆便所にも見えるが、中に入ると数軒の定食屋や麺屋が並ぶフードコートだ。
「ロレックス、ロレックス、ミルダケ、ミルダケ」と観光客がボラレまくっているような場所から、ほんの30歩ほど入った場所にあるのだが、おそらくここを利用する日本人は我々の他にはほとんどいないのでは無いだろうか?
ほとんどの利用者は近隣の市場の店員や、仕入れに来た現地のオヤジたち。
ほとんどの店が持ち帰りできるので、テイクアウトして自分の店で食べる場合も多い様だ。
外観同様、建物内も潔癖性の人には向かない感じ(かなり控えめな表現)。
飲み物やお手拭き(ちり紙など)は持参したほうが良いだろう。
建物に扉が無いので夏は蒸し暑く、冬は寒いのも屋台チックだ。
麺屋はカレー風味のスープに入った「牛肉麺」が定番メニュー。
その場で打ちたての麺を茹でてくれる。
他には「刀削麺」や「雲呑」なども美味しい。
ほとんどが5元(75円)前後と安いが、味、ボリューム共に満足の行くもの。
麺の上に具の乗った物は高めだが、それでも10元(150円)に満たない。
打ちたての麺は腰が無いが伸びの良いシコシコ麺(上海の拉麺はおおむねこんな感じ)、刀削麺はウドンのような食感だ。雲呑はカラシ菜のような風味の良い菜漬け入り。
通常は大量の香菜が乗ってくるので、ニガテな人は「不要香菜(プーヤオ シャンツァイ)」と言って香菜抜きにしてもらうのがいいだろう。(となりの客に「なんやニィちゃん!香菜抜いてもうたら、うまい事ないでぇ(上海弁)」と説教されたが)
この建物の中で一番多いのはセルフサービスの定食屋だ。
発泡スチロールの器を渡されるので好きな物を選んで器に乗せられるだけ乗せる。
別に渡され白飯と合わせて、だいたい7元(105円)くらい。
おかずは、上海料理らしく醤油味や味噌味の濃いめな味付け。
御飯に乗せてカッ込むのにちょうどいい味だ。
御飯のおかわりは別料金だが、一杯目から大盛りなので十分に足りるだろう。
店によって品揃えが異なるので、数軒見て回り好みのおかずを置いている店を選ぶ。
四角いバットで一気に作った目玉焼きや、ジャガイモ炒めなどはどの店にもある定番品。
おかず用の器は仕切りなどが無いので、汁物は味が混ざるので注意が必要だ。
朝は白飯のかわりに白粥、おかずのかわりにつくだ煮や漬け物などのつけ合わせが並び、値段も安め。
昼は11時半ごろに行くとできたてアツアツが食べられるのでねらい目だ。
(ふだんはバットを下から熱湯であたためているが、ちょっとさめ気味)
追記:その後、再開発のためこの施設は取り壊されました。
毎回利用していた美味しい店だったので非常に残念。
…この店を利用しなくなって以来、なぜか上海で下痢になる確率が減りました。