町の飲み屋
豫園から少し外れた路地に昼前は朝市が立ち、午後は飲み屋が店を開く場所がある。
夕方5時すぎぐらいから行けば飲み屋や飯屋がシャッターを開け、屋台や周囲の店のテーブルまでもが道の真ん中までならび、現地の呑んだくれ親父達がワイワイとやっている。
その中でもお勧めなのが(というか、他の店はほとんど行かないが)「沈永和紹興酒店」だ。
店の看板には「紹興酒店」とだけ書かれているのだが、この店の前身は近くの通りで店を開いていた老舗の酒屋兼居酒屋「沈永和紹興酒店」だ。
以前は古風な作りで昔ながらの方式の飲み屋だったが、現在はザックバランなスタイル。
一応メニューはあるがほとんど使わず、店頭に並んだ食材と料理法を指定すればすぐに出来上がる。
中国語が苦手ならば材料を指定するだけでも、最適かつ、他のオーダーとカブらないような調理法で料理してくれる。
あえて、調理法を指定しなければ毎回違った味が楽しめてサプライズてきな楽しみもある。
店内は旧店舗の名残で古風なテーブルと椅子(ジャッキーチェンが武器に使う奴)や、インテリアが飾られている。
そして、この店のお勧めは絶品の紹興酒だ。
この店で飲める本場紹興の「雕王(デャオワン)」は、甘みが高くまろやかで「紹興酒はニガテ」と(日本のマガイモノ紹興酒を飲んで)思っている人にも勧められる逸品だ。
注文すると、近くの販売部(本店?)まで取りにいってくれるのだが、販売部の開いている8時頃までしか注文できないのが難点。
茶碗になみなみと注いで飲むのが本場流。
コーヒーゼリーを思わせる深い黒色が本物の証拠だ。
さて、店頭で食材を指差してツマミを注文しよう。
まずは鶏肉と「ピーナツの炒め」だ。
濃いめの醤油味に味付けされピリっとした風味と、肉の柔らかさの中にピーナツのカリカリが食感の妙でウマイ。
日本の中華料理屋で出される「カシューナッツ炒め」よりもウマイのではないだろうか。
「トウモロコシとグリンピースのバター炒め」は、一見すると日本の居酒屋でもおなじみのメニューだが、
素朴で味の濃い(日本のように甘みが強くない分コクがある)トウモロコシとバターの相性は最高だ。
同じ材料で、かき揚げ風に揚げてザラメをかけたものもウマイ。
こちらは「サトイモの塩炒め」、里芋のネットリ感と塩味が絶妙でつい箸が進んでしまう。
ビールとの相性も良い。
ぱっと出てくる「モヤシ炒め」も本場ならではの味。
太く味の濃いもやしとが強火でサッと炒められている。
鳥の骨付きもも肉を注文すると、骨ごとぶつ切りになって炒められて出てきた。
ほんのりフルーツのような香りのする肉を口に放り込み、骨はテーブルの上か床に無造作に捨てるのが流儀だ。
食べきれないほど食べ(残りはテイクアウトしても良い)、しこたま飲んだとしてもだいたい一人500〜1000円程度、かんたんに1〜2品と酒か白飯だけなら300円もだせば十分だろう。
イケメンの旦那さんと、カワイイ奥さん、人見知りだがやんちゃでウルトラマン好きな子供が出迎えてくれる。